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月世界の願いごと~奇跡の花は煌めく三日月の夜に咲いて~  作者: 菜乃ひめ可
第二・五章 文化交流会(魔法勝負後)
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78 文化交流会2日目~仲間~

お読みいただきありがとうございます(*'▽')

♪こちらのお話は、読了時間:約6分です♪


※2022/1/26 確認完了(Wordcount2600)


文化交流会が長すぎてすみません(笑)テヘッ


「何だ、お前ら面白いなっ」

「あらあら、どこのお嬢ちゃんとお坊ちゃま?」

「カッコイイ……」

「ダメよ! お相手いたじゃない!」


((( ざわざわ )))


 様々な声が……明るい声が、聞こえてきた。

 まるで、コントのような三人の姿は、和気あいあいとしていて。周りで見ていた皆も、とても楽しそうに笑い合っている。


 その様子に気付いた太陽が、さすがに目立ち過ぎた!! と、よそ行きの顔で、周囲にお詫びをする。


「あー皆さん。騒がしくして申し訳ありません」


 その言葉で、なんだもうお開きか~と、周りを囲んでいた()()たちは、ニコニコと手を振りながらパラパラといなくなっていく。


「いや楽しかったよ」

「はっはっ」


「しかし、ちょっと……」

「あまり騒ぎすぎるのは、よろしくありません!」


「「ふあ~い!!」」


 舞踏会の審査員をしていたと思われる、名家の奥様方に若干叱られていたメル・ティルの二人は、楽しそうに元気な返事をしていた。


(さ、さすがメルルとティル……恐るべし!)


 月たちの周りが少し、落ち着き始めてきた頃。舞踏会が行われた会場の方から、急いでユキトナがこちらへ向かって来ていた。


「あ、あの~……お待たせ致しましたぁー」


 その後ろを、護衛の方が追いかけてきている。

「お嬢様! 走るのはおやめ下さい!!」


 その声にハッ! としたユキトナは、少しだけ頬を赤らめながら、護衛の注意に答えていた。

「あー……も、申し訳ありません」


 ユキトナの声は、本当に鈴の音のように可愛らしい。

 白とピンクのカスミソウで飾られた、上品なドレスを身に(まと)ったその姿は、息を呑むほどに美しかった。


――「ユキトナ……様……」

 小さく呟いた後、星はユキトナの近くへ向かった。そして左手を前に当てると、静かにお辞儀をして挨拶をする。


「ご無沙汰しております、ユキトナ様」


「あ、ぇ……まさか。セルク……セルクなの?!」


 第二王女である彼女は、驚きで目を見張り、くりくりの大きなおめめを潤ませながら、星の顔を見つめた。


「……はい、セルクです」


 そう、静かに答える星を見て、月の心に不安が過ぎる。さっきまでの優しかった彼の表情が重く……冷たく感じたからだ。


 ふと流れた緊張感からか、その様子に再び声を詰まらせてしまったユキトナは、視線を下へ向けた。


 そこに、あの声が! 緊張した空気を破る。


「おっ! なんだ~? セルクはユキトナ様と、お知り合いだったのか?!」


 その、ただならぬ空気を察したのか?

 もしくは、周りの人の目を気にしてなのか?

 一瞬で明るい雰囲気に引き戻したのは、やはり皆の頼れるお兄ちゃん役の、太陽だった。


「あっ、あぁ。幼い頃に、父の繋がりでね……」

 セルクもその言葉で我に返り、太陽の気遣いに感謝しながら、笑顔で答える。


 すると、そうかそうか!! と言いながら星の側に寄ると、太陽は彼にしか聞こえないくらいの小さな声で、すれ違いざまに呟いた。周りに気付かれない、普通に歩くスピードで。


――『今度、ゆっくり話そう』


「さてと、時間も遅いし。俺はユキトナ様をお屋敷へお送りしてくるから。セルクはちゃーんと月を送って帰れよ!!」


「承知した。すまない、太陽……」


「ん? 何がだ? はっはは。さてさて~メルルとティルも! ちゃ~んと三日月を護ってくれよ~?」


「「おまもり!! まっかしてぇ~」」

 可愛い双子ちゃんは、そう言うと月の両腕をガシッと掴み、なぜか? 拘束状態になってしまった。


「い……いやぁ、メル・ティルさん?」

 月は、嬉しい反面、動けないから~と言い、ふにゃふにゃと力を抜いていく。


(星様……大丈夫かな?)


 ふと、横目で星の顔を見る。すると、太陽と目で何かの合図をすると、フッ……と一瞬、笑っていた。


「じゃっ! また明日な~」



 私たちは、手を振る太陽君とユキトナ様に、深々とお辞儀でご挨拶をした。


 歩き出した二人の背中を見送り、「これからどうする?」と、話をしていると、突然! ユキトナ様が振り返り、走って戻っていらした。

 そして、私の手を握り、何かを手渡し、言葉を残される。


「必ず助けになります。どうか、あなたに【月の守護】を……」


――えっ?!


「あっ! ユ、ユキトナさ……ま」


 私の声を遮るように、ユキトナ様は走って太陽君の所へ戻って行ってしまった。そして再び、さよならと手を振ると、また歩き出した。


 私は、渡されたものを少しの間見て、悩んでいた。

(何だろう……丸い? 何か?)


 不思議に思いながらも、“お預り物”として考える事にして、失くさないように、大切に鞄の中へしまった。


「ふぅー……」

 なんだか軽く、溜息が出てしまう。



「つっきぃー」「ねぇねぇ」

 少し、ぼーっとしていた私に、メル・ティルの二人が呼びかけてくれた。


「あっ! うん? どうしたの??」


「「もぉ帰っちゃうの~?」」


 二人は、まだどっかいきたぁーいと、言わんばかりの顔で、私の顔を見ていた。そう、年に一度の文化交流会。まだ何処か行く所が……。


「あっ!!!」

(そうだ! あったー♪)


「じゃあさ、もう一度『噴水広場』へ行こうよ!」


「「にゃっはー行く行くぅ~♪」」

 二人はやったーと、大はしゃぎで喜び始めた。


「と、いう訳なのですが……星様」

 一緒に、行ってくれるかな? と、ちょっぴり心配になりながらも聞いてみた。すると、とても優しい、いつもの声と笑顔で答えてくれる。


「うん、いいね! ちょうど僕も行ってみたかったから、大賛成だよ」


「わーい! よかったぁ」



 まだ、興奮冷めやらぬ中央広場の会場を、後にする。そして私たちは、噴水広場へと向かって、歩き出した。



「あっ……」

(そういえば。メル・ティルは星様に何を言っていたのだろう?)


 私は、あの時の事を、少し気になりながらも。

 星様と、メルルとティル。

 三人の仲睦まじそうに見える様子を、なぜか『幸せな気分』になって眺めて歩いていた。そしてまた、綺麗な夜空のお星様を見上げて、私の心はポカポカと温かくなり、自然と……満面の笑みがこぼれた。


◇◆


 クッキーを食べ終えたメル・ティルは、星にひとこと。


――クッキーあんがとにゃはーん♪ でも……セリィ! とっちゃダメなのぉ!! “みっかじゅき~”を、好き好き一番なのはぁ? “メルティ”なのら!!


 言いたいことだけ言うと、テテテーっと月の元へ走り去る。


 その愛らしい妹のような二人を見て、かすかに笑っていた。


「ふふっ、そうだね。大丈夫だよ、二人とも。そんな顔をしなくても、ちゃんと、分かっているからね……」


――みんな、大切な仲間だから……。


ではまた!

次話をお楽しみにぃ(≧▽≦)

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