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06 緊張

お読みいただきありがとうございます(/ω\)

♪こちらのお話は、読了時間:約5分です♪


(Wordcount2220)


「はぁ~、慣れない所に行くの……嫌だなぁ」 


 ある日の午後。

 私は、少し離れた特別校舎へと向かっていた。雲に覆われた空は少し暗く、その足取りを余計に重くする。出来ればこのままいつものお気に入りの場所へ行きたいと思う程、憂鬱な気分だった。


 しかし、逃げようたって、そうもいかず。一人寂しく、トボトボと歩きながら、気持ちの切り替えに努めていた。


「あぁ、見えてきた。相変わらず大きな校舎だなぁ……」


 特別校舎、というだけあって、建物はとても大きく、広い。

 今日は此処で、今後の授業内容について、先生と話し合いをする日なのだ。


 魔力・能力の授業について。私だけ特別メニューで授業が行われる。これは入学前からの契約事項で、関係者以外は知らない話だ。そして年に一度、その件で魔法科最高責任者の先生と打ち合わせをする事になっている。

 それで今日は、通常の一般生徒は来る事は滅多にない、この広すぎる特別校舎に、私は呼ばれたという訳だった。


 上級能力講師の資格を持つ先生は、この学園でも少なく、お目にかかれる事は、まず有り得ないだろう。そして、私のような一般生徒クラスの者は尚の事、お会いする機会は皆無に等しい。


 ましてや、今日お会いする()()(先生)は……学園内、ましてや王国内でも、魔法に関してトップクラスの魔力を誇る、魔法科最高責任者の【ロイズ】先生。


――緊張しない訳がなーい!


 魔法科の先生方がいらっしゃる部屋が並ぶ校舎は、私が通う一般生徒校舎から、徒歩十分くらいの離れた場所。


 その特別校舎には、上流クラスの方々が普段、お勉強なさっている教室もある。


「あぁ~、誰にも会いませんように」


 私のような一般クラスの生徒は、此処に来る事はない。

 と、いうよりも、用事がない限り絶対に来ない場所なのだ。

 出来れば、知らない人(上流階級の方々)には会いたくない。


 実際に、此処へ来たのは今回で二度目。前回は入学してすぐの打ち合わせをした時だった。最初入学時は、他の先生が付き添ってくれていたので、今よりは気持ちが少し軽かった気がする。


 校舎の中に入ると、同じような廊下や扉が同一間隔で並んでいる。地図を持っていても、正直迷ってしまう程広い。なので私は、無事にここから脱出できるよう、自分にだけ分かる目印を、所々に付けてきたくらいだ。


「ふぇ~、着いてしまった……」


 長い廊下を奥まで歩いて行くと、ついに、ロイズ先生の部屋の前へ辿り着く。

 私は深呼吸をしながら勇気を出し、部屋の扉をゆっくりとノックした。


 コンコン、コンコン。


「はーい、どうぞー」


 すると、とてつもなく甘くて、優しくて、柔らかい。思わず手や足が止まる程、聞き惚れる声が、身体中に響いて返ってきた。


(……声だけで、このオーラ!!)


 私は、緊張で声が裏返る中、お部屋の前でご挨拶をした。


「し、失礼します」


 魔法科最高責任者のロイズ先生は、とっても綺麗な方で、その上優しい。緊張で頭の中が真っ白になってしまった私。会話にならないくらい固まっていると、目線を合わせて説明して下さった。


――そして、私の心の声は溢れそうになる。


「えぇーっとぉ~」

(ハッ……いけない!)


 目線を合わせていただけるのはとても光栄な事だった。しかし、この緊張。理由のひとつは、ロイズ先生が美しすぎて! というのもあるのだ。 

 先生のオーラは、あまりにも眩し過ぎて、思わず目を細めてしまう。私は心の中で「ロイズ先生! 綺麗すぎです!」と、そんな事を思っていた。


 金色キラキラの瞳に、これまた金色の長い髪をなびかせ、見るもの全てを、精霊をも魅了するくらい美しいロイズ先生。


(な、な、ななんと、男の人なのですよッ! 最初、聞いた時には何かの冗談かと思いました)


 私は、こんなにキラキラと光り輝くような美しさを持つ男性が、この世の中にいるなんて! と、とても信じられなかった。


(もう羨ましいの一言です。私も、いつか綺麗に……自分磨き頑張らなくちゃ♪ あ~、元が違い過ぎました)


「以上で、今期の話は終了だよ。何か質問や意見はあるかな?」


 頭の中で、ぼーっと色んな事を考えていて、言葉がぐるぐると回っていた私は、先生の優しい声でハッ! と、我に返った。


「あっ、いえ! 何も問題ございません!」

 あたふた、大慌てで、私は答える。


「そうかい? それなら良かったよ。……んふふふ」


(最後に何故?! 笑われたのですかッ?)


 私のなぜ?! という表情が伝わってしまったのか?

 ロイズ先生はまた笑いながらおっしゃった。


「君はとても優秀だし、賢くて真面目だね。そう、それが言葉の力に出ているな、と思って」


「こ、言葉の、ち……力? ですか?」


 褒めていただけているのか? それとも……?


(どう受け止めたらいいのぉー?!)


 私は、両手で両頬を抑え、熱くて赤くなる顔を隠すように下を向いた。


 そんな先生からの温かいお言葉(?)に恐縮しつつ、恥ずかしがる私に、白く雪のような美しい手が伸びてきた。


「はい、いい子、いい子♪」


「――!!!」


(はっ、はぅぅぅ!! えぇー?!)


 突然の事に、戸惑う私。しかし、そんな事はお構いなし!

 可愛がるように私の髪を、優しくヨシヨシしながら、言葉をかけてくれるロイズ先生。そのにっこりとした笑顔が、私に向けられている。


――あれ? 怖くない。むしろ安心する先生の温かい“手”は。


「なつかしい……」


「んっ? どうしたのかな?」


「あ……あのぉ……えぇ、ぇぅ」


 こうして、緊張の話し合いは、先生の優しい声と心遣いのおかげで、無事に? 終わったのだった。


お読みいただきありがとうございます。

ロイズ先生、素敵♡ うふふ(自分で言っている)笑


また読みに、遊びに来ていただけたら嬉しいですヾ(≧▽≦)ノ

今後ともよろしくお願いいたします☆

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