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月世界の願いごと~奇跡の花は煌めく三日月の夜に咲いて~  作者: 菜乃ひめ可
第二・五章 文化交流会(魔法勝負後)
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77 文化交流会2日目~双子~

お読みいただきありがとうございます(*´▽`*)

♪こちらのお話は、読了時間:約4分です♪


(Wordcount2000)


「るんるる~ん♪ ふんふ~ん、ランラン……」

 三日月は弾むように、軽快に歩いた。そして、たまにクルッと回りながら、楽しそうに歌を口ずさむ。


「ふふっ、月? 急にどうしたの?」


 美しい満月……そして輝く星空。星と歩く道には、綺麗な花がたくさん咲いていた。そこには、心地良いゆるい風が吹き、その花々はまるで、話しかけてくれているかのように、フワフワと揺れていた。


 月は、そのすべての景色に満足し、すっかりご機嫌で返事をする。


「あ! えへっ。なんだか楽しいなぁーと思いまして」


 その言葉を聞いて、星は嬉しそうに笑みを浮かべ、答えた。

「そうか、それなら良かったよ」


 中央広場までは、そう遠くはない。しばらく歩くと、人通りも増え、明るくて、賑やかな店の並ぶ場所に出てきた。さっきは人を避けて裏道を通った月も、舞踏会が終わってやっと一安心。せっかくなので広場へ行ってみようと話した。


――すると…………!!



「「うぅ~にゃあーー♪♪」」


「わぁーお!!」


「「あっははぁ~やたぁ~♡」」


 得意の術で、イタズラ大成功! と、言えば……? そうです、お考えの通り。いつだって人をびっくりさせて、楽しんでいる。


「メルル! ティルー!!」


 二人は、キャッキャッと走り回り、星の両側にピタっと、くっついた。すると、背の低い二人は、下から彼を凝視し、しゃがむように手招きした。星が笑いながら言う通りに座ると、左右から同じ質問を投げかけられた。


「「セリィ? でーとかぁ??」」


(えぇ!! 二人とも何聞いてるのぉ?!)

 月はそれを聞いて、心の中で叫ぶ程に恥ずかしくなっていた。しかし、聞かれた当の本人、星はというと……?


「ん? メルティ、お腹すいたのかな?」

 そう言うと、ペーパーナプキンを取り出した。すると、どういう事でしょう! まるで、手品のように?! 星型のクッキー出現!! 星の手に開かれたペーパーの上に、乗っているのだ。彼はニコッと笑うと、二人にそれを差し出した。


 クッキーを目の前に、メルルとティルは……。


「にゃはぁ?」「にょはぁ?」

「「くっきぃぃぃ♡」」


 おめめキラッキラー! この二人。この世で一番食べる事が好きなのでは? と、思うくらい食ベ物に目がない、可愛い双子ちゃん。

 おっほしッさまぁ~と、楽しそうに受け取っている。その様子を彼は、可愛がるように「今日は七夕だからね~」と言いながら、双子ちゃんの頭をナデナデ。


(星様は、いつだって動じないなぁ……それにしても!)


「はぅ~♡ メル・ティルはホント可愛いよぉ」


――(……んっ?)


 クッキーを食べ終えた二人は、星に何かを言っていた。そして、すぐに月の所に走って来ると、思いっきり飛びついた。


「「きゃっはー♪ みっかじゅきぃぃ!!」」


「う、うわはぁ~。は、はい~っ?!」


 月は、メル・ティルにぐるぐる振り回され、頭をヨシヨシー、なでなでー♪ と、たくさんくしゃくしゃにされて、あわわわーッと、なっていた。キャッキャッとはしゃいでいる二人の間から、こちらを見ている星と目が合った。すると、彼は目を細め、かすかに笑っている。


(えぇぇぇー?? 星様ぁ……)


 月がメル・ティルのぐるぐるで、そろそろお手上げ状態になった頃に、少し遠くから聞き覚えのある声がしてきた。


「おぉーやっとるなぁ!!」


「「あぁー!! たーいよーにゃんにゃん♪」」


「だから、にゃんはやめーいっ!」


「「うぅーッわぁ~い♪」」


 私のヨシヨシー、なでなでー♪ を、立派にやり遂げた? メル・ティルの二人は、次のターゲット! 太陽君に思いっきりダイブした。


「あぁー! ダメだよ二人とも!! 太陽君のお洋服が……」


 太陽君の姿を改めて見て、一瞬「ハッ」とした。

 いつもと違う、燕尾(えんび)服にホワイト・タイを付けた太陽君。アップで綺麗にまとめられた赤毛の髪は、まるで別人のようだった。


「あっはは、月いいんだ! もうダンスは終わったからなっ」


「なになに~?? これ白いのリボン?」

「たいよんたいよ、これちょうちょ~?」

「「かあ~っくい~~♡」」


「そうかそうか!! さすが分かってるねぇ」

 大きな口を開け笑うと、最後にニカッ! と、白い歯を見せて笑顔。


(いつもと変わらない笑顔……)


 いつものように両腕上腕筋肉ポーズで二人を抱え、顔は緩み嬉しそうな太陽君。お決まりメル・ティルぶら下がりごっこで、可愛い双子ちゃんはキャッキャッと、楽しそうに喜んでいた。


「「白いちょっちょ~かぁいい~!!」」


「なんだ? ほしいのか?」


「……?」

「……ん、どうした?」


「うーん?」「にゅーん?」

 メル・ティルは、顔を見合わせてにんまり。そして、おっきな声で歌を歌う様にハモって返事をする。


「「いっらにゃーい♪」」


「おーい! いらんのかいっ!」


 太陽と、メルルとティル。三人が繰り広げる、仲良しなこのやり取りは、通りすがりの参加者や観客たちの足を止めさせた。そしていつの間にか……三人の周りはたくさんの人で溢れ、その誰もが、楽しそうに笑い合っていたのだった。


いつも『星と月の願いごと』をご愛読下さいまして、ありがとうございます☆



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