77 文化交流会2日目~双子~
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(Wordcount2000)
「るんるる~ん♪ ふんふ~ん、ランラン……」
三日月は弾むように、軽快に歩いた。そして、たまにクルッと回りながら、楽しそうに歌を口ずさむ。
「ふふっ、月? 急にどうしたの?」
美しい満月……そして輝く星空。星と歩く道には、綺麗な花がたくさん咲いていた。そこには、心地良いゆるい風が吹き、その花々はまるで、話しかけてくれているかのように、フワフワと揺れていた。
月は、そのすべての景色に満足し、すっかりご機嫌で返事をする。
「あ! えへっ。なんだか楽しいなぁーと思いまして」
その言葉を聞いて、星は嬉しそうに笑みを浮かべ、答えた。
「そうか、それなら良かったよ」
中央広場までは、そう遠くはない。しばらく歩くと、人通りも増え、明るくて、賑やかな店の並ぶ場所に出てきた。さっきは人を避けて裏道を通った月も、舞踏会が終わってやっと一安心。せっかくなので広場へ行ってみようと話した。
――すると…………!!
「「うぅ~にゃあーー♪♪」」
「わぁーお!!」
「「あっははぁ~やたぁ~♡」」
得意の術で、イタズラ大成功! と、言えば……? そうです、お考えの通り。いつだって人をびっくりさせて、楽しんでいる。
「メルル! ティルー!!」
二人は、キャッキャッと走り回り、星の両側にピタっと、くっついた。すると、背の低い二人は、下から彼を凝視し、しゃがむように手招きした。星が笑いながら言う通りに座ると、左右から同じ質問を投げかけられた。
「「セリィ? でーとかぁ??」」
(えぇ!! 二人とも何聞いてるのぉ?!)
月はそれを聞いて、心の中で叫ぶ程に恥ずかしくなっていた。しかし、聞かれた当の本人、星はというと……?
「ん? メルティ、お腹すいたのかな?」
そう言うと、ペーパーナプキンを取り出した。すると、どういう事でしょう! まるで、手品のように?! 星型のクッキー出現!! 星の手に開かれたペーパーの上に、乗っているのだ。彼はニコッと笑うと、二人にそれを差し出した。
クッキーを目の前に、メルルとティルは……。
「にゃはぁ?」「にょはぁ?」
「「くっきぃぃぃ♡」」
おめめキラッキラー! この二人。この世で一番食べる事が好きなのでは? と、思うくらい食ベ物に目がない、可愛い双子ちゃん。
おっほしッさまぁ~と、楽しそうに受け取っている。その様子を彼は、可愛がるように「今日は七夕だからね~」と言いながら、双子ちゃんの頭をナデナデ。
(星様は、いつだって動じないなぁ……それにしても!)
「はぅ~♡ メル・ティルはホント可愛いよぉ」
――(……んっ?)
クッキーを食べ終えた二人は、星に何かを言っていた。そして、すぐに月の所に走って来ると、思いっきり飛びついた。
「「きゃっはー♪ みっかじゅきぃぃ!!」」
「う、うわはぁ~。は、はい~っ?!」
月は、メル・ティルにぐるぐる振り回され、頭をヨシヨシー、なでなでー♪ と、たくさんくしゃくしゃにされて、あわわわーッと、なっていた。キャッキャッとはしゃいでいる二人の間から、こちらを見ている星と目が合った。すると、彼は目を細め、かすかに笑っている。
(えぇぇぇー?? 星様ぁ……)
月がメル・ティルのぐるぐるで、そろそろお手上げ状態になった頃に、少し遠くから聞き覚えのある声がしてきた。
「おぉーやっとるなぁ!!」
「「あぁー!! たーいよーにゃんにゃん♪」」
「だから、にゃんはやめーいっ!」
「「うぅーッわぁ~い♪」」
私のヨシヨシー、なでなでー♪ を、立派にやり遂げた? メル・ティルの二人は、次のターゲット! 太陽君に思いっきりダイブした。
「あぁー! ダメだよ二人とも!! 太陽君のお洋服が……」
太陽君の姿を改めて見て、一瞬「ハッ」とした。
いつもと違う、燕尾服にホワイト・タイを付けた太陽君。アップで綺麗にまとめられた赤毛の髪は、まるで別人のようだった。
「あっはは、月いいんだ! もうダンスは終わったからなっ」
「なになに~?? これ白いのリボン?」
「たいよんたいよ、これちょうちょ~?」
「「かあ~っくい~~♡」」
「そうかそうか!! さすが分かってるねぇ」
大きな口を開け笑うと、最後にニカッ! と、白い歯を見せて笑顔。
(いつもと変わらない笑顔……)
いつものように両腕上腕筋肉ポーズで二人を抱え、顔は緩み嬉しそうな太陽君。お決まりメル・ティルぶら下がりごっこで、可愛い双子ちゃんはキャッキャッと、楽しそうに喜んでいた。
「「白いちょっちょ~かぁいい~!!」」
「なんだ? ほしいのか?」
「……?」
「……ん、どうした?」
「うーん?」「にゅーん?」
メル・ティルは、顔を見合わせてにんまり。そして、おっきな声で歌を歌う様にハモって返事をする。
「「いっらにゃーい♪」」
「おーい! いらんのかいっ!」
太陽と、メルルとティル。三人が繰り広げる、仲良しなこのやり取りは、通りすがりの参加者や観客たちの足を止めさせた。そしていつの間にか……三人の周りはたくさんの人で溢れ、その誰もが、楽しそうに笑い合っていたのだった。
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