74 文化交流会2日目~ワルツ~
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♪こちらのお話は、読了時間:約4分です♪
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私が、どうしてユキトナ様を知っているのか? 疑問に思って悩んでいる星様に、今日の噴水広場での出来事をお話しする事にした。
「話すと長ーくなりますので……」と、要点と重要な部分を彼に説明した。
そして今、中央広場で仲良くお話されているお二人の関係については、王妃様の許可があり、今夜限り! 舞踏会への参加が実現した、という事も……。
(あっ! もちろん。ユキトナ様からお誘いした事は、太陽君の想いを尊重して、内緒にしたわけなのですが)。
「なるほど…………」
話し終えた後、星様は何か気になる点でもあったのか? しばらく考え込むように黙っていた。私は、お邪魔をしないよう広場の様子をぼーっと、眺めていた。
「はぁぅ~♡」
舞踏会へ参加(出場)をする方々は皆、美しいドレスを纏い、キラキラの笑顔で笑い合っている。ダンスの始まりを、胸躍らせながら待つ参加者の姿を見て、私の心にも! ドキドキ、ワクワクした気持ちが、たくさん伝わってきた。
――何だか、楽しそぉ~♪
そんな事を考えながら、ふと気付くと五分程経っていた。すると星様は、神妙な面持ちで重い口を開いた。
「いや……本当に驚いてしまって。ユキトナ様は、この王国にとって貴重な【力】を持つ存在なんだ。だから、公の場に姿を現すどころか、王宮から出る事すらほぼ有り得ない。そのユキトナ様が、このような社交の場に他人とお出になるとは……しかも、素顔を出され舞踏会にご参加されている。王妃様がお許しになったという事も含め、本当に異例な事だよ」
第二王女様の王国での存在。星様がいつになく険しい表情と、厳しい口調でお話する姿を見て、きっと機密事項なのだろうと、私は察した。
そして……。もちろんそれ以上、私から何かを聞く事はなかったし、彼からも、それ以上詳しく語られる事はなかった――――。
「えーっと! ……あのねっ! 星様」
私は、少しでも雰囲気を戻そうと、明るく星様に声をかけた。
「あぁ……うん、ごめんね」
私の声で、彼は我に返ったようにいつもの笑顔に戻る。
「いえ! それにしても、舞踏会まだですかねぇ?」
楽しみですねぇ~と、ほんわかニコニコしていると、星様がいつもの優しい声でお話を始めた。
「そうだ月! せっかくのソーダ、しゅわしゅわが消えてしまうよ?」
星様は、ちょっぴり意地悪な表情で私を見て笑っている。
「えぇー!! そうなのですか?!」
私は、慌てて月のソーダを飲み干した。
「どう? 美味しかったかな?」
「はい! でも星様が言った通り、少ーししゅわしゅわがなくなっていました! どうしてでしょうか? 本当に不思議なお水ですねぇ」
ソーダ水の事を知らない私にとって、これはまた驚きでした。
「あはは、じゃあこれからはしゅわしゅわは早く飲まないとね」
はぁーい、とお返事をする私。その姿を見つめ笑いながら話す星様は、優しい瞳に戻っていた。
「あっ……」
ソーダ水の謎を「うーんうーん」と考えていると舞踏会の素敵な音楽が、聞こえ始めてきた。
「……ワルツ」
星様が、小さな声で呟く。少し懐かしそうな表情で微笑みながら。そんな星様の横顔を見つめていると、視線を感じた彼がこちらを向き目が合った。
「わ、わー、ワルツ……ですか?」
見つめていた事が恥ずかしくなってきた私は、慌てて質問をしてみる。
「うん……僕はダンスは好きではないが、そこで流れる音楽はとても好きなんだ。その中でも、ワルツの曲調が一番好きでね」
そう言うと、少し恥ずかしそうに微笑んだ。
「そうだったのですね! いいですよね……音楽♪ 心が落ち着きますし。あっ! 私の場合は、精霊ちゃんとお歌を作って、楽しく踊る方が馴染みがありますが」
それを聞いた星様は「月らしい」と、クスッと笑った。そして、褒め言葉に……なるのかしらぁ? 星様はボソッと言った。
「“音楽を作る”。それはとても素晴らしく、自由で……素直に表現する事のできる月を、僕は本当に尊敬しているよ」
月の光が、彼の綺麗な黒髪を照らす。そして一瞬キラッと、丸い光の粒が、頬を伝った気がした。
――涙? 泣いてるの?
「そんな、尊敬だなんて! 星様、お世辞でも、私にはもったいないお言葉ですー!」
私は彼の顔から目を離し中央広場を見ると、太陽君とユキトナ様を探した。
「ふっふふ、そんな……月様ご謙遜を」
そう言うと笑いながら彼も、再度視線を中央広場へ向ける。
「今、流れている曲は、とてもいいね」
「はい……とても……」
それからしばらく沈黙の時間が流れた。
そして私は。
話題を変えるように、またお話をし始めた。
舞踏会で美しく舞う人々に、見惚れながら。
次話も、お楽しみにぃ(*´▽`*)
今後とも、よろしくお願い致します( ..)φ 書き書き。




