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月世界の願いごと~奇跡の花は煌めく三日月の夜に咲いて~  作者: 菜乃ひめ可
第二・五章 文化交流会(魔法勝負後)
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74 文化交流会2日目~ワルツ~

お読みいただきありがとうございます(*'▽')

♪こちらのお話は、読了時間:約4分です♪


(Wordcount1850)


 私が、どうしてユキトナ様を知っているのか? 疑問に思って悩んでいる星様に、今日の噴水広場での出来事をお話しする事にした。


「話すと長ーくなりますので……」と、要点と重要な部分を彼に説明した。


 そして今、中央広場で仲良くお話されているお二人の関係については、王妃様の許可があり、今夜限り! 舞踏会への参加が実現した、という事も……。

(あっ! もちろん。ユキトナ様からお誘いした事は、太陽君の想いを尊重して、内緒にしたわけなのですが)。


「なるほど…………」


 話し終えた後、星様は何か気になる点でもあったのか? しばらく考え込むように黙っていた。私は、お邪魔をしないよう広場の様子をぼーっと、眺めていた。


「はぁぅ~♡」


 舞踏会へ参加(出場)をする方々は皆、美しいドレスを(まと)い、キラキラの笑顔で笑い合っている。ダンスの始まりを、胸躍らせながら待つ参加者の姿を見て、私の心にも! ドキドキ、ワクワクした気持ちが、たくさん伝わってきた。


――何だか、楽しそぉ~♪


 そんな事を考えながら、ふと気付くと五分程経っていた。すると星様は、神妙な面持ちで重い口を開いた。


「いや……本当に驚いてしまって。ユキトナ様は、この王国にとって貴重な【力】を持つ存在なんだ。だから、公の場に姿を現すどころか、王宮から出る事すらほぼ有り得ない。そのユキトナ様が、このような社交の場に他人とお出になるとは……しかも、素顔を出され舞踏会にご参加されている。王妃様がお許しになったという事も含め、本当に異例な事だよ」


 第二王女様の王国での存在。星様がいつになく険しい表情と、厳しい口調でお話する姿を見て、きっと機密事項なのだろうと、私は察した。

 そして……。もちろんそれ以上、私から何かを聞く事はなかったし、彼からも、それ以上詳しく語られる事はなかった――――。


「えーっと! ……あのねっ! 星様」

 私は、少しでも雰囲気を戻そうと、明るく星様に声をかけた。


「あぁ……うん、ごめんね」

 私の声で、彼は我に返ったようにいつもの笑顔に戻る。


「いえ! それにしても、舞踏会まだですかねぇ?」


 楽しみですねぇ~と、ほんわかニコニコしていると、星様がいつもの優しい声でお話を始めた。


「そうだ月! せっかくのソーダ、しゅわしゅわが消えてしまうよ?」

 星様は、ちょっぴり意地悪な表情で私を見て笑っている。


「えぇー!! そうなのですか?!」

 私は、慌てて月のソーダを飲み干した。


「どう? 美味しかったかな?」


「はい! でも星様が言った通り、少ーししゅわしゅわがなくなっていました! どうしてでしょうか? 本当に不思議なお水ですねぇ」


 ソーダ水の事を知らない私にとって、これはまた驚きでした。


「あはは、じゃあこれからはしゅわしゅわは早く飲まないとね」


 はぁーい、とお返事をする私。その姿を見つめ笑いながら話す星様は、優しい瞳に戻っていた。


「あっ……」

 ソーダ水の謎を「うーんうーん」と考えていると舞踏会の素敵な音楽が、聞こえ始めてきた。


「……ワルツ」

 星様が、小さな声で呟く。少し懐かしそうな表情で微笑みながら。そんな星様の横顔を見つめていると、視線を感じた彼がこちらを向き目が合った。

 

「わ、わー、ワルツ……ですか?」

 見つめていた事が恥ずかしくなってきた私は、慌てて質問をしてみる。


「うん……僕はダンスは好きではないが、そこで流れる音楽はとても好きなんだ。その中でも、ワルツの曲調が一番好きでね」


 そう言うと、少し恥ずかしそうに微笑んだ。


「そうだったのですね! いいですよね……音楽♪ 心が落ち着きますし。あっ! 私の場合は、精霊ちゃんとお歌を作って、楽しく踊る方が馴染みがありますが」


 それを聞いた星様は「月らしい」と、クスッと笑った。そして、褒め言葉に……なるのかしらぁ? 星様はボソッと言った。


「“音楽を作る”。それはとても素晴らしく、自由で……素直に表現する事のできる月を、僕は本当に尊敬しているよ」


 月の光が、彼の綺麗な黒髪を照らす。そして一瞬キラッと、丸い光の粒が、頬を伝った気がした。


――涙? 泣いてるの?


「そんな、尊敬だなんて! 星様、お世辞でも、私にはもったいないお言葉ですー!」

 私は彼の顔から目を離し中央広場を見ると、太陽君とユキトナ様を探した。


「ふっふふ、そんな……()()ご謙遜を」

 そう言うと笑いながら彼も、再度視線を中央広場へ向ける。


「今、流れている曲は、とてもいいね」


「はい……とても……」


 それからしばらく沈黙の時間が流れた。


 そして私は。

 話題を変えるように、またお話をし始めた。


 舞踏会で美しく舞う人々に、見惚れながら。



次話も、お楽しみにぃ(*´▽`*)


今後とも、よろしくお願い致します( ..)φ 書き書き。

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