05 友達
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♪こちらのお話は、読了時間:約4分です♪
(Wordcount1660)
――今日も、楽しく賑やかな一日になりそうです。
「「にゃーーー♪♪」」
「わぁー! ビックリしたぁ!!」
「「あっははぁ~」」
イタズラ大成功! と、言わんばかりの顔で、キャッキャッと走り去っていった二人は、私の幼馴染、【メルル】と【ティル】である。
得意の術で、昔から足音立てずに近付いてきては、いつもこうして人をびっくりさせて楽しんでいる。
どうしようもない……けれど、どうしようもなく、可愛い! 可愛すぎる!! 双子ちゃん。
そんな二人とは、幼い頃から同じ屋根の下。いつも一緒に仲良く過ごしてきた。どんな時でも、私の味方をして理解してくれる。
――とても大切な友達。
「おぉーっと、ま~たお前らイタズラしとるなぁ?」
そんな二人の日常的なイタズラっぷりに、少し訛りのあるしゃべり方でご指導をする彼は? メルルとティルに負けないくらい元気いっぱい! 同じ日にこの学園に入学した【太陽】くんだ。
赤毛の短い髪に赤色の瞳。ガッチリ筋肉体型のお兄様。鍛えられたその上腕で、メルルとティルを持ち上げたりもする“力持ち”。
「「きゃ~……っはは!」」
てってけてててー♪
それはまるで「よーい……ドンッ!」に聞こえた。
メル・ティルは笑いながら、走って逃げまわる。その後ろを、懸命に追いかけていく太陽。
「おいおい、こらー! 待てーいッ」
(あぁ……恒例の追いかけっこ、始まったなぁ)
いつまでも子供な感じの、メルルとティル。
その二人の相手をいつもする太陽。
三人とも全力で走り回っているその姿は、遊びだけれど、いつだって本気モード全開!
しかし、なんだかんだ言って。いつも笑いながら二人に接する太陽の表情は、優しいお兄さんみたいな存在だなぁと、思って見ている。
三人の追いかけっこを、いつも遠くからにこにこで見守る、そう……「温かい目で見守る」の、つもりだった。
すると今日は、珍しくこちらにもパスが飛んできた。
「にゃー!!」「たすけてぇ♪」
「「キャッキャッ」」
どこからか?! ひょいっと現れたメルルとティルが背中に飛びつく。
「あわわぁ~!!!」
「「かっくれーんぼぉ♪」」
「そこかっ! よーし、捕まえ……」
(か、かわしたぁぁ!!!)
素早い動きで、太陽の手からすり抜けた二人は、またどこかへ走っていった。それを見て必死に笑いをこらえていると、太陽はお前も! と言わんばかりに頭を一回、ぽんっ!
両手を合わせ「頼む」のポーズ。
「なぁ?! 手伝ってくれッ」
(えぇ?! 私もぉ~?)
と、無言で。気持ちがそのまま顔に出ていた。
「そんな顔するなや~。おぉっと、見つけたぞ! メル・ティルー! 今日こそ捕まえたるぞー!!」
たまにこうして、追いかけっこに参加させられそうな時がある。そういう時は、無意識に拒否反応が出るのだ。
(なぜかって? 実は私……足が遅いのですよぉ)
「「はっははぁ~い、どっおぞぉー♪」」
「待てーいッ」
太陽の、絶対に捕まえるぞー! という決意のグーポーズ。
対するメルルとティルの余裕回答!!
そのやり取りが面白くてつい我慢できず、声を出して笑ってしまった。
「ウッフフ! やっぱりメル・ティルは、足はやぁ~い」
メルルとティルの【特殊能力】に勝てる人は、まずいないだろうなと思いつつ。ほんの少ーし、太陽の能力にも期待だったが。
(諦めずに頑張っていれば、いつかは追いつくかもしれないよ!)
「がんばれぇー太陽くん」
……と、応援してみたものの。
――待て待てー!! んきゃーー♪♪
(いいなぁ、この和やかな風景)
三人が、楽しそうに追いかけっこしているのを見ていると、とても平和だなぁ~と、改めて思う。そして、結局最後には。
「うっはぁあ〜降参だ」
思っていた通りの結果で、今回も、メルルとティルの勝利で終わった。そしてやっぱり「そうなっちゃうのね」と、みんなで大笑いするのだった。
スカイスクールに入ってからも、変わらず一緒にいるメルルとティル。そして今は太陽も加わり、こんなに賑やかな時間。友達との時間を過ごせる事が、本当に楽しいって思えるようになっていた。
『一人じゃない時間』も、素直に嬉しいなと思える。
今日この頃です。