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月世界の願いごと~奇跡の花は煌めく三日月の夜に咲いて~  作者: 菜乃ひめ可
第二・五章 文化交流会(魔法勝負後)
78/181

68 文化交流会2日目~正解~

お読みいただきありがとうございます(*'▽')

♪こちらのお話は、読了時間:約7分です♪


(Wordcount3120)


 まさかの『問題』形式に、自信満々で言った、“私の答え”。


 もしかして♪

「はぁ~い!」

 私は、少しだけ右手を挙げてみる。


「ハ~イ、月さん。答えをどうぞ~」

 まるで、授業中に問題を出す『先生と生徒』みたいな。そんな会話をする私達。何だかちょっと、楽しくなっちゃいました。


 そして私は、少し緊張しながら、答えを言う。

「えっとえっと♪ 答えは“シュワシュワ”です!」


「んー……んっ?」

 星様は一瞬、えっ? というお顔をした後、グーの手で口元を隠しながら、笑いを堪えているようだった。


「ほ、ほしさま、あのぉ~??」

 あれ? 違ったかな?

 頭の中には、『はてな?』がいっぱい。


「ふふふふっ――」

 少し、笑いが大きくなっている。


「え~。そんなに笑わないでー」

 もう、答え合わせしてくださぁい!


「ははっ、ごめん……ごめんね?」

 そう言うと、星様は一つ、深呼吸をした。


「ぅぅぅー……」

 私は、ぷくっと頬を膨らましながら、少しだけご機嫌斜めで、夜空を見上げる。


 それに気付いた彼は、ゆっくりとベンチから立ち上がった。そして、夜の美しい空を見上げる私の、ほんの少し視界に入る位置から覗き込むと、いつものように、微笑みながら優しい声で、“囁く”。


「笑ってごめん、ご機嫌直して? あまりにも月の答えが、可愛らしくて」


「うにゃッ……!!」

 えぇー、星様の声が、耳元で、優しい声がぁ!

 それに、お顔も。ち、ち、近いですって!

 もう……いつもいつも。私ばっかり『ドキドキ』しているみたい。


――私、やっぱりおかしいよネ。


「では、答え合わせをしましょう♪」

「は、はいっ!」

 答えは何だろう?

 “シュワシュワ”では、ないとすると……。



「月さん、正解でーす」

 彼は、大きく両手を広げ、私の顔を見てニッコリ。


 んっ? ――せ・い・か・い??

「エッ……エー? でも……」


『でも』という言葉に、私が否定的な話をするであろうと、続きを察したのか? 彼は、人差し指を自分の口元にあて“待って”のポーズ。私は、疑問の言葉を、一度飲み込んだ。


「月が答えてくれた“シュワシュワ”。これは、きっと“表現”が違うだけかなって。言われてみれば、“しゅわしゅわ”だ。なので、意味は同じかな、と」


 彼は、新たな発見! と、明るく言ってくれた。


「そ、そうなの……でしょうか?」


 柔らかくて、否定しない口調で、いつも“認めて”くれる。星様の、包み込まれるような優しさ、海のような心の広さ。多様な視線で物事を見れるところとか、相手の気持ちを考え、違和感なく対応できるところとか……私にはない部分がいっぱいあって。


 本当に、いつも尊敬しちゃう。


「はい、なので月さん、正解です」

 また、ニッコリ笑顔。彼はきっと、()()安心できる、微笑み方を、分かっているような気がする。


「……ありがとうございます。星様は優しいのです。でも、ちゃんと覚えます! 私は今日一日、色んな方と出会って、お話出来て、自分の知識が偏り過ぎている事に、今更ですが気付きました。知らない事も多くて……。お恥ずかしい限りです。ですので【正しい答え】を! 教えてください」


 それを聞いた彼は、私の横に立ったまま、いつも通りの爽やかな表情で、お話を続けてくれた。


「月、いいかい? “僕の声”をよく聞いて……」


「声……うん、わかった」

 あれ? この感覚……どこかで。


「この広い世界にはね、『仲間』がたくさんいる。その数程、様々な考えがある。そして知識、創造、芸術……考え始めていると、キリがないのだけれど。もちろん悪いもの、邪心も含めて。この世界に【正解】は、いつも()()()()とは限らない。そう! 星の数ほど、あるのかもしれないよ」


 そう言って、夜空の星を掴むような仕草を見せた。


「星様……」


「だからね、月」

 掴めないはずの【星屑】。開いた星様の手のひらからは“キラキラ”と、光り輝く星のような粒が、たくさん溢れ出てきた。


「あわわぁ~!!!!!」

 私は、思わずキャッキャと喜び、両手いっぱいに受け取る。その【粒】からは、温もりを感じた。そして、彼の“声”と、その“想い”は、心の奥深くまで、ゆっくりと流れ込んでくる。


「月には、月自身の思う【正しい】を、大切にしてほしい」


“瞳が……離せない…………。”


「自分の【正しい】、を……?」


 真剣な表情で、少しだけ(かた)い雰囲気が流れた。でも、それは一瞬の出来事で……彼はまた、笑いながら話し始める。そうやって、いつも、その場の空気を読んで、和やかに戻してくれるのだ。


「さて、月の“シュワシュワ”、だけれど」

「うっ……ハイ」

 私はまだ、少し不安になりながらも、彼にお返事をする。そんな彼はというと、穏やかに微笑みながら、話を続けている。


「他の言い方が、いくつかあって、ソーダ水や炭酸水、そう言ったりする。月は、どちらか聞いた事あるかな?」


「うーん。ない……です」


 すみましぇん。本当に知らない事ばかりの私です。キラリの森にいた頃は、大人の人たちが、何か『シュワシュワ~!!』ってした飲み物を、美味しそうに飲んでいたのだけれど。


 あれも、“そ~だ??”水?


「聞いた事がない」と、答えた私に、星様は、そうだったんだねーと言いながら、目の前にある、優秀な透明度の綺麗な瓶に、もう一度触れて、説明を始めた。


「ハートの間にある、三日月型をした瓶。中に入っているのが、ソーダ水だよ」


「はぁ~……アンティーク調のハートも可愛いです、なんだかお姫様が持つ、聖杯みたいですし♡ 硝子は、瓶の形が見えないくらい、美しい透明で~」

 私は、またまた……しばらく、その三日月型の硝子に、見惚れてしまっていた。


「良かったよ、本当に」

 星様は小さな声で、安堵するように呟く。


「……ふぇ?」


「いや。何でもないよ」


――三日月。

 真っ直ぐで、正義感も強く、素直で良い子だ。

 でも、だからこそ、このままだと……。



「星様、どうしたの?」

 急に、()()を考え込んでいるように見えた。いつもとは違う彼の横顔が、とても心配になった。


「いや……何もないよ」


 優しく、いつものように“笑って”いる……。

『一人で、()()を抱え込んでいる?』


「えーっと、それならいいけれど」

 ホントに、大丈夫……かな?


「ハイ! さてさて♪ 最後の仕上げですよ~」

 少し高めの、楽しい声に戻った、星様。


「えっ! 仕上げですか?!」

 驚きです。これで終わりではなかったのですね~!!


「この、ソーダに……♪」


「うわぁぁ~はぁぁ♡」




 ◆◇


 月が、期待と喜びの声を上げた、その瞬間。

“ふわり”と、優しく、穏やかな風が吹いた。


――僕は。

 無邪気な君の笑顔に、何度癒され、助けられただろう。

〔ホワイトブロンド〕色に(きら)めく、君の美しい腰まであるストレートの髪。

 あの階段で。いつも一緒に過ごし、そこで君を慕う可愛い精霊たちが、遊び舞う小さな風に、“さらさら”と髪がなびくたび……僕はいつも、瞳を奪われる。


『今日は、大会があったからかな?』


 ふたつに結われ、毛先を少し巻いた三日月の髪は、本物の『お姫様』みたいだ。くるんと巻かれた髪が、少しだけ吹く夜の風に遊ばれ、揺れている。

 そして、()()()()()()不思議な君の瞳。月は、自分で気付いていないのかも知れないが、見たものに反応して、瞳の色が変わる。

 この、()()()()()()という表現が、果たして【正解】なのか? は、解らない。が、それこそ僕にとっては、これが【正しい】言い方、なのかもしれないな。


――『「時が来たら話す」』

 そう……もうすぐ、その“時”が来る。

 伝えたくない事も、話さなくてはならない。


 それでも、三日月には。

――ずっと、そのままでいてほしい。


 ◆◇




「こんなに素敵なお菓子、見た事ないです!!」


「そう? 良かった。僕もとても嬉しいよ」


 そうだね。

 今日は……今は。


『素敵なお誕生日』に、しないと……だね。


次話も、ぜひみにきてくださいネ☆

皆様が楽しめるよう全力で頑張ります(笑)


続きを、おたのしみにぃ~♪

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