68 文化交流会2日目~正解~
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♪こちらのお話は、読了時間:約7分です♪
(Wordcount3120)
まさかの『問題』形式に、自信満々で言った、“私の答え”。
もしかして♪
「はぁ~い!」
私は、少しだけ右手を挙げてみる。
「ハ~イ、月さん。答えをどうぞ~」
まるで、授業中に問題を出す『先生と生徒』みたいな。そんな会話をする私達。何だかちょっと、楽しくなっちゃいました。
そして私は、少し緊張しながら、答えを言う。
「えっとえっと♪ 答えは“シュワシュワ”です!」
「んー……んっ?」
星様は一瞬、えっ? というお顔をした後、グーの手で口元を隠しながら、笑いを堪えているようだった。
「ほ、ほしさま、あのぉ~??」
あれ? 違ったかな?
頭の中には、『はてな?』がいっぱい。
「ふふふふっ――」
少し、笑いが大きくなっている。
「え~。そんなに笑わないでー」
もう、答え合わせしてくださぁい!
「ははっ、ごめん……ごめんね?」
そう言うと、星様は一つ、深呼吸をした。
「ぅぅぅー……」
私は、ぷくっと頬を膨らましながら、少しだけご機嫌斜めで、夜空を見上げる。
それに気付いた彼は、ゆっくりとベンチから立ち上がった。そして、夜の美しい空を見上げる私の、ほんの少し視界に入る位置から覗き込むと、いつものように、微笑みながら優しい声で、“囁く”。
「笑ってごめん、ご機嫌直して? あまりにも月の答えが、可愛らしくて」
「うにゃッ……!!」
えぇー、星様の声が、耳元で、優しい声がぁ!
それに、お顔も。ち、ち、近いですって!
もう……いつもいつも。私ばっかり『ドキドキ』しているみたい。
――私、やっぱりおかしいよネ。
「では、答え合わせをしましょう♪」
「は、はいっ!」
答えは何だろう?
“シュワシュワ”では、ないとすると……。
「月さん、正解でーす」
彼は、大きく両手を広げ、私の顔を見てニッコリ。
んっ? ――せ・い・か・い??
「エッ……エー? でも……」
『でも』という言葉に、私が否定的な話をするであろうと、続きを察したのか? 彼は、人差し指を自分の口元にあて“待って”のポーズ。私は、疑問の言葉を、一度飲み込んだ。
「月が答えてくれた“シュワシュワ”。これは、きっと“表現”が違うだけかなって。言われてみれば、“しゅわしゅわ”だ。なので、意味は同じかな、と」
彼は、新たな発見! と、明るく言ってくれた。
「そ、そうなの……でしょうか?」
柔らかくて、否定しない口調で、いつも“認めて”くれる。星様の、包み込まれるような優しさ、海のような心の広さ。多様な視線で物事を見れるところとか、相手の気持ちを考え、違和感なく対応できるところとか……私にはない部分がいっぱいあって。
本当に、いつも尊敬しちゃう。
「はい、なので月さん、正解です」
また、ニッコリ笑顔。彼はきっと、私が安心できる、微笑み方を、分かっているような気がする。
「……ありがとうございます。星様は優しいのです。でも、ちゃんと覚えます! 私は今日一日、色んな方と出会って、お話出来て、自分の知識が偏り過ぎている事に、今更ですが気付きました。知らない事も多くて……。お恥ずかしい限りです。ですので【正しい答え】を! 教えてください」
それを聞いた彼は、私の横に立ったまま、いつも通りの爽やかな表情で、お話を続けてくれた。
「月、いいかい? “僕の声”をよく聞いて……」
「声……うん、わかった」
あれ? この感覚……どこかで。
「この広い世界にはね、『仲間』がたくさんいる。その数程、様々な考えがある。そして知識、創造、芸術……考え始めていると、キリがないのだけれど。もちろん悪いもの、邪心も含めて。この世界に【正解】は、いつも一つだけとは限らない。そう! 星の数ほど、あるのかもしれないよ」
そう言って、夜空の星を掴むような仕草を見せた。
「星様……」
「だからね、月」
掴めないはずの【星屑】。開いた星様の手のひらからは“キラキラ”と、光り輝く星のような粒が、たくさん溢れ出てきた。
「あわわぁ~!!!!!」
私は、思わずキャッキャと喜び、両手いっぱいに受け取る。その【粒】からは、温もりを感じた。そして、彼の“声”と、その“想い”は、心の奥深くまで、ゆっくりと流れ込んでくる。
「月には、月自身の思う【正しい】を、大切にしてほしい」
“瞳が……離せない…………。”
「自分の【正しい】、を……?」
真剣な表情で、少しだけ難い雰囲気が流れた。でも、それは一瞬の出来事で……彼はまた、笑いながら話し始める。そうやって、いつも、その場の空気を読んで、和やかに戻してくれるのだ。
「さて、月の“シュワシュワ”、だけれど」
「うっ……ハイ」
私はまだ、少し不安になりながらも、彼にお返事をする。そんな彼はというと、穏やかに微笑みながら、話を続けている。
「他の言い方が、いくつかあって、ソーダ水や炭酸水、そう言ったりする。月は、どちらか聞いた事あるかな?」
「うーん。ない……です」
すみましぇん。本当に知らない事ばかりの私です。キラリの森にいた頃は、大人の人たちが、何か『シュワシュワ~!!』ってした飲み物を、美味しそうに飲んでいたのだけれど。
あれも、“そ~だ??”水?
「聞いた事がない」と、答えた私に、星様は、そうだったんだねーと言いながら、目の前にある、優秀な透明度の綺麗な瓶に、もう一度触れて、説明を始めた。
「ハートの間にある、三日月型をした瓶。中に入っているのが、ソーダ水だよ」
「はぁ~……アンティーク調のハートも可愛いです、なんだかお姫様が持つ、聖杯みたいですし♡ 硝子は、瓶の形が見えないくらい、美しい透明で~」
私は、またまた……しばらく、その三日月型の硝子に、見惚れてしまっていた。
「良かったよ、本当に」
星様は小さな声で、安堵するように呟く。
「……ふぇ?」
「いや。何でもないよ」
――三日月。
真っ直ぐで、正義感も強く、素直で良い子だ。
でも、だからこそ、このままだと……。
「星様、どうしたの?」
急に、何かを考え込んでいるように見えた。いつもとは違う彼の横顔が、とても心配になった。
「いや……何もないよ」
優しく、いつものように“笑って”いる……。
『一人で、何かを抱え込んでいる?』
「えーっと、それならいいけれど」
ホントに、大丈夫……かな?
「ハイ! さてさて♪ 最後の仕上げですよ~」
少し高めの、楽しい声に戻った、星様。
「えっ! 仕上げですか?!」
驚きです。これで終わりではなかったのですね~!!
「この、ソーダに……♪」
「うわぁぁ~はぁぁ♡」
◆◇
月が、期待と喜びの声を上げた、その瞬間。
“ふわり”と、優しく、穏やかな風が吹いた。
――僕は。
無邪気な君の笑顔に、何度癒され、助けられただろう。
〔ホワイトブロンド〕色に煌めく、君の美しい腰まであるストレートの髪。
あの階段で。いつも一緒に過ごし、そこで君を慕う可愛い精霊たちが、遊び舞う小さな風に、“さらさら”と髪がなびくたび……僕はいつも、瞳を奪われる。
『今日は、大会があったからかな?』
ふたつに結われ、毛先を少し巻いた三日月の髪は、本物の『お姫様』みたいだ。くるんと巻かれた髪が、少しだけ吹く夜の風に遊ばれ、揺れている。
そして、何色でもない不思議な君の瞳。月は、自分で気付いていないのかも知れないが、見たものに反応して、瞳の色が変わる。
この、何色でもないという表現が、果たして【正解】なのか? は、解らない。が、それこそ僕にとっては、これが【正しい】言い方、なのかもしれないな。
――『「時が来たら話す」』
そう……もうすぐ、その“時”が来る。
伝えたくない事も、話さなくてはならない。
それでも、三日月には。
――ずっと、そのままでいてほしい。
◆◇
「こんなに素敵なお菓子、見た事ないです!!」
「そう? 良かった。僕もとても嬉しいよ」
そうだね。
今日は……今は。
『素敵なお誕生日』に、しないと……だね。
次話も、ぜひみにきてくださいネ☆
皆様が楽しめるよう全力で頑張ります(笑)
続きを、おたのしみにぃ~♪




