67 文化交流会2日目~波長~
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♪こちらのお話は、読了時間:約6分です♪
(Wordcount2650)
「……綺麗ですねぇ」
ご機嫌な星様が、次に、大きめのトートバッグから、取り出したもの。それは、とても素敵な置物? (なのかな??)
これは、一体……“何”なのだろう?
アンティーク調の装飾がされた置物に、レトロだけど高級感のある、プリンセスハートのブロンズ枠が付いていて。ハート枠の間には、三日月の形をした“瓶”が、セットされている。蓋には……なんと【お星様】! そして“瓶と蓋”。この二つを繋ぐ金色の紐が付いている(見るからにツヤツヤしていて、絹みたい)。
テーブルに置くと、ちょうど月が斜めになって。その角度が、夜空になめらかな曲線を描きながら、浮かんでいる“三日月”のようで、いい感じ。
「硝子……? 透明感がすごい」
感動が、私の心の中を満たしていく。
「年に一度“七夕”の日にだけ、店頭に並ぶんだ」
そう話す星様を見ると、こちらを見つめていた。
なぜだろう……。
吸い込まれそうになる。
――深く、蒼い瞳の世界に。
私は、安心しているのか? 眠たいのか? それぐらい気持ちが落ち着いているのに気が付いた。星様の安らぎの声が、心身に沁み入って、心地良くて……お話が子守唄のように聴こえてくる。
どうしてかな?
『今日は彼と、とても“波長”が合う』
「……そう、店主が言うには、“知る人ぞ知る、特別な商品です!”と、とても力説していたよ。それからの話が、随分長くてね…………」
いつも以上に嬉しそうに笑って、たくさん話してくれる。お菓子屋さんであった出来事を、面白可笑しく、上手に話す星様の姿は、とても“新鮮”だった。
その語られる言葉によって、お店の雰囲気や中が見えてくる。
頭の中で、パズルのようにピースがはまっていき、だんだん絵になっていって。まるで一緒にお店に行って、お菓子をお買い物をしているかのような、そんな気分にすらなっていた。
彼の穏やかな口調は、その場所を“想像する力”を与えてくれる。色々なお菓子を眺め、自分の手に取り、談笑をする。そんな光景が、彼の視界を通して、お店ごと見えてくるようだった。
まだ行った事ないのに。すごく、楽しい♪
「え~? そうなのですね!」
とは、思ったけれども。
あぁ~でも、やっぱり行ってみたいなぁ……。叶願駅近くの、お菓子屋さんに。きっと、素敵なお菓子がいっぱいあるんだろうなぁと、私は心の中で呟いた。
お店で起きた、面白話を終えた星様は、少し昂った声で、私の名前を呼ぶ。
「ねぇ、月。良かったら……」
その言葉で、横に座る彼に視線を向けると、目が合った。
星様の表情は、真剣そのもの。強い眼差しが、私の心を変に緊張させてしまう。いつもよりも“ドキドキ”しながら、次に聞こえてくる言葉を、静かに待っていた。
『えー……目が合ってて、逸らせないよぉ!!』
見つめ合っている時間が、いつもより長く、――長過ぎて。彼の潤んだ蒼い瞳の奥へ、惹き込まれていきそうになる。海のようにキラキラと光る、“蒼の宝石”が、さっきよりも濃く、そして深く感じられた。
ねぇ、星様。私は……。
――あなたに、“惹かれている”のかな?
「お菓子屋さんに今度、一緒に行ってみないか?」
あっ……。
ぼーっとして、無意識に色んな事を考えていた私は、ふと、我に返る。
「……ぅ」
ふっにゃああああ!!!!!
ハイ、そうです。
もちろん! 【赤面】しています。お顔から火が出るって、たぶんこういう事を言うのだと、生まれて初めて思いました。見なくても分かります。
『私のお顔は、“真っ赤っか”です!!』
この時、私の頭の中では『恥ずかしい』の文字が、ぎっしりと並び、どんな想いよりも、その『気持ち』が、勝っていました。
なに? なにぃ? なんでー?!
今、私ったら『何を考えてたぁ???』
――“惹かれている”って……。
自分が、無意識に抱いてしまった考えに、想いに! 只今、少々!! パニックになっております。
待って! しかも、まさか! 星様が、私なんかを!!
『お誘いして下さっているの?!』
……心の叫びは、今にも口から溢れ出しそうになった。
私、三日月は、突然の事に“動揺”と“驚き”で、どう対処すべきか分からずに、焦ってしまっていたのです。
お、落ち着け~私。落ち着いてっ!
冷静に、冷静に、冷静。
でも。そっか……誘って頂けた事は、
『素直に、嬉しいから』
うまく息が出来ないくらいに、大きく波打つ鼓動。“ドキドキ”で、恥ずかしい【赤面状態】から抜け出すべく! 一度、落ち着くために深呼吸をして……
『ふぅぅ~……』呼吸を整えた。そして、やっとの思いで、私は言葉を口にする。
「あ~あの。嬉しいのです、光栄で……ぜひ、私からも、一緒に……ご一緒させて下さい……えっと、お願いしたいですっ!」
ああぁぁ。上手く言えにゃい。
「ふふふっ。ありがとう、【三日月】」
星様は、私からのお返事を聞いて、嬉しそうに、珍しく頬をピンク色に染めて、微笑んでくれていた。
「いえ、ぇ、えっと、こちらこそ……なの、です」
もぉ!! 三日月のバカ! しっかりしてぇ!
(と、久しぶりに、自分で自分にツッコミました)
『ごめんなさい、星様。私……お返事の言葉めちゃくちゃで、自分が情けなくて、泣けてきちゃいます』
顔を上げると、星様は吹き出すのをこらえながら、クスクスと笑っている。
『うぅぅ-ー!!!』
私は、またまた恥ずかしくなり、お顔を両手で覆い隠して、目をつぶった。
目を閉じると……少しの光も感じなくて、真っ暗。気持ちを落ち着かせるには、とても良かった。
ふと、急に“心配な事”が一つ、頭を過ぎる。
――良いのかな? 私が一緒で……
星様も、上流階級のお坊ちゃま。
例えば、ユイリア様とカイリ様みたいに。決まった方がいたり、しないのかな?
考える事じゃないのは、解っているけれど。ちょっぴり心配です。
「はぁ~い、ではでは! お菓子屋さんの店主が力説の……」
星様は、そう言うと、三日月型をした“瓶”にそっと触れた。すると、蓋になっていたお星様が、勢いよく飛んで開けられた。
〔シュパッ……ッ……ポン!!〕
「わぁーお!! ビックリです」
((( しゅわ、しゅわ…… )))
私の驚く姿を見て、彼は少しだけ、“悪戯”なお顔になった。そして、はしゃいだ笑顔で、問題を出してきた。
「さぁ、これは一体、何でしょうか?」
えー! まさかの『問題』形式!!
「えっと、……あっ!! もしかして♪」
ほとんど考える事なく、簡単な問題。目の前には、もう答えがありました。私は、自信満々で、答えを言ったのでした。
今夜の星様は、いつもよりも、近くに……。
“心”が傍にいるような。
私は、そんな風に感じていた。
いつもお読みいただきありがとうございます(。--。)
ぜひ、また読みに来てくださいネ♪




