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月世界の願いごと~奇跡の花は煌めく三日月の夜に咲いて~  作者: 菜乃ひめ可
第二・五章 文化交流会(魔法勝負後)
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66 文化交流会2日目~幸せのハート~

お読みいただきありがとうございます(◍•ᴗ•◍)

♪こちらのお話は、読了時間:約7分です♪


(Wordcount3180)


「わくわく、ドキドキ♪」


 私は、これから何が始まるのかなぁ……? と、期待に胸を膨らませ、嬉しさを隠しきれずにいた。パタパタ両足を軽く動かし、“ルンルン”ご機嫌。


 それを見た星様が、また笑い始める。


「ふふ。月の喜び方。小さい子供みたいだ」

「ほぇっ?! えぇぇ~……」


 うん、今日は私のお誕生日。自立する年齢『十六歳』になりました。とはいえ、私はまだまだ子供、です。


 だけどぉ……、でもぉ……。

 うぅぅぅー。

 少し、しょんぼりしてしまうワタシ。

 彼は、笑った表情のまま、こちらを見つめていたけれど、すぐに、言葉の補足をしてくれた。


「思い違い……しないでね」


 えー? と、ゆっくりと顔を上げて見る。

「……ぅにゅ? どゆことでしょお?」


 力なく聞き返した私に、軽くウィンクしながら、ねっ! と、彼は答えた。


「とっても素直で“可愛い”という意味だよ」


“ドキッ”とした。


 また、星様はぁ……そんな恥ずかしい言葉、サラッと言わないでくださいー!! ――いつもそう。私のお顔が真っ赤になるような、どこかくすぐったくなるような事を、簡単に言うのです。


 今日なんて……

(数えきれないくらい)言ってもらっている。


『“幸せ”を、もらっている?』


 私は、何とも言えない気分になっていた。

 当の彼は、あどけない笑顔で私を見て、いつもより柔らかい表情。

 私には、そんな彼の方が“可愛い”と、感じてしまった。


「さぁ~て、始めようかな」


 可愛いフリルレース付き♪ の『ラメ・キラ()()テーブルクロス』は、星様の手が作り出した“素敵な魔法”で広げられ、あっという間に! テーブルセッティングが完了した。


 屋上の白いベンチで、隣に座った時とは違い、もう、()()()()()()()()()ぐらい近くに、彼は私の隣に、座った。


――静かに……そして、“そっ”と。


 でも、なぜか?

 私に、少し気を遣いながら座ったように見えたのは、気のせいかな?


「それではお待ちかね♪ 今日の特別イベント」


 私と瞳を合わせながら、そう言った彼は、いつもは持ち歩いていない、大きめのトートバッグから『綺麗な“透明の巾着袋”』を取り出した。

 その巾着は、星様の、細くて美しい右手のひらに、収まるくらいで。そして……私はその中を見て、とても驚いたのです!!


「星様?! 巾着の中が……!!」


 暗闇を照らす、今日の明るい『月』の光。

 その光に反射しているからなのか?


“透明巾着袋”の中身は、たくさんの小さな粒が、光っていて。それを、よーく見てみると、“色とりどりの輝く粒”が入っていた。

 私は、一瞬で目を奪われ、好奇心で、気分は高揚していた。

 その巾着の中で“輝く粒”がキラキラと動く姿は、まるで夜空の『星』のよう。


 すっかり見とれていると、星様がお話を始めた。


「月、叶願駅(かながんえき)の近くにある、お菓子屋さんの話……覚えているかな?」


「ハイ!! もちろんです♪」

 私は、高揚した気分を抑えつつ、浮ついた声で、お返事をする。


「そっか……行ってみたかい?」


「いえ、行ってみたかったのですが。高級なお店ですし、駅に行くこともなかなかなくって。結局、まだお店の中に入った事は……」

(残念ながら、ないのですよぉ)


「良かった……」

“ボソッ”と、星様が呟く。


「えっ?」

 どうしたの、かな?


 彼は、横目で私を見ると“わくわく”した様子で、続きを話してくれる。


「これが、あの時に話した『星の輝き』だよ」


「えー!! 本当ですかぁ?!」

 私のおめめは嬉し過ぎて、“ウルウル♡”です!


 わぁーい、わぁーい!! と、言って喜んでいる、私の姿を見た星様も、一緒になって嬉しそうに「うんうん」と、笑っている。


「七夕期間の、限定!! 金平糖でしたよねぇ♡」

 想像以上に綺麗で、きれいで! きーれーいー!


“カラン、カラ~ンッ”

「さぁ、おひとつ? おふたつ?? みっつ??? どうぞ~」

 彼がにっこりしながら、準備した星型のガラス皿に、出してくれた。


「お皿が! お星さまなのですね! 素敵です……ありがとうございます」

 私は、いただきまぁす、と“満面の笑み”で、金平糖を見つめ、おひとつ頂いた。


 これは、今まで見てきた金平糖とは、比べ物にならない程、色も形も美しくて。それから、今までに食べた事がないくらい、“甘くて、美味しい”。昔ながらの砂糖菓子は、間違いなく【糖花】と呼ぶにふさわしい、綺麗な“お花”のようなお菓子。


――そして、この輝き……。


『星の輝き』は、ぴったりのネーミングです!!


「どうかな、お味は?」

 少しだけ、心配そうなお顔で聞いてくる星様。


「ふにゃ~甘くて溶けて……もぉ、美味しすぎて……はぁ~」

 私は、すでに『星の輝き』の虜で“メロメロ♡”になってしまいましたぁ。


「あはは、そっか。そんなに喜んでもらえたのなら、僕も本当に嬉しいよ。“色”で味が違うらしいのだけれど、月はどれを食べたのかな? 」


――この心地良い時間……大好き。


「えーっとぉ……コレです♪」

 私は、お皿の中でキラキラと踊っているような、美しい金平糖を見つめながら、またひとつ、同じお色の粒を、手のひらに乗せて見せた。


「んっ? えっと、何色??」

 あっ、暗いから見えにくかったかな?


「えっと、ピンク色の……はぁぁぁ!!!」


「おっと……ど、どうしたの?!」

 飛び上がってしまった私に、戸惑う星様。

 いえ!! でも、これには、ちゃんとした理由があるのです!!



「星様、星様!! 見て下さい!」


「うん? あ……」

 彼はちょっとだけ、驚いた表情の後、フフッ。


「驚きますよね? ハート型です♡」

 これは、とっても珍しいのではっ?!


「すごいよ。初めて見たし、初めて“聞いた”よ」

 軽く“パチパチ”拍手をもらった。


「やったぁ!! こんな事も、あるのですねぇ♪」

 私は嬉しくて、ワクワクして、舞い上がりそうになった。


 右手にお菓子、左手は頬につけて、嬉しくて、溢れ出しそうになっている気持ちを抑え、自分を落ち着かせる。


――あっ! そうだぁ♪


「これ、星様に♪ ピンク色の美味しいの!」

 見た事も、聞いた事もない。滅多に出会えないって知ったら! これは絶対に、星様が食べるべきです!!


「え……いいよ、月。お食べ」

 笑いながら、すこぉーし遠慮がちに答える。


 しかし!! そう簡単に、私は諦めません!!

「いーえ! こんなに“ラッキー”なハート♡」


「じゃあ、尚の事。月が食べるべきだよ」


 か、かわされたぁー。で、でも!!

――『想い』を。


「星様、あのね」


 真剣な表情に変わった私を見て、星様も態勢を変える。

「うん、なぁに?」


 はぁ~、ホント。優しい声……。


 そして、私は思いきって、お話を始める。


「今日一日、星様に護られて、ずっと楽しくて、プレゼントも頂いて。こんなに、良くしてもらった事が、本当に感謝の気持ちでいっぱいなのです。だから……」


 彼は、少し困り顔で、頷いてくれた。

「わかった……ありがとう。三日月」


(やった!!)

 私は、ハートの金平糖を渡すと、彼はすぐに、自分の口へ運んだ。


「美味しいですか??」

「あぁ、いつも以上に、美味しいよ」


叶願駅(かながんえき)の近くのお菓子屋さん』

 そこにある、とっても素敵な金平糖……『星の輝き』。


――そのせいかな?


 私たち二人は、とても穏やかな気分と雰囲気に包まれ、自然と笑い合っていた。


 甘いものは『幸せ』を呼ぶらしい。


「エヘッ。『幸せのハート』ですね」

 ふと、思わず、ちょっと恥ずかしい台詞を言ってしまいました。


「そうだね、ありがとう」

 んっ? どうしてお礼??


「お礼なんて。元は、星様が下さったお菓子です」


 すると、お皿に入った金平糖を見つめながら、答える。

「違うよ、僕の方が……感謝しているから」


「感謝…………?」

 不思議な顔をしている私を見て、“クスクス”と笑った。


「さて。それから、もう一つ!」

「ん……えっ??」


“もうひとつ???”


 星様は、トートバッグから、また何かを取り出した。

「さてさて♪ 次へ行きましょう」


「えぇ!! まだ、何かあるのですか?!」


 十分なのに……。

 でも! 『楽しみ』です!!


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