56 文化交流会2日目~歴史~
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(Wordcount2250)
『癒しの木』
【力】(能力・魔力)を、回復する事ができる。
その“木”がある、学内の小さな公園で、またまた“謎”を抱えてしまったワタシ。いつになったら、平穏な時間を取り戻せるのでしょうかぁ?
(【バステト】様?)
さぁ~て、問題です!
アイリ様の言う【バステト】様とは、いったい誰の事なのでしょう?
チックタク、チックターク、ちっくたく…………。
はーーい!!
どうぞ、三日月さん!
『わっかりませーん』
頭の中でひとり、質問と回答をしている私。
知らない事は、考えても解らない気がする。
私は黙って、ちょっぴり引きつり気味のニコニコ笑顔で、ゆ~っくりとアイリ様を見た。すると、アイリ様は何を思ったのか、満面の笑みを浮かべながら、お話を続けられた。
「あら? ナイショナイショって事かしらぁ」
うにゃあーっ!
「あー! いえいえ!! 違うのです!!」
ふ~ん? と、不思議そうにされた。
これは、きちんと言わないとですね! と、私は黙ってしまった理由を伝えた。
「正直申し上げますと、私は【バステト】様というお方の事を、存じ上げないのですが」
「「!!!」」
「えっ?」
二人とも、私の事を凝視して動きが止まってしまっていた。――どうしたのだろう?
(やっぱりナイショにしてるって思われてる?)
「うーんと……」
「月ちゃんッ!! 嘘でしょお~??」
「あ、はっはぁ~本当ですぅ」
ふぅー、と息を吐き、月は思いっきり冷や汗をかいていた。
(危ない、危ない。大変な誤解を生むところでしたよぉ)。
秘密とかはない私は、本当に歴史に疎く、仮にナイショにしていたとしても、すぐ顔に出てしまい、分かってしまうだろう。
そう、当然、隠し通す自信はない。
「月ちゃん……」
「あ、えーと、ハイ?」
(えっ? 何だろう?)
そんなに改めて、真面目な顔で名前を呼ばれると、私は緊張して目眩がしてきた。
アイリ様、それからメイリ様も。お二人とも首を傾げて、困った表情で私の事を見ている。その理由を一瞬、考えていたのだけれど、解らない。
「あまり『歴史』などはお好きではないの?」
「え? あの……好き、と言いますか。学ぶ機会が少なかったので、知らない事が多いですね。どうしてですか?」
すると、心配そうにメイリ様が答えて下さった。
「月様。【バステト】様とは、月と豊穣を司る神、とされております。そして此処、ルナガディア王国でも、古くから愛されている“女神様”の事でございます」
「そうなのですか?!」
(そんな大切な知識を知らないなんて!!)
首を傾げて凝視されても、仕方のない事だと、私は心から納得した。
「……本当に申し訳ありません。私の勉強不足で、お恥ずかしいです。今後はもう少し『ルナガディアの歴史や伝説』について、学びの時間を作りたいと思います」
私は、申し訳ない気持ちと、恥ずかしい気持ちで、深々と頭を下げた。そして、自分にがっかりしてしまい、ちょっぴり落ち込んだ。
「あぁ! 月ちゃん、待って待って!」
すぐに頭を上げるように言われる。
「違うのよ! 責めてるわけではないのよぉ」
慌ててフォローして下さった。でも、私のお勉強不足は事実なのです。
「いえ、でも……」
「あは♡ そうだわ!」
私の言葉を遮るように、アイリ様は「良い事かーんがえたッ♪」と、
“ウキウキ”しながら、大きな声を上げた。
するとまた、呆れ顔のメイリ様が“姉”の行動を心配そうに見つめながら、お願いをなさる。
「お姉様? お願いですから、月様にご迷惑をおかけしないで下さい」
「そんな事、しませんわよぉ」
“うっふふふ”不敵な笑みを浮かべている。
そして“良い事”の内容を、話して下さった。
「私がこの学園で、歴史などの講義を担当している、というお話したわよね?」
「はい、案内していただいている際の、自己紹介でお聞きしました」
「うんうん。そこでっ♪ 月ちゃん。『歴史を学ぼう講座』を、あなたに講義してさしあげたいなぁって、思ったのよぉ」
その提案を聞いた、私の頭の中は、真っ白になってしまった。
そして、そのありがたいお申し出を、何とか丁寧にお断りするにはと、一生懸命考えた。
≪ うーん……言葉が見つからない! ≫
私が困惑していると、どこからか聞き覚えのる声がした。
「ダメですよ、アイリ。月さんに近づかないでください」
振り向くと、美しい髪をなびかせ、厳しい表情で立っているお方が。
「ラ、ラフィール先生?!」
すると一度、私の方を向き、とても優しいお顔で“ニッコリ”と笑って下さった。
「やだ、ラフィールじゃないの!」
アイリ様は、とても迷惑そうに先生のお名前を呼び捨てで呼んでおられた。
「えぇ。何か問題でも?」
んっ? なんか雰囲気良くないですねぇ……。
「問題はありませんけど。月ちゃんとの事、あなたには関係のない事ですのよ?」
すっごい迫力がぁ!!
「い~え~。残念ですが! それが関係あるのです。月さんは、私の大切な教え子ですから。そして……」
先生ありがとう、えへ♡
「何ですの?」
「親御さんからも、月さんの事を頼まれていますので」
えっ……そうなんですか?
「そう。それは遠くに通う、娘の心配をなさるご両親の気持ち、理解できますわ。しかし! それとこれとは話は別です! 何を根拠に、私では“ダメ”とおっしゃるのです?」
あぁ、その突然怒り始めるところ、カイリ様っぽいー!!
「お姉様、そろそろおやめください!!」
緊迫した雰囲気の中、ただただ、呆然と見ていた私。
そんな中、止めに入る『勇敢』な少女!!!
≪ メイリ様ぁ! ナイスです!! ≫
このメイリ様の一言で、ひとまず喧嘩? は収まった。
と、思われましたが……。
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