表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月世界の願いごと~奇跡の花は煌めく三日月の夜に咲いて~  作者: 菜乃ひめ可
第二・五章 文化交流会(魔法勝負後)
66/181

56 文化交流会2日目~歴史~

お読みいただきありがとうございます(◍•ᴗ•◍)

♪こちらのお話は、読了時間:約5分です♪


(Wordcount2250)


『癒しの木』

【力】(能力・魔力)を、回復する事ができる。


 その“木”がある、学内の小さな公園で、またまた“謎”を抱えてしまったワタシ。いつになったら、平穏な時間を取り戻せるのでしょうかぁ?


(【バステト】様?)


 さぁ~て、問題です!

 アイリ様の言う【バステト】様とは、いったい誰の事なのでしょう?

チックタク、チックターク、ちっくたく…………。


 はーーい!! 

 どうぞ、三日月さん!

『わっかりませーん』


 頭の中でひとり、質問と回答をしている私。

 知らない事は、考えても解らない気がする。

 私は黙って、ちょっぴり引きつり気味のニコニコ笑顔で、ゆ~っくりとアイリ様を見た。すると、アイリ様は何を思ったのか、満面の笑みを浮かべながら、お話を続けられた。


「あら? ナイショナイショって事かしらぁ」


 うにゃあーっ! 


「あー! いえいえ!! 違うのです!!」


 ふ~ん? と、不思議そうにされた。

 これは、きちんと言わないとですね! と、私は黙ってしまった理由を伝えた。


「正直申し上げますと、私は【バステト】様というお方の事を、存じ上げないのですが」


「「!!!」」


「えっ?」


 二人とも、私の事を凝視して動きが止まってしまっていた。――どうしたのだろう?


(やっぱりナイショにしてるって思われてる?)


「うーんと……」


「月ちゃんッ!! 嘘でしょお~??」


「あ、はっはぁ~本当ですぅ」


 ふぅー、と息を吐き、月は思いっきり冷や汗をかいていた。

(危ない、危ない。大変な誤解を生むところでしたよぉ)。


 秘密とかはない私は、本当に歴史に疎く、仮にナイショにしていたとしても、すぐ顔に出てしまい、分かってしまうだろう。

 そう、当然、隠し通す自信はない。


「月ちゃん……」


「あ、えーと、ハイ?」

(えっ? 何だろう?)


 そんなに改めて、真面目な顔で名前を呼ばれると、私は緊張して目眩がしてきた。


 アイリ様、それからメイリ様も。お二人とも首を傾げて、困った表情で私の事を見ている。その理由を一瞬、考えていたのだけれど、解らない。


「あまり『歴史』などはお好きではないの?」


「え? あの……好き、と言いますか。学ぶ機会が少なかったので、知らない事が多いですね。どうしてですか?」


 すると、心配そうにメイリ様が答えて下さった。


「月様。【バステト】様とは、月と豊穣(ほうじょう)を司る神、とされております。そして此処、ルナガディア王国でも、古くから愛されている“女神様”の事でございます」


「そうなのですか?!」

(そんな大切な知識を知らないなんて!!)


 首を傾げて凝視されても、仕方のない事だと、私は心から納得した。


「……本当に申し訳ありません。私の勉強不足で、お恥ずかしいです。今後はもう少し『ルナガディアの歴史や伝説』について、学びの時間を作りたいと思います」

 私は、申し訳ない気持ちと、恥ずかしい気持ちで、深々と頭を下げた。そして、自分にがっかりしてしまい、ちょっぴり落ち込んだ。


「あぁ! 月ちゃん、待って待って!」

 すぐに頭を上げるように言われる。


「違うのよ! 責めてるわけではないのよぉ」

 慌ててフォローして下さった。でも、私のお勉強不足は()()なのです。


「いえ、でも……」


「あは♡ そうだわ!」

 私の言葉を遮るように、アイリ様は「良い事かーんがえたッ♪」と、

“ウキウキ”しながら、大きな声を上げた。


 するとまた、呆れ顔のメイリ様が“姉”の行動を心配そうに見つめながら、お願いをなさる。

「お姉様? お願いですから、月様にご迷惑をおかけしないで下さい」


「そんな事、しませんわよぉ」

“うっふふふ”不敵な笑みを浮かべている。

 そして“良い事”の内容を、話して下さった。


(わたくし)がこの学園で、歴史などの講義を担当している、というお話したわよね?」


「はい、案内していただいている際の、自己紹介でお聞きしました」


「うんうん。そこでっ♪ 月ちゃん。『歴史を学ぼう講座』を、あなたに講義してさしあげたいなぁって、思ったのよぉ」


 その提案を聞いた、私の頭の中は、真っ白になってしまった。

 そして、その()()()()()お申し出を、何とか丁寧にお断りするにはと、一生懸命考えた。


≪ うーん……言葉が見つからない! ≫


 私が困惑していると、どこからか聞き覚えのる声がした。


「ダメですよ、アイリ。月さんに近づかないでください」


 振り向くと、美しい髪をなびかせ、厳しい表情で立っているお方が。


「ラ、ラフィール先生?!」

 すると一度、私の方を向き、とても優しいお顔で“ニッコリ”と笑って下さった。


「やだ、()()()()()じゃないの!」

 アイリ様は、とても迷惑そうに先生のお名前を()()()()で呼んでおられた。


「えぇ。何か問題でも?」

 んっ? なんか雰囲気良くないですねぇ……。


「問題はありませんけど。月ちゃんとの事、あなたには関係のない事ですのよ?」

 すっごい迫力がぁ!!


「い~え~。残念ですが! それが関係あるのです。月さんは、私の大切な教え子ですから。そして……」

 先生ありがとう、えへ♡


「何ですの?」


「親御さんからも、月さんの事を頼まれていますので」

 えっ……そうなんですか?


「そう。それは遠くに通う、娘の心配をなさるご両親の気持ち、理解できますわ。しかし! それとこれとは話は別です! 何を根拠に、(わたくし)では“ダメ”とおっしゃるのです?」

 あぁ、その突然怒り始めるところ、カイリ様っぽいー!!


「お姉様、そろそろおやめください!!」


 緊迫した雰囲気の中、ただただ、呆然と見ていた私。

 そんな中、止めに入る『勇敢』な少女!!!


≪ メイリ様ぁ! ナイスです!! ≫


 このメイリ様の一言で、ひとまず喧嘩? は収まった。

 と、思われましたが……。



お読みいただきありがとうございます♪

ご感想等頂けましたら嬉しいです(*'▽')

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ