55 文化交流会2日目~裏道~
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いつもは通らない、校舎の“裏道”
何度か来た事はあったので、迷わずにグングン進んで行った。
でも、本当は……滅多に通らない道。あたりも薄暗くなってきて、ちょっぴり怖かった。なので、気を紛らわすように私は、歌を口ずさみながら歩いていく。
『らんらーん♪ るんるるーん♪』
出来るだけ“陽気”に! 精霊ちゃんのランプで自分のまわりを、明るく照らす。しかし、どうして? そこまで、私が恐れるのか? そこには【悪】の存在が関係していた。
普段から人通りの少ない“道”や、暗く影になった場所には、悪の波動が生まれやすい。人の心の隙間を見つけては、狙って来る。
心の弱さに付け込まれて、悪人へと引きずり込まれてしまう。
――そうならない為にも!!
楽しい事を考えながら……。
そう! たとえば、大好きなケーキの事とか♡ 採れたてのフルーツで作った、果汁100%ジュースとか!!
私は今、『食べたい~飲みたい~』ものを思い浮かべて、ご機嫌になっていた。
「最近、ケーキ食べてなーい!」
はぁう。苺ショートケーキたべたいなぁ……。
なぁ~んて考えながら、
あーれぇ? つい何時間か前に、美味しいデザートをたくさん食べたと思うのですが……。私ったら、もう『あまいもの』を欲している??
≪ ほんと好きねぇ~ ≫
自分で自分にツッコミを入れる。
そんなこんなで……
『楽しい事を考える作戦』は、大成功♪
“裏道”の中でも一番危険な場所を、通り抜けることが出来た!!
「え~っと。この先は『癒しの木』だったよね」
『癒しの木』とは。
3m以内であれば、【力】(能力・魔力)を回復する事ができる木。
学園の中の数か所に植えられていて、その木のある場所は、生徒が自由に過ごせる、小さめの公園スペースとなっている。
「よーしっ! もうすぐ公園に着く♪」
すると、何やら話し声が聞こえてきた。
≪ えっ! 人がいる?! ≫
こんなに盛り上がっている文化交流会。まさか、こんな場所に先客がいるとは、思いもよらず。
「……ボソボソ…………」
≪ どうしよう ≫
うーん……。いやっ、もう仕方ない!! とりあえず、急いで通り過ぎて、別の場所に行こう!
そう決めて、私はゆっくりと歩みを進め、『癒しの木』公園に入っていく。視線に入るか入らないかぐらいの距離を取り、気にしてないですよ~と、なるべく見ないようにしながら通っていると、だんだん声が大きく聞こえてきた、その時!
「つっきちゃあ~ん♡」
「うふあわわーー!!!」
私は、しゅっごい驚きましたっっ! だ、誰だろう?? いきなり暗いところから出てくるのは、やめて下さい……心臓が止まるかと思いましたよぉ。
尻餅までは付かなかったのだけれども、かなり後ずさって滑った……。
「お姉様!!! もぉ……」
――えっ……
「め、【芽衣里】様?!」
ぺこりとお辞儀をされ、そしてまた、謝罪をされてしまった。
「はぁ……月様。ユイリア様に続いて、重ね重ね……本当に申し訳ありません」
「あっ、いえ。ちょっとびっくりしましたけれど。えーっと……」
“お姉様”って、一体?
メイリ様が、呆れたお顔で立っていらっしゃる。その隣で、クスクス笑っているお方は。
「――【愛衣里】さまっ?!」
「はいは~い♡」そう言いながら、こちらへ向かって、優雅に手を振って下さっている。……って、そんな事よりもぉぉ!
「エッ?あのぉ~“お姉様”って。お二人は姉妹?」
アイリ「そうですわ♪」
メイリ「残念ながら……」
「まぁ! メイちゃん!! 何てこというの?」
メイリ様の嫌々のお返事に対して、『姉妹』だと、嬉しそうに話すアイリ様……んっ? という事は??
「それって……」
「えぇ♪ ラウルド家。私が長女の【愛衣里】、長男【海偉里】、そして末っ子次女の【芽衣里】ですわ。うふふふ」
アイリ様は、なぜか嬉しそうだった。
しかし、なんという『衝撃』。
私は驚きすぎてうまくお返事を返す事ができませんでした。
「へぇーそーだったのですかー」
あぁ、棒読みになっちゃったぁ。
そんな、気の抜けた顔で返答すると、アイリ様がにじり寄って、私に質問なさった。
「そうそう、月ちゃん♪ 【バステト】様には、お会い出来たのかしら?」
「え……っと?」
――【バステト】様?
その方は、一体誰なのでしょうか?
いつもお読みいただきありがとうございます(≧▽≦)
今後とも、宜しくお願い致します。




