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月世界の願いごと~奇跡の花は煌めく三日月の夜に咲いて~  作者: 菜乃ひめ可
第二・五章 文化交流会(魔法勝負後)
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52 文化交流会2日目~王妃様の想い~

お読みいただきありがとうございます(*uωu*)

♪こちらのお話は、読了時間:約6分です♪


(Wordcount2700)



「それから……ユキトナ」


(( ビクッ ))

「は、はい。お母様」


 王妃様の視線。ユキトナ様は何を言われるのか? 解っているようだった。


(わたくし)もユイリア同様、危険があるかもしれないから、用心するようにと言われていましたのに、勝手に外へ出歩いてしまいました。……申し訳ありませんでした」


「えぇ、そうね。分かっているのであれば、よろしいのです」


 やっぱりお姉様だからかな? 王妃様、ユイリア様を叱る時よりも、表情や言葉の厳しさが増している。次に何を言われるのか? と、周りは冷や冷やしながら、続きの言葉を待っていた。


 王妃様は、一度目を閉じ、沈思黙考しておられた。

 しばらくすると、ゆっくりと目を開け、何かを決心したかのように、ユキトナ様に目を合わせられた。

 そして、()()()を告げられる。


「ユキトナ王女、よくお聞きなさい。今回の許可なく外出をした件ですが。国王様には……」


(あぁ、やっぱり。そのままという訳にはいかないのですね)。


 ユキトナ様は、涙をグッとこらえ、王妃様の声に耳を傾けながら、真剣に聞いていらっしゃった。私は、そんなお二人の姿を見ていると、様々な考えが頭を()ぎってしまい、胸が苦しくなっていった。


 しかし、王妃様のお考えは、予想に反していた。


「国王様には……ご報告()()()()()


「「「 !!! 」」」


(そうなのぉー?!)


「エッ!! お、かあさま、それって……」


 すると、ユキトナ様にとって、嬉しい(と、思われる)お言葉が伝えられた。


「それから、今夜開かれる、文化交流会での舞踏会ですが。ユキトナ……あなたの参加を、今回だけは()()()、認めましょう」


「え、本当ですか?! お母様」

 ユキトナ様は、見る見るうちに明るい表情になると、心から喜んでいるのが分かるほどに、満面の笑みで王妃様にお辞儀をしていた。


「えぇ。舞踏会でのお相手が【太陽さん】と聞けば、認めない訳にはいきませんわよねぇ~♪ オホホ♡」


(はぁ~……良かったよぉ)。

 ハラハラしながら聞いていた私も、そして周りの皆も、安堵の表情を浮かべる。


 王妃様は、すっかり柔和な表情に戻り、愉快適悦!

「楽しみだわ~♪」と、おっしゃっています。


「あ……ハイ。はぁぁ~」

 ユキトナ様も、ホッとしたご様子で。


 王妃様はウフッと嬉しそうに笑い「そうと決まれば!」と、ユキトナ様とユイリア様。お二人に一度、お屋敷へ戻る事を“許しの条件”と、命じられた。


「では皆さん。今日はお会い出来て良かったわ。ありがとう」

 王妃様のお言葉に、私たちは慌ててお辞儀をしながら、丁寧にご挨拶をした。


 そうして歩き始めた王妃様……でしたが?!

 突然、また振り返り「大変だわ!」と、ユイリア様にお話を始められた。


「大変だわ! そう戻る前に。ユイリア!!」


 王妃様に名を呼ばれ、改めてユイリア様は、身を引き締める。

「は、はいっ?!」


「太陽さんに、『お詫び』と『ご挨拶』なさい!」


 理由は、言わなくても解っているでしょう? と、またまた厳しい表情で、ユイリア様に(おっしゃ)っていた。


 ◆◇


 王妃は、最近のユイリアの『心の育成』について、少し悩み、彼女の将来を心配していた。そして今回、ついに、その心配は的中してしまったのだ。


 太陽が【イレクトルム王国】の王子だった、という事実を知らずに、失礼な事を言ってしまったという、今回の出来事。


 しかし、それというよりも、ユイリアがいつも取っている『行動』や『言葉』や『態度』に、少々問題がある……という懸念をしていた。


 そんな娘に『相手を敬う心と思いやり』を持ってほしいと願い、王妃自らが、ユイリアの心の教育に、日々励んでいる最中であった。


 ◆◇


「太陽様……も、も、申し訳、ありませんでした。えっとえっと、それから……」

 モゴモゴと、ユイリア様は恥ずかしそうに、お話しされていて。


 すると、優しい声で「ハイ!」と、太陽君が、小さく低く手を挙げ、そして……

「大丈夫ですよ、お嬢様!」と、囁きながら、太陽君はにっこりと笑い、ユイリア様に“何か”を手渡した。


「えっ? うさぎ……の?」


「可愛いでしょう? これ“チョコレート”なのですよ! ユイリア様、謝って下さってありがとうございます。さぁ、どうぞ! 召し上がれ♪」


――いつの間に準備していたのぉ??


 それは、手のひらサイズの、とっても『可愛いうさぎ』の“チョコレート”。プライドの高いユイリア様。“謝罪”は相当な気力を消耗することでしょう……。

 しかし!! まだまだお菓子をもらえば嬉しい年、ですので……(私も含め)。ユイリア様は嬉し恥ずかし~でお礼を言っていた。


「あ、ありがとうございます」


 色々とあったけれど、これからは二人とも、仲良くなれそうな気がするよぉ。


≪ 良かったぁ♪ ≫



 黙って見守っていた王妃様は、安堵の表情を浮かべた。


「では、太陽さん。ユキトナの事、宜しくお願いしますね」

 王妃様からのそのお言葉は、先程までとは違い、


――【強く、重く】感じた。


「はい、お任せください。約束の時間に、ユキトナ様をお迎えにあがります」


 太陽君は、全く動じる事なく“サラッ”と、いつも以上に! 落ち着いて答えていた。私は、ますます『王子様』感が上がっている! と、感じた。


 ふと、ユキトナ様を見るとまた、お顔が真っ赤~! になっていますヨ。


「ふえっ? いえ、あの……お迎え……」


 恥ずかしい気持ちが、こちらにまで伝わってきて。


≪ もぉぉ!! 可愛い『お姫様』♪ ≫

 私まで“キュンキュン♡”しちゃいますッ!!



「ユキトナ? どうしたのです? 行きますわよ」

 王妃様が呼んでいる、けれど? なかなか戻ろうとしないユキトナ様……。


≪ どうしたのかな? ≫


「あの、太陽様。舞踏会での……えっと」


 その様子に気付いた太陽君が、何かに気付き、笑って語りかけた。


「そうですね、ユキトナ様。私は『カスミソウの花』が好きですよ。小さくとも美しい、白や桃色の上品さが気に入っています」


「あ…‥ハイ! (わたし)もす、好きです」


「いやいや、すみません。気になさらないで下さい。では、お出かけまでゆっくりとなさって下さい。後ほどお迎えにあがります」


「はい! あの、ありがとうございました」


 太陽君の気遣いも優しくてぇ……。


んっ? そういえば、“お花の話”ってなぁに? どういう意味なの……?? “ワカラナイ”です。


≪ まっ! いっかぁ~ ≫

 

「はぁ~♡ でも、ホントに」


――『お似合い』だなぁ……♡



≪ もし本当に、お二人に恋の花が咲いたら? ≫



――『異国のふたり』って、どうなるのかな?


(( はっ!! ))

 やっだぁ! また私ったら……勝手に想像を膨らませて、先の事まで“心配”しちゃうなんて。


『おせっかい月ちゃん』は、まだ先に必要かも?


 それまで、この想像は……。


「『心の箱』に、大事にしまっておく事にしましょう」



いつもお読みいただきありがとうございます(*´▽`*)


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