50 文化交流会2日目~ときめき~
お読みいただきありがとうございます(*uωu*)
♪こちらのお話は、読了時間:約6分です♪
※2022/1/27 修正完了(Wordcount2920)
【王妃様】と【太陽君】。
どういうお知り合いなのでしょう?
あれから五分程経ちましたが、
お二人は、楽しそうに歓談なさっています。
皆驚きで、声をかけられずにいる中で、先頭を切って会話に入っていったのは、やっぱりユイリア様だった。
「お母様……どういうことですの? こちらの赤毛の……コホッ!! えーっと? 『タイヨウ?』様、とは? 一体、何者なのですか!」
直球のご質問。ユイリア様、相変わらずスゴイです!
すると「あらあら、おしゃべりに夢中になっていたわ~オホホ」と言いながら、ユイリア様の質問にお答えになった。
「もう、あれから何年になるのかしらねぇ? えーっと……そうそう! ユキトナがミニスクールを修了する、少し前の旅行ですわ♡ ねぇ? ユキトナ覚えているかしら? お父様と一緒に行ったでしょう?」
太陽君との思い出話に花を咲かせていた王妃様。ご機嫌な気分のまま、高揚した様子で、嬉しそうに微笑み、ユキトナ様を横目で見ながら、そうおっしゃった。
昔から交流のある隣国、
――【イレクトルム王国】。
「あ……は、はい! お母様。私、もちろん覚えております」
少しだけ恥ずかしそうにしながらも、まるで、頑張るポーズ! をするように、両手をギュッと胸のあたりで握っている。そして、ハキハキと、自信を持った口調で、ユキトナ様はお答えになっていた。
ミニスクールを修了する頃という事は、ユキトナ様が七歳の時のお話?
(そうなのかぁ、そんなに前からのお知り合い……)。
――んっ? イレクトルム??
どこかで聞いたような……。それは、まさかのまさか! 私はこの瞬間ある事に気付き、そしてすぐに、確信に変わったのだった。
「た、太陽君……」
「おぅー? どうした?」
「いやいや『おぅー?』っじゃ、ないよッ!」
「あっはは、そんなに怒るなや」
笑いつつも、何かを察している様子の太陽君は、そっぽを向く。私は、その太陽君の視界に入るよう、前に回って質問した。
「あのぉ~、イレクトルムって太陽君の……」
「あー……はっはぁ♪」
「だーよーねー?!」
困った時の癖、首の後ろに手を置く。そして、いつものまいったなぁーの姿勢で太陽君は笑い、再び王妃様の話に耳を傾けた。
「あの日は、雨が降っていてねぇ……傘をさしながら、イレクトルムの街をお散歩していたのよ。そしたらこの子、いつの間にかいなくなっていて。それはもう大変な騒ぎになりましたの!! 全員総出で探し回って……」
あの時は、本当に困っちゃったのよねぇ~と言いながら、右肘を、左手のひらに乗せ、右手のひらは、頬に当てて「はぁ~」と溜息をついておられた。
「お、お母様! 恥ずかしいです……」
ユキトナ様は、両手で小さなお顔を隠した。
王妃様は、その姿を見てクスクスと笑いながら、その後も、とても懐かしそうに語られる。そして、次のお話で、太陽君との関係が……。
――太陽君の“本当の姿”が、明確になった。
「皆で探し回って、一時間後くらいかしら? 私はもう心配で心配で。心が削れる想いで、肩を落としておりましたの。するとある男の子が、泣きじゃくっている女の子の手を引いて、歩いてきて……私たちの視界に入ってきたのよ!」
あぁー! それってもしかして!!
「その男の子はねぇ。自分は雨でびしょ濡れになりながらも、その女の子を濡らさないようにと、体に合わない大きな傘を頑張ってさしてくれていて。でも、上手にエスコートしていてねぇ。あの光景、とても子供とは思えなかったわ~♡」
うんうん! と、興奮気味にお話する王妃様。
その男の子と女の子が誰なのか? 私は、お話の流れからすぐに予測がついた。
「あっははは、雄弁ですね。そういえば、そのような事もありました……んっ? では、あの時のうさぎちゃん……。もしや【雪兎名】様ですか?!」
太陽君は、少し嬉しそうな表情で、問いかけた。
「…………ハイ」
お返事をしたユキトナ様のお顔は、りんごのように真っ赤っかです。
王妃様の男の子のお話は、まだまだ続き……。
「今でも忘れぬ、そのお姿。とても勇敢で本当に勇ましく! 堂々としていた……まさしく凛々しいとは、この子の為にある言葉だと、感動したものよ~♡」
(す、すごい。褒め上げていますよぉ)。
その称讃たっぷりの雰囲気の中でも、太陽君は冷静に、そして落ち着いた表情で、姿勢良くしっかりと聞いている。
「そうですの。その男の子こそが! イレクトルム王国の王子様で、こちらにいる【イレクトルム=太陽】様! ですわ♪ オホホ~」
(エッ? お、おー、王子様ぁ?!)
「いやいや、そこまで褒めて頂けるとは。身に余るお言葉でございます。しかし、王妃様、私には“様”など……お付けにならなくとも良いのですが」
そう、真面目な顔で言う太陽君。
「まぁ! では【太陽さん】と、お呼びしても? あなたは本当に謙虚で、礼節を重んじる。あの頃と同じねぇ……身体は大きくなっても、中身は変わっておりませんのね。私、とても嬉しいわ~」
(あぁー……今、王妃様がサラッと言いましたね?!)
――太陽君の“本当のお姿”。
(私たちの知らない……タイヨウくん)
「そうだわ! ユキトナ、あなた助けて頂いたお礼、きちんとお伝えしてなかったでしょう?」
「はい……あ、あの。太陽様……」
ユキトナ様は、お顔を赤らめたままで、勇気を振り絞るかのように。両手を胸のあたりでギュッと握りなおすと、あの鈴の音のような可愛らしい声で、お礼の言葉をおっしゃった。
「あ、ありがとうございました……」
ユキトナにとって、それが今の精一杯だった。
顔を上げた後の彼女の頬は、変わらず紅潮していた。太陽を見つめる瞳は潤み、表情は艶やかに微笑んでいる。その笑みに答えるかの様に、周りにはたくさんの【精霊たち】が舞い始め、キラキラと輝きを放っている。そして、その場にいた皆が、ユキトナの美しさに魅了されていったのだった。
しかしさすが! 王子様なタイヨウ君は、そのお姿を前にしても表情一つ変える事はない。お礼の言葉をおっしゃったユキトナ様に、低くはっきりとした穏やかな声の、落ち着いた口調で言葉をかける。
「いえ、あなたがご無事で何よりでした。花のように美しく、純真無垢なまま成長されたユキトナ様に、こうして今お目にかかれて、心から嬉しく思っております。私のような者が、素晴らしいこの王国にとっての、大切な王女様のお役に立てた事は、大変光栄に存じます」
「きゃーーん♡」
(キャハッ! なになにぃ!! なんだかくすぐったぁぁーい♡)
私は、思わず小声で呟いてしまった。
『王子様とお姫様』なのね?! と、私はまるで、この御伽話のような出来事に、なぜか……心がトキめいていた。
――二人の運命的な再会……。
「な、なんて! 素敵なのぉ♪」
この時の私は、舞い上がり過ぎていた。
同じようにトキめいた(らしい)ユイリア様と、いつの間にか手を取り合い、「「キャー♡ 恥ずかしい~」」と、抱き合ってしまっていた。
◇◆
後に、太陽君から聞いたお話だと。
ユキトナ様は、太陽君に助けられた時、可愛いウサギの髪留めと、ぬいぐるみを抱っこして、座り込んでいたらしい。知らない異国の地で迷子になり、名前も言えないくらい泣いていたので、その女の子を太陽君が『うさぎちゃん』と、呼んだのだそうです。
次話!! ユイリア様との関係が?!
乞うご期待……( ´艸`)笑
『また見てねぇ~♪』




