必話03 魔法の鍵
上級魔法【鍵】についての説明と、
主人公が何故、魔力を制限されているのか?
についてのお話です( ..)φ
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(Wordcount1300)
――【鍵】
力(魔法、魔力)を制限(制御)をする際、様々な領域で使われる。魔法師の中でも難しいと言われ、高度な技術のいる【上級魔法】です。
◇
三日月は、上級魔法師である母(望月)から、鍵の魔法をかけてもらっている。
何故、「かけてもらって」いるのかというと、“トラウマ”のきっかけになったあの事件で、ありったけの『魔力開放』をしてしまったからだ。
事件後、大好きだった魔法は、魔力量コントロールが出来なくなり、三日月自身も、どうすればいいのか? 突然、魔法が上手く出来なくなった事への、自信喪失は、まだ幼い三日月にとって、とてもショックだった。解決する方法も分からずに、日に日に魔法への不安感が増していった。
望月は、そんな悲しい顔をする愛娘の姿を、もう見ていられなくなった。
「このままでは、三日月は魔法が使えなくなってしまうわ」
そして、事件から半年ほど経ったある日。
三日月が生まれた時から、お世話をしてきた者たち(三日月の強大な力を知る者たち)の、一部関係者を集め話し合いをし、母(望月)と、父(雷伊都)は、苦渋の決断をする。
「いつまた、あの子が無意識に、多くの魔力を使ってしまうか分からない状態です。皆さんに心配をかけ続けるのも、良くありませんし。そして一番は……あの子に、三日月にこれ以上、辛い思いをさせたくはありません。勝手な事とは思いますが、笑顔を失ってほしくない。楽しく、普通の女の子として過ごしてほしいのです」
――何より、魔法を嫌いにならないでほしいから。
皆、三日月に期待をしていた。しかしそれ以上に、三日月を愛し、大切に想っている。その心は同じだった。
「「「ライト様、望月様、もちろんです。我々も、三日月様の笑顔を一番に守りたい!」」」
「ありがとう……」
『人並みならぬ力』を持って生まれた三日月。
まだ幼いという事もあり、魔力コントロールが出来なくなってしまった状態で、そのまま本人の意識に任せるという事は、今後良くない方向に力が作用し、悪い結果になる可能性がある。だからこそ、手遅れになる前に、両親は手を打ったのだ。
“魔力に制限”をかけるという事は、成長過程である三日月の、伸びしろを止めてしまうという事……しかし、この魔法以外に、方法はなかった。
「いつかこの子が、自分から『全てに向き合う』と言う日が来たのなら」
――その時は、私の全てをかけてでも。
「三日月、あなたを支えるわ」
上級魔法【鍵】。
こうして三日月は、愛する母から、魔力をコントロールするための【魔法の鍵】をかけられた。
◇
時は過ぎ、王国随一の魔法科学園に入学した日。三日月は、母からある物を渡された。
それは授業での魔法訓練の時と、指導者から特別に許可が出た時のみ、魔力を使用できるようにするためだけの【スモールキー】。
この時の母(望月)は、何も知らない三日月が運命に従うように。
『人並みならぬ力』と『宿命』を受け入れ、魔法への挑戦を始めている気がして心配する反面「もう一生ないかもしれない」と思っていた、三日月への期待と希望を、再び胸に抱いて。
あの日、森の皆が守った三日月への、想い。
その全てを、この【小さな鍵】に託し、渡したのだった。




