21 文化交流会1日目~誤解~
お読みいただきありがとうございます(◍•ᴗ•◍)
♪こちらのお話は、読了時間:約4分です♪
(Wordcount1590)
――『あなたのその綺麗な髪を、短く切ってくださらないかしら?』
この言葉、ユイリアの身勝手な要求が、頭の中でグルグルと回っている。そして、完全に呆れ果ててしまった。どうしてそんなに、自分の事だけ考えて発言、行動が出来るのか? 三日月には理解不能だった。
そうしているうちに、返事を聞くことなく説明は再開された。
「では、お話してあげましょう。カイリ様と私は、正真正銘の“婚約者”ですのよ!」
「へぇ~、そうなんですかー……」
――って?!
「「「「えぇぇぇー?!」」」」
珍しく三日月とメルルとティル、そして太陽までもが驚き四人で声がハモる。
それと同時に三日月は心の中で、あぁ~お似合いだなぁ、お二人とも性格そっくりですねぇ――と、ふと思ってしまった。
「えぇ、そうよ! ですから、あなたの入る余地はございませんのよ!」
「は、はい?」
(んっ? まさかユイリアお嬢様は、何か誤解しているのでは?)
「あ、あの~ユイリア様。何か思い違いをされているのではありませんか?」
「な、何がです?」
三日月の一言で、どうしてしまったのか? ユイリアは急に勢いがなくなり、とても焦った様子で答えた。そして落ち着きがなくなり、目は泳いでいる。
「あの、ユイリア様――」
すると、その言葉をかき消すように、ユイリアは強めの大きな声で反撃を開始した。
「お黙りなさい! とにかく、これで私が勝負を申し込んだ理由は、もうお分かりでしょう?!」
「……」
その場にいた全員が無言のままであった。お分かりでしょうと言われてしまった三日月は、いいえ~全く解りません……と、心の中で呟いた。そう心の中で――言われた内容が、あまりにも滅茶苦茶で理解が出来なさ過ぎて、その心の呟きは声として発せられることはなかった。
それからしばらく続いた沈黙。もちろん破ったのはユイリア本人だ。そしてついに何かが外れたように、叫び始めた。
「んんんーっ、ですから! カイリ様の私へのお心を……取り戻すためですわ!」
――えぇーん!!!
「あの、ですから違いますって!」
「いいえ、そんな訳……だって、だって」
(やっぱり、誤解なさってます。どうしたら分かっていただけるのか)
「ユ、ユイリア様。落ち着いてください」
あまりの興奮状態に、これはいけないと見かねたシャルが宥めに始める。
それを見て、少しだけホッとする三日月だった。が、一つ気になることが頭に浮かんだ。
――そう、理解できないことが一つ。
(私の髪、関係ないのでは? なぜ短くしてって?)
どういうことなのか? そう感じているのは三日月だけなのか? しかし落ち着き始めた状況に、ここでまた聞くと大変なことになりそうだと、その思いは心にしまう。この問題は“謎”のまま。
「だって! 月さんは――」
うっ! また始まるのか?! と構えた三日月。しかしここでようやく、メイリもユイリアの制圧に入った。
「ユイリア様! いい加減になさってください」
「だって、メイ……」
どうやらメイリは、ユイリアにとって信頼のある強いお付きのものらしく、すぐに言うことを聞く。
そして話の途中で、メイリが小さな声でユイリアの耳元で、静かに何かを伝える。
『近くに、カイリ様がいらしています』
ユイリアは振り返ると、少し離れたところにカイリの姿が。その瞬間、突然! 顔を真っ赤にして叫んだ。
「い、い、いやですわぁ~!」
ユイリアは両手で顔を隠し、恥ずかしそうにその場を走り去った。その後をシャルが、心配そうに追いかけていく。
残ったメイリは、というと。
「三日月様。今回の件、私としては大変、申し訳なく思っております」
そう言うとメイリは、三日月に深々と頭を下げた。
「い、いえ、なぜあなたが、頭を上げてください!」
(そんな事されたら、私、息が出来なくなりそうです!)
すると「ありがとうございます」と頭を上げた。そして、こんな事になってしまったのはと、ユイリアのことについて、メイリは訳を話し始めた。




