表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/181

21 文化交流会1日目~誤解~

お読みいただきありがとうございます(◍•ᴗ•◍)

♪こちらのお話は、読了時間:約4分です♪


(Wordcount1590)


――『あなたのその綺麗な髪を、短く切ってくださらないかしら?』


 この言葉、ユイリアの身勝手な要求が、頭の中でグルグルと回っている。そして、完全に呆れ果ててしまった。どうしてそんなに、自分の事だけ考えて発言、行動が出来るのか? 三日月には理解不能だった。


 そうしているうちに、返事を聞くことなく説明は再開された。


「では、お話してあげましょう。カイリ様と(わたくし)は、正真正銘の“婚約者”ですのよ!」


「へぇ~、そうなんですかー……」


――って?!


「「「「えぇぇぇー?!」」」」


 珍しく三日月とメルルとティル、そして太陽までもが驚き四人で声がハモる。


 それと同時に三日月は心の中で、あぁ~お似合いだなぁ、お二人とも性格そっくりですねぇ――と、ふと思ってしまった。



「えぇ、そうよ! ですから、あなたの入る余地はございませんのよ!」


「は、はい?」

(んっ? まさかユイリアお嬢様は、何か誤解しているのでは?)


「あ、あの~ユイリア様。何か思い違いをされているのではありませんか?」


「な、何がです?」


 三日月の一言で、どうしてしまったのか? ユイリアは急に勢いがなくなり、とても焦った様子で答えた。そして落ち着きがなくなり、目は泳いでいる。


「あの、ユイリア様――」


 すると、その言葉をかき消すように、ユイリアは強めの大きな声で反撃を開始した。


「お黙りなさい! とにかく、これで私が勝負を申し込んだ理由は、もうお分かりでしょう?!」


「……」


 その場にいた全員が無言のままであった。お分かりでしょうと言われてしまった三日月は、いいえ~全く解りません……と、心の中で呟いた。そう心の中で――言われた内容が、あまりにも滅茶苦茶で理解が出来なさ過ぎて、その心の呟きは声として発せられることはなかった。


 それからしばらく続いた沈黙。もちろん破ったのはユイリア本人だ。そしてついに何かが外れたように、叫び始めた。


「んんんーっ、ですから! カイリ様の(わたくし)へのお心を……取り戻すためですわ!」


――えぇーん!!!


「あの、ですから違いますって!」


「いいえ、そんな訳……だって、だって」


(やっぱり、誤解なさってます。どうしたら分かっていただけるのか)


「ユ、ユイリア様。落ち着いてください」


 あまりの興奮状態に、これはいけないと見かねたシャルが(なだ)めに始める。


 それを見て、少しだけホッとする三日月だった。が、一つ気になることが頭に浮かんだ。


――そう、理解できないことが一つ。


(私の髪、関係ないのでは? なぜ短くしてって?)


 どういうことなのか? そう感じているのは三日月だけなのか? しかし落ち着き始めた状況に、ここでまた聞くと大変なことになりそうだと、その思いは心にしまう。この問題は“謎”のまま。


「だって! 月さんは――」


 うっ! また始まるのか?! と構えた三日月。しかしここでようやく、メイリもユイリアの制圧に入った。


「ユイリア様! いい加減になさってください」


「だって、メイ……」


 どうやらメイリは、ユイリアにとって信頼のある強いお付きのものらしく、すぐに言うことを聞く。

 そして話の途中で、メイリが小さな声でユイリアの耳元で、静かに何かを伝える。


『近くに、カイリ様がいらしています』


 ユイリアは振り返ると、少し離れたところにカイリの姿が。その瞬間、突然! 顔を真っ赤にして叫んだ。


「い、い、いやですわぁ~!」


 ユイリアは両手で顔を隠し、恥ずかしそうにその場を走り去った。その後をシャルが、心配そうに追いかけていく。


 残ったメイリは、というと。


「三日月様。今回の件、(わたくし)としては大変、申し訳なく思っております」


 そう言うとメイリは、三日月に深々と頭を下げた。


「い、いえ、なぜあなたが、頭を上げてください!」


(そんな事されたら、私、息が出来なくなりそうです!)


 すると「ありがとうございます」と頭を上げた。そして、こんな事になってしまったのはと、ユイリアのことについて、メイリは訳を話し始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ