20 文化交流会1日目~勝負のお誘い~
お読みいただきありがとうございます(/ω\)
♪こちらのお話は、読了時間:約4分です♪
(Wordcount1590)
太陽の出場した大会も無事に終わり、次はどこ行く~♪ と楽しく話していると、三日月背筋は急に……なにやらぞ~っとするような嫌な気配を後ろから感じた。
(そーっと振り返ると、予感的中です)
「あ~ら、三日月さんだったかしら?」
「こっ、こんにちはぁ。ユイリア様……」
そう答えると、ユイリアは随分とご機嫌斜めな様子でじーっと黙って三日月のことを見ている。
(うぅ、やっぱりちょっと怖いよぉ)
すると気付いた太陽が、ひょいっとその間に入り話し始めた。
「よぉ~お嬢様じゃないかぁ! ご機嫌いかがですかい?」
その声を聞いたユイリアの眉はピクリッ! すぐに不機嫌の矛先は三日月から太陽へ向けられる。
「また、あなたですの?! いい加減に」
興奮状態で怒り始めたユイリアを、お付きの方が止めに入った。
(こないだも一緒にいた、確かメイリ様? とても堅実そうな方です。私、挨拶なさい!って怒られたんだよねぇ)
「太陽様、でしたかしら? ユイリア様を揶揄うのはお止めください」
「んっ? はいはいっ」
(おぉ~思っているそばから! 太陽君が怒られてしまいましたぁ)
「あー、あなたね……どういう立場で」
(あわわ~、このままだとちょっと! えっと場も少し温まったところですし? 私は恐る恐る聞いてみる)
「えへへ。あ、あの~ユイリア様? 今日は何か」
思い出したかのように「そうでしたわ!」と一言。それからコホンッ! と咳払いをしたユイリアは、堰を切ったように話し始めた。
「先日の件、やはり納得がいきませんの。そこで月さん。私と『魔法勝負』をしていただきます!」
――えっ…………?
「ぇぇえッ?!」
(ど、何がどうしたら、そうなるのですかぁぁぁ!)
「ほほぉ~面白いなぁ」
「「おもしろー!! がんばれにゃー♪」」
「ちょっと! みんな」
「うっふふ。言っておきますけど私、上流クラスの中でも成績は良い方ですのよ。もしも、勝てそうにないとおっしゃるのであれば、勝負は別の方法に変えても良くってよ」
ユイリアは自信満々で三日月に勝負を挑んでいた。
(ん? いやいや、ちょっと待って! そもそもが! これまたおかしな話だよ)
――怖いけど、ちゃんと答えないと!
「あの~ユイリア様。先日も一方的なご質問だったり、今回は突然の勝負と言われましても、ちょっと。そもそも勝負する理由も、本当の目的も? よく分からないのですが」
三日月は「はぅ~」と大きく深呼吸をしながら、やっとの思いで気持ちを言い終えた。
それを聞いたユイリアは、黙って三日月の方を冷たい視線で見ている。しかも腕を組み、今にもお叱りを受けそうな雰囲気だ。しかし、ユイリアよりも先にお付きの者からの反撃が。
「ちょっとあなた、ユイリア様になんて失礼な事を!」
「ふぇーッ!」
(はい、分かっています! もぉ、上流階級の方って皆様、急に怒るの? 怖いよぉー)
「……おやめなさいシャル。いいわ、月さん。理由をお話ししてさしあげますわ」
(そう、そうだ。突然怒っていたの、シャル様だ)
「「 ユイリア様?! 」」
(おぉ~すごい息がピッタリ! メイリ様とシャル様……すごいのです)
「その代わり。私との勝負を必ず受けること。そして私が勝ったら、月さん。あなたのその綺麗な髪を、短く切って下さらないかしら?」
「はぁ? それはねぇだろう、お嬢さんよぉ!」
(はぅ、太陽君が怒ってくれてる)
「「全力阻止! はぁぁ!!」」
(あはっ、メルルとティルまで!)
「はぁ~みんにゃ優しいよぉう」
少し目頭が熱くなる三日月。ここ最近、なぜか様々なトラブルに巻き込まれ上流階級の者に振り回されている。おかげでかなりの心身を消耗し疲れていた三日月。そんな中で太陽やメルルとティルの優しさは身に染みるのであった。
しかしながら、この状況が変わるわけではなく。
ユイリアからの理不尽な言葉を受け、返事をする気力もなくなっていた三日月。思っていることも言葉にならず、ただ呆然とその場に立ち尽くしてしまった。




