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19-3 文化交流会1日目~太陽君~ (後編)

お読みいただきありがとうございます(/ω\)

♪こちらのお話は、読了時間:約3分です♪


(Wordcount1450)


 予想以上の盛り上がりを見せた、今年の魔法の壁アタック大会(私が勝手にそう言っているだけですが)。


 制限時間の三分が経ち、アタック終了のアナウンスが流れた。そして何事もなく安全に、無事に大会は終わった。



「はぁ、もうちょっとやったな~」


「お帰り太陽君! お疲れ様でした」


 頑張った太陽を、三日月とメルル・ティルの三人は、ニッコリ笑顔で迎えに行く。


「いや~ちょっと……残念だがなぁ」


「え? でもぉ、どういう事?」


 大会を終えた太陽は、一位だったにも関わらず、なぜかガッカリした様子で戻ってきていた。不思議に思った三日月が、どうしたのかと聞いてみると、太陽らしい答えが返ってきたのだ。


「あの最強に強い魔法壁に、一つでも穴をあける事! それが今回の目標だったんだが……」


 今回も無理だったなと言い、とても悔しがっていた。


 周りの参加者と戦っているのではなく、自分自身と戦っている。そういう意識を持っている太陽は、やはり尊敬でき改めてすごい人だなと、三日月は思う。


「たーいよぉ! おかえりー♪」

「たーいよッ♪ よくやったにゅー!」


「「かぁっこいい~かったにゃあん♡」」


「おっ、そうか! お前らが褒めてくれるんやったら、まぁ~良しとするか!」


 二人に抱きつかれ、慰めてもらう太陽。さっきまでの落ち込んだ顔が嘘のように、にっこりと満面の笑みになった。


 太陽は、可愛い妹のようなメルルとティルの甘い優しさに、とっても弱いのである。


(はぅ~太陽君、笑顔になって本当に良かったよぉ)



「「た~いよぉ~いい子いい子~ヨシヨシ♪」」

 メルルとティルの、ヨシヨシ大会が始まった。


「はいはいっ。ありがとよぉ。はははっ」

 

「わぁお~♡ いいなぁ、太陽君」

 そして、三日月はいつものお返しと言わんばかりに、揶揄うように言った。


「こ~ら~、月ちゃんよぉ……俺を揶揄うでないぞ!」


 そう言いながら笑う太陽が、メルルとティルからのヨシヨシ~♪ を受け入れていることに、ふと気付く。いつもだと恥ずかしいと言い、すぐ避けて逃げ、メルルとティルに追いかけられているのだ。


 しかし今は、恥ずかしそうにしながらも、まんざらでもなさそうに見える。

(弱っている……やっぱり落ち込んでいるのかな?)


 年に一度の文化交流会。この日の為に、太陽が懸命に頑張っていたのを、三日月たちは知っている。


 こんな大掛かりな訓練は、通常の授業ではまず有り得ない。なので、本気で実力を試す、絶好の機会なのだ。そんな中、努力をした分だけ、目標を達成出来ないというのは、やはり誰でもショックだろう。


「よぉーし!! 次や、次~!」

「「いえーい! つぎだ~♪」」


(ホント、太陽君は強い。力もだけど、心も)


――私も頑張らないとなぁ。


 いつも見ているだけの三日月。太陽を見ていると、そうやる気の出てくるような、そんな気持ちになる。


「何か参加してみようかな……」

 思わず、そう呟いてしまった。


「「「 エッ?? 」」」


「えっ???」


(し、しまった! また思った事を言ってしまったぁ)


「そうかそうか! やっとやる気になったのかぁ、月ぃ~!」


「ちが……!」


 太陽は、三日月の話を最後まで聞くことなく、よっしゃよっしゃと背中をバシバシする。


(違うのにぃー!)


 どうして、あんなことを言ってしまったのだろう? と。そう深く……ふかぁ~く、後悔した三日月なのであった。


(あぁ、太陽君が期待の眼差しで私を見ながら、愛情たっぷりのバシバシをしてくるよぉ)


「……い、痛いです」



――いや、違う。


 三日月はバシバシされていることよりも、自分の言ってしまった事が『痛い』のだった。


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