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19-1 文化交流会1日目~太陽君~ (前編)

お読みいただきありがとうございます(*uωu*)

♪こちらのお話は、読了時間:約5分です♪


(Wordcount2160)


 七月六日、文化交流会一日目の朝。


「ついに! この日がやってきましたぁ」


 三日月は予定に聞いていた以上に、たくさんのお店が並んでいるのを見て、ワクワクが止まらなかった。


 美味しそうなご飯屋さんに、お菓子屋さんもいっぱい! 普段食べる機会のない高級な和・洋食の店。

 それからお菓子屋さんは――宝石のように程良い間隔で美しく、綺麗に! 高級菓子たちが、キラキラと並んでいる。


(はぅ~見ているだけでも幸せだよぉ)


 そう、心の中で呟く。


「でもなぁ、うーん」


(いやっ、こんな機会は滅多にありません!)


 そう、やっぱり我慢は出来なかった。


「ヨシッ! たくさん食べちゃお~♪」


 とてもご機嫌だった。天気は心地の良く晴れており、木陰に行けば涼しいくらいの良い気候だ。


(う~ん、交流会日和! なぁーんてネ)


「ウフッ♡ 今日は、素敵な一日になりそう」


 メルルとティル、三日月の三人はお店を巡って、ひと通り美味しいご馳走を食べた。そして「次はデザートだぁ」と、お菓子屋さんへとルンルン気分で歩いていく。


 すると……?


「よっ! お姫様たち、楽しんどるな~」


「わぁ、太陽君!」


「「たいよーたいよん、あそぼー♪」」


 メルルとティルは、いつものように太陽に飛びつく。


「おぉーう、今日は勘弁してくれ~い」


 そう言いながらも、両腕上腕筋肉ポーズで二人を抱え、顔は緩んで嬉しそうにしている。ぶら下がりごっこでキャッキャー♪ とても楽しそうだ。


「メル・ティル~! 可愛い~」


 思わず、心の声が言葉になってしまう三日月。


(はぁ~、相変わらず仲良いなぁ。太陽君って、本当のお兄ちゃんみたい)


 三人を見ていて、三日月は一人ボーっと平和だなぁ~とふわふわ~と幸せを感じていた。すると、太陽の大きな声で、ハッと現実に戻される。


「おーい、月。お前も行くやろう?」


「ふぇ? あ、聞いてなかった。どこに行くの?」


 三日月は、ちょっと頬を赤くしながら慌て気味に答えた。


「そりゃな、あっちに決まっとるやろ!」


 えーと、だからあっちってドコなの? と思いながらも、誘われるがまま。急いで太陽たちについて行く。


「はぁはぁ……ま、待ってぇ~」


「遅いぞ~月ちゃんよぉ」


 ひどーいと言いながら、少し頬を膨らました三日月だったが、着いた場所を見渡して一気にご機嫌が戻る。


「中央広場! わぁー、色んな催しがあってるんだね!」


「「まっほー、まっほほー♪」」


「おう、そうなんだがな。えーっと、んーこれは? 『魔法で腕試し大会』とか、なぁ……いや~参った! 本当レベル高そうやな~」


 楽しそうに、広場の様子を見て回る太陽。うんうん、と一人で頷き笑っている。


(あっ、そうだ! いい機会だし。あの事、聞いてみようかな?)


 ふと、思い付きのように、三日月はある事を太陽に聞いてみた。


「ねぇ、太陽君。突然なのだけど、ずっと気になっていることがあってね」

 聞いてもいいかな? と、にっこにこの笑顔で太陽の顔色を(うかが)う。


「おぉ、なんだそのにっこり笑顔は! 怖っ! どうした、どうした?!」


「えー?! 怖くなんてないから」


 もぉーっ! と、結局また頬を膨らませてプンプンする三日月を、太陽は揶揄(からか)いながら頭をヨシヨシ。笑いながらはいはいっと受け流す。


 これは、いつものやり取りだ。


「んで、なんやろな~?」


(ヨシッ! 気を取り直してっ)


「えっと、えっとね。太陽君は、何歳なのかな~と思って」


「…………」


(あ、あれっ? もしかして聞いちゃダメだった?)


 その数秒後、太陽は座り込んで両手で顔を隠しながらしゃべり始めた。


「エッ? へぇっ?!」


 座り込んだ太陽に、どこか具合でも悪くなったのか? と、声をかけるメルルとティル。


「よぉーい? たいよぉん」

「だぁーいじょぶかにぃ?」


「いや、大丈夫。はぁ、そうか……聞いたのか、遂に」


「う、うん?」


 いつも、冗談ばっかり言って笑わせてくるあの太陽が、神妙な面持ちで、(あご)に手を当てながら、悩んでいた。そして、しばらくすると、その重い口を開く。


「じ、じ、実は」


(なっ、なに~? 怖いよぉ?!)


 その様子になぜか、メルルとティルは興味津々。可愛いくりっくりの瞳をキラキラさせながら答えを待っている。


「に、に、二十二歳だ。はぁー……現実やぁ~。これが現実やなぁ」


 えぇー見えない! とは、お世辞でも言えなかった。が、しかし! もうちょっと若いのかなぁとは、思っていた三日月は「おぉ~」と少しだけ驚く。


――でも、すっごい重い表情していたのに。


(答えは、普通だったぁー!)


 気付けばメルルとティルの、可愛いくりっくり~おめめの輝きが、キラッキラッ! と光って獲物ロックオン! 


 太陽へ狙いを定めている。


「にーにーなの?」

「にんにん?」

「「あ~!!にゃんにゃーん♪」」


「うえー?! さすがにそれは、やめてくれぇ」


 メルルとティルの、独特の表現に恥ずかしがりながら慌てる太陽。それを見て、笑いが止まらなくなる。


「太陽君が焦ってる~! あははっ」


「こらー月よぉ、お前のせいやぞー!!」


「「たーいよー、たーいよー、にゃんッにゃん♪」」


「やめんかぁーい、恥ずかしくて表歩けんなるわ」


「「わぁーい♪ キャッキャ」」

 

「こらー!! まてーいっ」


(えっ、まさかここで恒例の追いかけっこ始めちゃうの?!)


「え、あぁ~行っちゃった」


(大会……終わっちゃうよぉ?)


 そう思いつつも、三人の楽しそうな姿が可笑しくて、三日月は笑いが止まらなかった。


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