14 朝のルーチン
お読みいただきありがとうございます(*ノωノ)
♪こちらのお話は、読了時間:約5分です♪
(Wordcount2170)
六月も下旬。今日はとても良く晴れていて、気持ちのいい朝だった。
私は、学園から徒歩、十分くらいの場所にある、学生寮に住んでいる。さすが、王国が管理する学園の学生寮なだけあり、ちょっと高級な御家の一室に住んでいるようなぐらい、広くて、内装も素敵で、快適だ。隣のお部屋との距離も、きちんと取られていて、プライベートも守られ安心安全♪ 一人好きな私には、希望通りの……いやいや、贅沢なぐらいの寮なのだ。
しかし、同じキラリの森から来たメルルとティルは、知り合い? の方が中心の都にいるらしく、そこのお家でお世話になっている。
その話を聞いた時、正直私は驚いた。実は、スカイスクールに入るまで、二人に知り合いがいるなんて聞いた事がなく、全然知らなかったからだ。
「ふあぁあぁ~~」
(今日は、なぁんかちょっぴり眠たい……)
いつものように朝の支度を終え、今日のお弁当の準備をしていると、玄関の扉を叩く音がした。
コンコン、コンコン。
(あっ、来た来た♪)
毎朝同じ時間きっかりに、うちには可愛いお迎えが来る。
「はぁーい、どぞー」
ガチャ~……バターンッ!!!
「「うひゅゆひゅ♡」」
小声で可愛いお返事が返ってきたかと思うと、突然の全速力!!
は~い、朝のお決まりルーチンのスタートです。
「「おっはにょーん♪ えへへーん」」
「メルル~ティル~、いつもお迎えありが……」
言い終わる前から、もう二人の姿がどこにあるのか分からない。こうして毎朝、かくれんぼ状態で、私は探し回るのだ。
「どこ行ったの? メルル~?」
「にゃはーー!!」
今日は、にゃっはー? なのね。
「えーと、ティルは~??」
「にゃっほーー!!」
あっ、にゃっほー? ね。
「あはは、もう! 二人とも落ち着いてぇ」
(毎朝、私はこうして笑いが止まらなくなる)
「ひろーねぇ!!」
(いや、ほぼ毎日来てるでしょ!)
「お菓子はぁー?」
(朝食、食べてきたでしょお?!)
「わーい♪」「わぁ~い♪」
そう、本当にいつも賑やかで、スゴイ盛り上がりだ。
「いつも楽しそうで、何よりですよ、お二人さん」
「ねぇ~つっきぃ、まだぁ?」
「まだまだぁ~つっきぃ~?」
「はぁ~いゴメン、ちょっと待ってぇ! もうすぐ準備、終わるから」
実はいつも、メル・ティルのお弁当も準備する三日月。それだけが理由ではないが、結構朝の時間は準備でバタバタしている。しかし三日月は、二人と過ごすこの賑やかな朝の時間がなんだか好きで、毎日楽しくて仕方がないのだ。
「「アッ、わすれたったー!!」」
(お二人さん。今日も絶好調にハモっていますね♪)
「あと、ひとり分おべんとーほしいにゅー」
「もぅ、ひとりおともだちきてたったよー」
(えぇ、メル・ティルがお友達? 珍しい)
「いいよぉ? もう一人分ねぇ、準備しまーす!」
「あがとぉ~♡」「わすれったー!」
そう言うと二人は、また玄関へ走って行ってしまった。
それから一、二分後……。
何やら扉の前で、押し問答をするような話し声が聞こえてくる。
「「はいって、はいって~~♪」」
(メルルちゃん、ティルちゃん。自分のお家みたいにお客様を招いている気がするのですが)
「まぁ、いいのだけれど。って――んっ?!」
お客様を招いてる?! と、心の中で問う。そして、自分で自分にツッコむ三日月。聞いていない、聞いていませんよ? 友達を連れてくるなんて!! しかも、外で待たせているという大変な事態を把握した三日月は、申し訳ない気持ちでいっぱいになり、焦っていた。
(メル・ティル!! 連れてきているのなら早く言ってぇ、早くお家の中に入れてあげてぇ!)
ガチャ~……。
二人に、グイグイと腕を引っ張られながら、外で待たせていたお友達を、お部屋に案内していた。
(あぁぁ、お詫びを言わないと!)
「す、すみません! あのーどうぞどうぞ! 中に入って、ゆっくりしてお待ちくださいませ! その、まさか、お外で待たせているなんて。すぐに準備、終わりま、す、の……で?」
人見知りゲージが最大値に達している中で、勇気を振り絞って目をつぶりながらお詫びをした。そして、話し終える頃にやっと目を開けて、扉の方に立つお客様へ目を向ける――が、そこには!
「う、えっぇえー?!」
驚き、心臓が止まりそうになる。
「朝早くから、こちらこそ申し訳ない。お邪魔します」
「あ、あの。え、えぇ~?!」
なんと、お客様とは! いつもの場所で会う彼だったのだ。
「迷惑になるからいいと言ったのだけど、メルティが聞かなくてね」
「「えぇーだってぇ。つっきぃ~がおなまえ知らないー聞きたいって言ってたカラ~♪」」
(いや確かに! 聞かなきゃなぁ~とは言ったけどぉ)
「「ダカラ~つれてきたにゅー♡♡」」
「て、あ、どうして? メルルとティルが?!」
そう言うとメル・ティルは、またキャッキャーと部屋の中を走り、遊び始めた。
この瞬間、緊張は恥ずかしさに変化し、自分の顔が真っ赤になっていくのが分かった。
(あ……顔が火照って、熱いよぉ!!)
りんごのように赤い頬を隠す三日月。チラッと彼の様子を窺ってみる。すると、彼もこちらを見ていて、ぱちりと目が合う。
――は、恥ずかしすぎるぅ!
「あ、あわわぁ~の本当にごめんなさいなのです」
「気にしなくていいよ」
いつもは冷静で、ほとんど顔の表情を崩さない彼が、今日は珍しく頬をピンク色に染め、恥ずかしそうにこちらを見つめ、優しく微笑んでくれていた。
ついに彼の名前が明らかに!!
次話をお楽しみにぃ(。・・)ノ”