152 アフタヌーン・ティ
お読みいただきありがとうございます( ^^) _U~~
♪こちらのお話は、読了時間:約6分です♪
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「さてさて~皆様、この時間はごゆっくりと! おくつろぎくださいねぇ」
ラフィールの陽気な声が部屋中を明るく包み込む。それがお茶会開始の合図と言わんばかりにまぁるい光の精霊たちは皆をもてなすように楽しい音色を奏でながら、舞い躍る。
「うはぁ~♡ すごぉい。贅沢だよぉ!」
(まるで宝石みたいなお菓子に、種類いっぱいのサンドイッチも!)
テーブルに並べられた焼きたてのクッキー。
香りだけで「幸せだぁ」と美味しい気分になった三日月は、喜びの表情をする。その前回以上の素敵なお茶会にメルルとティルと顔を見合わせ、微笑んだ。
三日月と可愛い双子ちゃんの幸せそうな笑顔にルンルン♪ ご機嫌なラフィールは今にもフワッと飛びそうな雰囲気で三人に、話しかける。
「月さ~ん! 気に入って頂けましたかっ?」
「はい! そういえば……こんなケーキスタンド、初めて見ましたぁ」
そう言いながら見惚れるように彼女が見つめる先には可愛らしい形のケーキスタンドがあった。まるで花が咲いているような美しいお皿はハートを描くように回り動き、上部中心にはリボンをイメージした可愛らしい飾りがついている。
「あらあらぁ~、それはそれは! とっても嬉しいですよぉ。月さんがこんなにも喜んでくださるのでしたら、本日のお茶会は~大成功」
三日月の嬉しそうな顔に大満足のラフィールはクルんッ! と、ひと回りすると長く美しい人差し指をお皿に向け「こちらもプレゼント♪」と、素敵ウィンク。
キラキラきら~んッ!!
「んにゃっはぁ!」「んにゃっふぅ!」
するとその光にお目めまんまる~で、興味津々のキラりん! メルルとティルは三日月のテーブルに置かれたお皿を、覗き込んだ。
「「魔法ぉー!?」」
「……きれ~い」
三日月の前へ準備された真っ白な取り皿に「どぉぞ~」と、ラフィールの声。瞬きひとつする間にピンク色の花びらと美しい鮮やかな緑葉の模様が、サラサラと描かれていった。そこへチョコレートのプチケーキをのせながらラフィールは、説明を始める。
「今日は特別に! 五段という規格外なスタンドをご用意させていただいたのですよ、うっふふ♡ アッ、そうでした! せっかくなので……月さん、ぜひ! 花のように可憐なあなたに似合う、こちらのケーキからお召し上がりくださいな♪」
「か、可憐だなんて。またまた先生はぁ……」
そう言葉を発してすぐ、三日月の表情は一変する。
「わぁぁ! きゃー! ありがとうございます、ラフィール先生♪」
(なんて可愛いケーキなのぉ! それに、すごく美味しそう!!)
「いえいえ~、ウフフ。良かった、良かった」
本来であればサンドイッチから……という形式であるが、しかし。
今日のラフィールは「月さんが元気で無事に目を覚ましたお祝いですから」と、テキパキと舞うように移動し皆のお皿にも可愛いプチケーキを、よそう。
「なッ!! ラフィール先生に、そんな恐れ多いことをさせては――」
ここで慌てふためき始めたのは、太陽である。
此処、ルナガディア王国へは魔法を学びに来たと言っても過言ではない、太陽。そんな彼にとってラフィールは『ルナガディア王国で名高い、大きな力を持つ上級魔法師様』と、まるで雲の上の存在だと周囲に話していた。
その崇める気持ちは、人一倍強い。
それどころかあの魔法アーチェリー大会でユイリアを助けた三日月が魔力の枯渇によって気を失ってしまった際、施された回復魔法を間近で見ていた太陽は、以前にも増してラフィールの事を「尊ぶべき御方だ」と、心の師としても敬意の念を抱いていた。
「だぁ~いじょうぶですよ、太陽さん。今日はお客様なのですから、さささっ! お座りなさい、お座りなさい、ね」
「し、しかし……」
そんな御方から「ケーキをよそってもらうなど、あり得んのだ!!」と、ガチガチに緊張しながらラフィールの元へ行った太陽であったが「良い良い~」と、優しいラフィールの温かな手のひらに背中を撫でられ落ち着いた太陽は頬を赤くしながら素直に、席へと着く。
「ふふっ、太陽。そんな気を遣うことはない」
「いや! しかしだな……」
セルクは太陽の様子に含み笑いをしながらそう伝えると流れるように自然な動きで、飲み物の準備を始めた。
「ふ、あわわ! ほ、星様!! 私がお手伝いしますので……んきゃっ!」
次に慌てふためき始めたのは、三日月である。
セルクに準備をさせるわけにはいかないと急に椅子から立ち上がり、動く。
ガターンっ!
「月――!?」
しかしまだ完全回復とまではいかない三日月の足元はふらつき、倒れそうになった。見ていたセルクは驚き手に持っていたトレイをテーブルへ置こうとしたがフッと、足を止める。
ふわ……パッ。
風のように三日月を支え、助けたのは――。
「大丈夫ですか? 月さん、まだ無理はいけませんよ」
「あ……りがとうございます、ラフィール先生」
(優しい温もり。いつもと変わらない、透き通った声だ――)
彼女は再び迷惑をかけそうな自分の行動を反省しながら、思う。
――まずは自己管理。しっかり! 三日月!!
自分に気合いを入れ顔を上げた三日月は微笑むセルクと、目が合った。
「えへへ、すみません……星様」
「謝ることなど、全くない」
(君が無事ならば、それで良い。それに太陽もいる、大丈夫だ)
今までとは、違う。
自身の心が変化していると感じた三日月はとても冷静に事実を受け止め今後どうしていくべきかを、考えることが出来た。
一番は自分の心身を早く、回復させること。
次は思い出した記憶と向き合い前へ、進むこと。
そして――。
「“鍵”……」
(今度、キラリの森へ帰ろう)
小さな声でポツリと呟いた、三日月。
三日ぶりに目が覚めて、一時間程は経っていた。頭もはっきりしてきた彼女の心に引っかかっていたのは母、望月からかけてもらっている鍵魔法のことだ。
――カチャ……ン。
優しく置かれたソーサーの音。
その時、考え事をしていた三日月はハッと我に返った。
「月、ミルクは入れて良かったかな?」
「あっ! はい、ありがとうございます」
綺麗な蒼い瞳と横顔が三日月の耳元に近づく。その囁くように穏やかなセルクの発した声が彼女の心奥へと深く、温かく、じんわりと沁み入ってくる。
――とぽ……トトト。
(これは、安心感なのかな? 星様の声は、やっぱりホッとするよ)
「どうぞ。召し上がれ」
ニコッと笑い「美味しいと良いけれど」と艶黒髪をなびかせいつものクールな印象で、セルクは言った。
「ありがとうございます、とても良い香り」
幸せそうにする三日月の表情にセルクもラフィール同様、満足気である。そしてほやっと微笑む三日月に、思っていたことを話し始める。
「月がいれてくれたファーストフラッシュ――良い茶葉もさることながら、蒸らしも完璧――とにかくいれ方が素晴らしかった。僕がいれても、三日月の紅茶には遠く、足元にも及ばないけれど」
「えぇ! そんなこと、ぜーったいにないです!!」
三日月は恥ずかしそうに顔の前で手をぶんぶん! と振りながら、謙遜しつつも「頑張ってお勉強はしていますが、まだまだ」と、話す。
「いや、君のいれる紅茶は本当に。味も香りも最高だったから、ね?」
その様子をふふっと笑い横目で見つめた、セルクの笑み。
「ん……ぁ……ありがと、ございます」
(私、ずっと変だ。今も何だろう、胸がドキドキしちゃうの)
とても強い意志を感じさせる優しい視線。その全てを見透かすように澄んだ蒼い瞳はいつになく、真剣な眼差しであった。
お読みくださりありがとぉございます♪
『 関連? のあるお話 』(・・?ん?
~☆今回はふたつご紹介☾~
↓ ↓
第37部分【29 文化交流会2日目~お茶会~】
うふふ~前回のお茶会ですねぇ(´▽`*)
妖精さんたちの素敵な音から始まり♪
大切なシーンが描かれていますよ(笑)
なのなのお気に入りの部分でしゅ♡
お次はぁ……(*'▽')コチラ
第99部分【87 護るから】
こちらのお話は月ちゃんがおもてなし!
おいしいお紅茶をいれる……♪
ここもなのなのお気に入りだぁ(≧▽≦)
うーん、というか!
じぶんで書いてて
全部! お気に入りのお話なのだぁ(笑)
キャッキャヾ(≧▽≦)ノ
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それでは、またぁ~☆彡