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お読みいただきありがとうございます(◕ᴗ◕✿)

♪こちらのお話は、読了時間:約3分です♪


(Wordcount1220)


 文化交流会準備の、打ち合わせ中プチ事件。


 二人が去った後、一気に疲れた三日月は、その場で呆然と立ち尽くしていた。


(ラウルド様には、出来ればもうお会いしたくありません!)


「どうしたー? 何かあったのか?」


「「あったのかぁ~??」」


 少し離れた所にいた太陽とメル・ティルが、ざわざわの中心にいる三日月を見つけ、心配して遠くから声をかけてきた。


「な、何でもない何でもなーい!」


 それに大きく両手を振って答える。


(はぁ、いらない気を遣ってしまうよぉ)


 どうしてこんなことになってしまったのか?

 三日月はただ、静かに過ごしたいだけなのになぁと少し落ち込んでいた。そしてまた「うーん、うーん」と悩んでいると、急に周りの空気がふわっと、柔らかいものに変わったのに気付く。


――きっと、彼だ……。


「本当に。今回は何事もなくて良かったね」


 予想通り、あの素敵な蒼色の瞳が、優しくこちらを見ている。


「交流会の準備、いらしてたんですか?」


なぜだろう? と思う程、近付いてくる空気ですぐに彼だと分かった。その独特の心地良い空気感は、いつも三日月の心に穏やかな風を与え、安らぎを感じさせてくれる。


「すぐ近くで、交流会の花飾り準備をしていたんだ。ちょうど高い場所に上がっていたから、そこから見えてね」


(はぁ~お花ですかぁ。良いですねぇ♪)


 彼に会って、不愉快だった気分はクリアになり、そしてただ“お花”と聞いただけでも、気持ちが癒されていく。


「準備中に、わざわざここまで来ていただきありがとうございます。それにご心配といいますか、気にかけていただいて、何だか申し訳ありません」


 この時、思った。カイリと彼がここで鉢合わせしなくて本当によかった、と。三日月はホッと胸を撫でおろしていた。


「気にしなくていい。僕が勝手に来ただけで、それに……」


「……えっと?」


「おーい! そろそろ戻るぞー」


「戻る戻るー♪」「おいてっちゃうぞー♪」


「あっ、は、はーい!」


「いや、気にしないで。お友達が来たから安心だよ、じゃあ気を付けて。また――」


 いつものように優しく微笑み、ゆらゆらと手を振る彼は、花飾りの準備に戻っていった。


「大丈夫か? てか、あのお坊ちゃまは?」


「お坊ちゃま?」


(あぁ~そっか、今思えば彼も上流階級の人なんだね)


「おぅ? 上級クラスのバッチ付けてたからな」


「あ~うん。えっと、たまにお話しする方で。こないだちょっと、助けてもらったことがあって」


――えーと、あれ?


 三日月は、今まで気にもしていなかったあることに、()()()()()気が付いた。


「そうか? じゃあ悪い人やないんやなっ。うむうむ、だったら良い良い!」


「あぁーうん! そ、そうだねぇ……あっ太陽君、心配してくれたの? いつもありがとう」


「いやぁ~なんのなんの!」


(いや、良くないでしょおー! 私、ダメダメでしょ!)


 あり得ない話だが、いつも会話することが楽しすぎて、三日月は全く思いもしなかったのだった。


「どうしよう。私……」


――彼の名前を、知らないよぉーッ!


お読みいただきありがとうございます。

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