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124 見つめ合って

お読みいただきありがとうございます( *´艸`))

♪こちらのお話は、読了時間:約5分です♪


(Wordcount2160)


 ロイズの心づもりなど知らぬ、セルクと三日月。二人の雰囲気は出逢ったあの日のように和やか――仲良く笑顔で話している。


「あっ、そう! そうでした。星様のお飲み物ですが、お席ではなくてこちらにお持ちした方がよろしいでしょうか?」


「いや、そのままでいいよ。ありがとう、月」


「ぅあ、い、いえ……」


 見つめ合う二人。優しく微笑むセルクの表情は三日月の胸を一瞬、ドキっとさせていた。



 セルクが座っていたのは入り口から一番近くの席(なぜか隣にはランスがいるのだが)。呼ばれてからは長いリフェクトリーテーブルの一番奥の席、つまりテーブルの端から端に移動し、ロイズの左後ろに立ち続けていた。皆や三日月と話している間もずっとその場を離れず、待機の姿勢でいるのだ。


 ほんのり心にドキドキが残る中で何気ない会話を楽しむ三日月は、セルクの安心できる声を聞き少しだけ気付いたことがあった。


(そういえば、星様から感じていたあの近づきがたい雰囲気は何だったのかな? 今ではそれが無かったことのように消えて、いつものふんわり優しい星様だ)


 ロイズに呼ばれ待機し始めた瞬間から先程までセルクから感じていた、冷たく固い表情。それがいつの間にか柔らかくなり閉ざされた心の鍵は解けているように、三日月は感じたのだった。


「月の入れる紅茶は、格別だからね。楽しみだよ」


「い、いえ! 星様、そんなことは――」


 二人が笑いながら話していると穏やかな空間の流れを大きく変えるような、()()()が聞こえてきた。


 ちゅる~るる~……♪


「んっ?」

(ちゅる? 何の音かな)


 あまり聞かない妙な音だった。三日月とセルクは見つめ合ったままで同じ方向へ、首を(かたむ)ける。


 そして、その妙な音が聞こえた方へゆっくりと視線を向けた。


「「ちゅ~るる~ズッ……ぷはぁ!!」」


 そこにはなんと! 可愛い双子ちゃんが幸せそうに両手でお互いの頬を包み合い、桃色に染まった顔でニコッ。


「「……え?! アッ!!」」

 妙な音の正体――なるほど! そういうことだったのか〜と二人は、納得する。


「おやおや、ふふっ。メルティ、もうジュースを飲んでしまったのですか?」

 ロイズはそう言うと微笑みながら二人の頭を、ヨシヨシ、ナデナデ。


「「うにゃっはぁ! ジュースうまうまぁ♪」」


 メルルとティルの可愛いハモりとロイズの笑う、楽しそうな声。その時、ハッと我に返ったセルクと三日月。


 ずっと見つめ合い二人の世界に入り込んで話していたセルクと三日月は慌てて、周りを見渡す。にかっとするランスや父ライトの複雑な表情、そんな皆の視線に気付いた二人は恥ずかしそうに、目を()らした。


 何事もなかったかように取り繕う二人の顔は、互いに真っ赤っか。とても恥ずかしそうにしている。


(はぅ……星様と、自然に見つめ合っていたよぅ)


 三日月はセルクからプレゼントされたブレスレットの蒼い石を見つめながら、同じ色の宝石(セルクの瞳)に心惹き込まれていたことを、想う。


――海のように深い蒼色、あの美しい瞳から……目が離せなくなっていたの。


 二人の世界で見つめ合っていたことへの言い訳をするように。心の中で呟く三日月であったが……その想いは当然、誰にも聞こえず、誰にも分からない。


 ぱたーんっ!


「ねぇーねぇーねぇ!」「にゃーにゃーにゃ!」

「「早く~メルルとティルも、自己紹介してしてぇ!!」」


 この状況でも「周りのことは気にしないのらぁ!」という双子ちゃんの自由さに三日月の心は癒され、その無邪気で天真爛漫な姿を見たセルクもまた、助けられていた。


「うっふふふ、メル・ティル。すごい、一生懸命」

 三日月は落ち着きを取り戻していく。


「「イェーイ♪」」

 なぜか至近距離で楽しそうに手を振る、双子ちゃん。


「……ふふっ」

 ゆらゆらと二人に手を振り返す、セルク。


 最終的にメルルとティルの可愛らしさに思わず吹き出し笑ってしまう、セルクと三日月はとても幸せそうである。


――「落ち着いてきましたね」


 そして一緒に微笑み話すロイズの声は美しく、真っ直ぐに部屋の奥まで響き伝わっていった。



『ふにゃう~……そろそろ、始めるかのぉん?』

 皆には聞こえない。

 伝心能力によるロイズに宛てた、ランスの言葉。


『えぇ、そうですね』

 その言葉に顔色一つ変えず、やはり伝心能力で答えるロイズ。


――月さんにはまた、心の負担をかけてしまうでしょうけれど。


「さて、皆さん」



 幸せを繋ぐように吹いた、セルクと三日月の風。


 その若き二人の笑顔で変化しそうになっていた部屋の色は、ロイズが発した一言により真っ白な会議空間へと、戻っていく。


 それからロイズは一口お茶を飲みふぅ~と一つ、溜息をついた。それからゆっくりと、話を切り出す。


「では、そろそろよろしいでしょうか? それではメルルとティルのご紹介をさせていただきたく存じますが。おおよそは先程の、妖精への変化(へんげ)と、その時に行った守護契約のこと、お話の通りです。が、しかし。一つ言い忘れていたことがありましたのでお伝えしますね」


「は、はい!」


 真面目な顔で答える三日月を見て、クスクスと笑うロイズ。


 そして。


「メルティ、可愛い私の子どもでもあるこの子たちには、実は性別がありません。なぜならこれは精霊である(いのち)には、そのような性質が元々ないからなのです」


「う、な? えっとぉ」


(どういうこと?)


 三日月の頭の中はフル回転になり、新たなる真実に直面していた。



お読みくださりありがとぉございます♪


『 関連のあるお話 』ヾ(≧▽≦)ノ

~☆今回はこちら☾~


今回ちょっぴり星様と月ちゃんのドキドキ

書いてみましたので(笑)

(エッ? 足りない??)


 ↓ ↓


第101部分【89 「思い」と「想い」】


こちらは~詩のようにお話が始まり~

少し変わった感じで書いた回でしたぁ。

二人のちょいキュン(*´▽`*)エッ?

【蒼い石】のご説明も書いておりまするニャん。


☆----------☾----------☆----------☾


それでは(/ω\)

次話もお楽しみにぃ☆彡

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