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08 記憶

お読みいただきありがとうございます(。・・。)

♪こちらのお話は、読了時間:約2分です♪


(Wordcount900)


 伸びてくる手が、あの日の記憶(トラウマ)を蘇らせる。私が力を隠すきっかけにもなった、あの出来事のキオクだ。


(どうしよう動けない……避けられないっ)


 私は情けない事に、力を使ってどうこうの前に思い出してしまった。

 現実から目を逸らすように瞑ったまぶたで、視界は真っ暗になる。そして、動けなくなってしまった。


 どうすることも出来ない自分に、悔しいのか? 涙が溢れそうになった。その時――。


「やぁ~、こんにちは」


 お坊ちゃまの後ろから、声がした。

その声に手を引っ込めると、振り返りながら答えた。


「やぁ~、誰? あーこれはこれは転入生くんじゃないか、何かご用かな?」


 上流世界でありがちな、上からな口調でとても良くない印象だ。


「何をしているのかなぁと思いまして。確か【ラウルド=()()()海偉里(カイリ)】くん……だったかな?」


(聞き覚えのある、優しくて平和な気分にさせてくれる声)


 お坊ちゃまに隠れていて見えなかったけれど、屋上扉前の階段で会う彼だった。


(でもなんだか、いつもと雰囲気が違う気がする)


「おい……どうして。どうしてその名を……知っているんだ?!」


 ビックリした!! 突然声を荒げたお坊ちゃまの顔を見ると、真っ青になっていた。

 それを見て、彼は爽やかな顔でニコッと笑い、眼鏡を外した。


『…………』


 小さな声で何かを言っているように見えた。

 その一瞬、そう瞬きほどの一瞬だけ、目の前の景色が“モノクロ”になった気がした。


「「お、おい! カイリ、カイリーー!!」」

「カイリ様!! お気を確かに!!」


 周りにいた取巻きや、他の上流の方々がお坊ちゃまに駆け寄り、声をかけている。


(なに? 何が起こったの?)


「だ、だいじょう、ぶ、だ」

 ゆっくりと意識を戻している姿を見て、何らかの力を受けた事を、私は理解した。


「ダメですよ~ラウルドくん。彼女が嫌がっています」


 騒ぎに気が付いたロイズ先生が、いつの間にか部屋から出てきていた。そして、私を護るように丸い光で私を包んでくれていたのだ。


(ロイズ先生? 私、光の中にいる? 全然……気が付かなかった)


 さっきまで見えなくて、いなくなっていたはずの、精霊さんたちも【()()()()()()()()()】と言いながら、私のそばに来てくれていたのだ。



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