プロローグ
プロローグ
目の前には見た事も無い機体があった。その機体は、暗闇の倉庫の中で無数のコードやチューブに繋がっている。全長は十メートル程度の大きさだが、その姿は決して柔な物なんかではない。その機体から伝わってくる重い雰囲気が、戦闘用の機体だという事を物語っている。
頭上では爆撃音が鳴り響き、その振動が今居るところにまで伝わってきている。どうやら、予想以上に戦闘が悪化しているようだ。一刻も早く、あそこへ行かなくてはならない。
彼女が言うにはこの機体は動くらしい。機体を無くした彼にとって、それはまさに幸運だった。彼は彼女に機体の設定をするようにお願いをする。彼女は賛同し、機体の設定に入った。
その間に、彼は持っていたパイロットスーツに着替える。体に合うようにアジャストしたスーツはぴったりと体に張り付き、体を防護してくれる物になる。ヘルメットを手に取り、彼女の元へ戻ると大方の設定は終わったらしい。
それに応じて、彼は機体の方へ近寄りコックピットに乗り込む。コックピットを閉めると、外との会話は通信機のみで行なわれる。ヘルメットに内蔵されたPCを通して聞こえてくる彼女の声に従い、機体を徐々に起動させていく。
コックピットの外周は起動と共に、外の風景をホログラフィックで映し出した。いつもの目線とは違う、高い場所からの目線にコックピットに居るという事を実感させる。手元にあるコンソールで機体内部の設定をしていく。武装を確認し、各機構の同調が完璧かを確かめていく。
やがて、彼女が全ての準備を出来た事を教えてくれる。
彼はそれを確認すると、目を瞑った。そして、ゆっくりと息を吸うと目を開けて唱えた。
『Contact』
どうも、桜雪と言います。
最近は暑くて本当にいやになります。早く冬が来てほしいですね。
前回の投稿からは多く時間が開いたのですが、そのおかげか自分が書いた作品の中では二番目にいい作品になりました。どうぞ、お付き合いお願いします。