南の微笑みと怜の信念
すみません。諸事情により、キャラクターの名前を変えさせていただきました。混乱させるようで申し訳ございません。今後はこのような事がないように、誠心誠意努めさせていただきます。ご愛読いただき誠にありがとうございます。
和樹(主人公)→智己
麗奈(重い女)→怜
涼香(幼馴染)→南
圭吾(脳筋)→颯
三人で昼ごはんを食べた後、眠い目を擦りながらなんとか5限・6限の授業を終えた俺は、バッグ片手に教室を出た。
「智己は部活とかやらないの? よければ案内するよ?」
そんな俺に南が声を掛けてくる。彼女は大きめな茶色のスクールバッグを肩にかけていて、華奢な体と相まって酷く重たげだ。
「いや、俺は部活はいいかな」
「え? そうなの?」
そう答えた俺に南は首を傾げる。
「そんな意外か?」
「うん。だって智己は運動とか好きだったでしょ? てっきり高校でも何かやるのかと思ってた」
「あ~確かにな」
南の言う通り、確かに俺は小・中ともにサッカー部をしていて、バリバリのサッカー小僧だった。
「でも、流石に転校先で高2からサッカー部に入ろうとは思えない」
新参者がレギュラー争いに参加するのはいささか辛いものがあるし、既に構築されきった関係の中に飛び込む勇気もない。だから、俺は部活に入るつもりはなかった。
「なるほど。確かにそれはあるかも」
俺がそう言うと彼女はこくこくと頷く。どうやら南にも思う所があるらしい。
「けど、うちの学校は絶対部活に入る事になってるんだよ。だから、私と一緒の部活に入らない? 幽霊で大丈夫だからさ。私も幽霊だし」
その言葉に俺は戸惑う。幽霊で大丈夫な部活なんてあるのか。そもそも絶対に部活に入らないといけないなんて、初めて聞いた。そこで、とりあえず南にどんな部活なのか尋ねる事を決める。
「どんな部活なんだ?」
「ユースイングリッシュ部だよ」
「ん? なんつった?」
「ユースイングリッシュ」
「なんだそれ?」
俺には彼女の言葉が噛み砕けなかった。聞き間違いでなければ、初めて聞く単語『ゆーすいんぐりっしゅ』。それは何なのか。
「英語使ってなんかするらしい」
「なんかするってなんだよ」
「さぁ? だって私幽霊部員だし」
『ゆーすいんぐりっしゅ部』とは、南によるとどうやら英語を使って何かをするらしい。そこで俺は初めて、その単語の意味に気づいた。
「あぁ! use Englishか!」
『英語を使う部活』」ゆえにユースイングリッシュ。
「無駄にかっこいいな」
「でしょ? で、入る?」
「幽霊なら」
「おけおけ。じゃあ、今度入部届持ってきとくね」
「頼むわ」
そんな事を話しながら廊下を歩いていると気づけば玄関に辿り着いていた。
「ところでさ」
話がひと段落した所で、南が上目遣いに話しかけてくる。
「部活やらないならさ、これから毎日一緒に帰らない?」
「え?」
真っ白な頬を赤く染め、銀色の髪を左手で払いながらそう言った彼女を、俺は思わず見つめてしまう。
彼女は小刻みに震えていた。それが緊張によるものか、恥ずかしさによるものか俺には分からない。けれど、どちらにしても自分が知っている南の姿とはかけ離れていて、気づけば俺は彼女の右手を強く握っていた。
「きゃっ」
か細い声。久し振りに握った南の手は小さくて、簡単に折れてしまいそうだ。
「ちょっと……放してよ。いたいでしょ」
唇を少し尖らせてそう言う彼女。けれど、その顔はどこか満更でもなさそうで、真っ赤になった耳が、銀色の髪によく映える。
それが俺にはすごく色っぽく見えて、南が昔のような子供じゃないのだという事をありありと伝えてくる。
思わずそれに見惚れていると、「ちょっと」と彼女がぷくーっと片頬を膨らませていた。
「あ、あぁごめん」
「ま、いいけどね」
慌てて、手を放した俺に南は悪戯っぽく笑いかけ、もう一度、彼女は自分から優しく俺の右手を包み込んだ。
「さ、いっしょに帰ろ?」
小首を傾げ、そう言う南。翠緑の瞳が俺を甘く貫いてくる。その魔性の輝きに頷こうとした時――
「ちょっと待ちなさい!」
怜が玄関に大声で乱入してきた。
しかも、自らの親衛隊を引きつれて。
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