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5話 自己満は時に世界を変えることもある...かも?

それからも約束通り、石川は肉じゃがなどご飯を作ってきてくれた。

さすがに毎日とはいかなかったけども、作ってくれたものはどれも石川に感謝しながら美味しくいただいた。


俺も週1程度でマカロンなど別のバリエーションのお菓子を石川に作った。

石川もさすがに毎日お菓子は食べられないためこれくらいのペースが妥当だろう。第一、毎日は俺がめんどくさい。

なお、その1週間の間に新しいバリエーションの練習に追われたのは言うまでもない。そして石川は毎回、裏で練習して俺が作ったお菓子をとてもとても美味しそうに食べてくれた。


12月初旬。

今日は学校の家庭科室で調理実習がある日だった。

クリスマスが近いからか、肉を焼いてケーキを作るのが課題。

4人の班で肉係、ケーキ係の二手に分かれて作業を行う。

当然ながら俺はケーキを担当した。

なお、飾り付けなどは面倒なため同班の女子にお任せした。


「ケーキ美味しい! 甘木あまぎ君作るの上手だね!」

「ちょっと! 飾り付けは私がやったんだけど?」

「でも、確かに美味えな!」


出来上がったケーキを喜んで食べてくれている同班の方々及び友人。


「前のクッキーより美味いぞこれ。お前腕上がってんな〜」

「そ、そうか?」


まぁ、お菓子の腕が上がったのは確かかもしれない。

なんせ最近は毎週石川のために何かしら作ってるのだから。

その代わり俺はあいつの料理の御相伴(ごしょうばん)にあずかっている訳だが。


「え? 甘木君ってお菓子作り趣味なの?」

「うん、こいつたまに作ったもん持ってきてくれるんだ」

「何それ〜? 私にもちょうだいよ!」

「そうよ! こんなに美味しく作れるんだから!」

「ま、まぁ、気が向いたらな」


なんかめんどくさい展開になってきた気もしなくはないが...

だって石川に作ってる上にクラスメイトにまで作るって労力かかりすぎだろ。

過労死するぞ俺。

でも、ケーキも美味しく食べてくれた訳だしたまになら作ってきてもいいかな...




って、んん?

今俺なんて考えた??

美味しく食べてくれたからたまになら作ってきてもいい???

...俺いつの間にこんなこと考えるようになったんだ?


俺は元々誰かに食べてもらいたいとか考えてお菓子を作ってた訳じゃなかった。

ただ自分が作りたいから作ってただけ。

友人にあげてたのも余ってたからだし。

今、石川にお菓子を作ってるのも夕ご飯が欲しいからやっていることだ。


.....と思っていた。


でも今日、彼女たちの美味しそうに食べる様子を見て思い知らされた。

俺は、"これ"が見たくてお菓子を作っていたのかもしれないって。



でもさ、一番美味しく食べてくれるやつは.....

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