〜9通知目・インタビュー〜
〜9通知目〜
学校、教室前。くだらない話を続けるカズと別れてその自分の教室へと入る。と同時に…
「ユウー! 話があんだけどさ!」
レンが勢いよく飛びついてくる。俺はそれを横へ避ける。
「あの自動車事故、結構気になってんだけどさ…」
全く動じる事無く話を進めるレン、流石である。
「折角だから、新聞部に記事にしてもらったら良いんじゃないかと思ってさ!」
「断る」
「それで話を付けてきたんだよ!」
「断る…って、はぁ?」
思わず声に出た。
「じゃじゃーん!こちらが新聞部員の熊耳 友也こと、トモだ!」
「おはようございますユウさん! 多分こうしてお話しするのは初めてですよね?」
「お、おう…」
レンの後ろからひょこっと顔を出す少し小柄なレッサーパンダの獣人。
こいつめ、余計な真似を…
「事故の話はレンくんから聞いてます、そこで当時の事故現場を見た本人からも詳しくお聞かせ願えますか?」
「あー、えーっと…」
俺はレンの方をチラリと見遣ると、ワクワクとした表情でただこちらを興味津々と見ていた。
こいつはダメだな、となると…
今度は視界の端でライを探す、見つける。
俺の視線に気付いたライがこちらを見る。
期待を込めた目で訴える、が、様子を見て察したようで肩を竦めてみせた。
俺は諦めてトモに話し始めた。
事故当時に届け物をしていた事、その時カズも一緒に居た事、故にカズとシンが証人になり得るという事。
それを話している間、トモは熱心にメモを執っていた。
「なるほどなるほど… これは一面の記事になりますね!」
頼むから勘弁してくれ、あまり事を荒立てるな…
きっと周りから煩く訊かれる事になりそうだ…
「見出しは…『獣坂の事故現場 当校生徒のドッペルゲンガー現る!?』に決まりです!」
いや、前言撤回。ここまで熱意があると、逆にもう頑張ってくれと思い始めてくる。
「それじゃあボクは隣のクラスのカズさんにも話を伺って来ます! ありがとうございました!」
そのまま勢いよく教室を飛び出すトモ…
そういや、翌日の実地検証の話をしてなかったな…ま、話しても特に得られる物もないだろうと、俺は思っていた。
つーかそろそろチャイムが鳴るんじゃないか、と思い俺は自分の席へ着く。
そしてスマホの時刻に目を遣った矢先、案の定それは鳴り出した。
その瞬間だった、トモが疾風の如き速度で戻ってきてそのまま自分の席へと着いた。
そういう所はちゃんとしてるの、ちょっと尊敬するわ…
面倒ごとが増えるのは厄介ではあるが、これで更に事が進展してくれれば良いと願った。
だが、昼休みにもトモに絡まれるのは正直言って避けたい所である。
〜10通知目に続く〜