〜7通知目・連絡先〜
〜7通知目〜
夕方に事故の実地検証とやらを終えてから、数分程歩いて俺は家に帰った。
自室に戻った俺は、制服もそのままにベッドへと座り込んだ。
「はぁ…最近色々ありすぎだよなぁ…」
思えばここんとこワケ分かんない通知が二回も来るし、事故には巻きこまれかけるしで疲れない訳が無いんだよな…
その時、ドアの向こうから俺に向けて声が飛んできた。
「兄ちゃん、お風呂開いてるから入ってねー?」
「おう、今入るわ…!」
今俺に声を掛けてきたのは俺の弟の宙、ソラは来月から中学生になる。
家じゃ何かと俺に構ってくる、いわゆるブラコンとか言う奴なのだろうか?
「制服脱がねーとな…」
俺は疲れて重たくなった体を無理矢理起こして脱ぎ始めた。
そして制服のズボンに手を掛けたその時、床の上にコロンと何かが転がった。
「何だ…?」
音がした方を見てみると、夕方に拾ったあのガラス細工のような石だった。
「…ん?」
外では明るかったから気付かなかったが、その石の中心はよく見ないと分からない程の僅かな光を放っていた。
一瞬目の錯覚かと思ったが、何度よく見てもやはり光っていた。
「なんなんだ、この石…しかもどっかで見たような……」
考えても中々思い出せない…仕方ない、風呂に入って体も頭も休めるとするか…
俺はスマホを充電器に繋ぎ、石を机の上に置いてそのまま風呂へと向かった。
そしていつも通りに何も問題なく風呂を終え、体を乾かしながらふと一言零す。
「そういや今日まだパズクリできてなかったな…」
確か今日からゲーム内でイベントがあったハズだから、周回とかガチャとか忙しくなりそうだよなぁ…
「っ…とと、そういやカズは今どうしてんだろな…」
俺は放課後に集まらなかったカズの事を思い出しつつ部屋へと戻った。
ちょうど部屋に入ったその時、俺のスマホが鳴りだした。
少しびっくりしながらも慌ててスマホを手に取り、誰からの着信なのかを確認する。
まさかのタイムリー、カズからだった。そのままボタンを押し、応答した。
「おう、どうしたカズ?」
「いやぁ、今日の事で謝っておきたくてさ…」
「あー…別に大丈夫だぜ、だって助っ人だろ?」
「あ、おう…ちょっと色々あってさ…」
「色々…?」
「あ、いや…!何でもねーよ、こっちの話!」
「そ、そうか?」
「そうそう!つか、なんか証拠的なモンは見つけたのか?」
「んー、特にそういう物は無かった…かな」
「じゃあ、何か気になる物も無かったのか?」
「あ、それなんだけどさ…なんか不思議な石見つけたんだよ」
「石…?」
「ああ…ガラスみたいに透き通ってたから車のガラスかと思ったんだけど、ガラスの分厚さよりも大きいんだよ…」
「じゃあその車に乗ってたモンとかじゃね?」
「かとも思ったんだけど、どっかでこの石見た気がすんだよな…」
「マジ?ちょっと写メ送ってくんね?」
「おう、じゃあそろそろ切るぞ?」
「あぁ、また明日学校でな!」
そこまで会話を交わして俺は電話を切った、その時
Kアラート[鼠谷真也の連絡先を入手してください。]
「はっ…?」
またこの通知だ、しかも今回はなぜか俺と全くと言って良いほど絡みの無いシン。
「まぁ…別にそのくらいだったらしても良いか、折角の機会だしな…」
そのまま俺は”石”の写真を撮ってカズへと送って、
[あとさ、ちょっとシンの連絡先を貰えねーかな?]
と、付け足した。
すると程なくして返信が来た。
[おっけー、一応シンに確認取ったから送るわ!]
いや、早くね…?
そのまますぐにシンの連絡先も一緒に送られてきた。
俺はその連絡先を登録し、軽く挨拶に
[昨日はどうもな、狐塚 悠だ。よろしく。]
と送り、少しして
[鼠谷 真也です、よろしくお願いします。]
と返ってきた、文面だと結構しっかりしてるんだな。
その時急に俺の腹が鳴り、自分の空腹に気付く。
そろそろ飯の時間だし、早いとこ食って明日に備えないとな。
俺はスマホの充電を繋いだまま再び先程の場所へ置き、食卓へと向かった。
〜8通知目に続く〜