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〜3通知目・放課後、そして再び〜

 〜3通知目〜


 ここはどこだ…?

 真っ暗だ…何もない…

 「狐塚 悠…」

 なんだ、声が聞こえる…俺の名前を呼んでる…?

 「早く…来て…」

 来るって…どこにだ…?

 「時間がないの…早く…」

 くそっ、声が遠のく…

 ……



 「…ウ………きろって…」

 「起きろー、ユウー!」

 「…ぁ、レン…?」

 「何寝てんだ、しっかりしろよユウー…」

 「あれ、レン…俺寝てた…?」

 「いやいや、めちゃくちゃ寝てたろ…」

 「マジか…」

 「ユウくんにしては珍しいよね…大丈夫? 最近ちゃんと寝れてる?」

 「おう、ちゃんと寝てるはずなんだけどな…」

 俺はまだ眠たい目をこすりながら重たい頭を上げて…

 「ほらユウくん、ホームルームの為に起きてなよ?」

 「はいはい、言われなくても分かってるって…」



 その後難なく(?)ホームルームを終えて、帰ろうとして教室を出ようとしたその時…

 「おーい、ユウー?」

 いきなり目の前に顔がひょっこりと現れた。

 「うおおおっ!?」

 「あはは、ユウってば驚き過ぎじゃね?」

 「突然目の前に出て来られたら誰でもびっくりするだろ…」

 こいつは兎洞うどう 和登かずと。去年俺とライと同じクラスだったヤツで、俺とは幼馴染でもある。

 「んで、ちょっとユウにお願いがあるんだけどさ…」

 「ん、なんかあったのか?」

 「いやまあ大した事じゃないんだけどさ、今日俺のクラスで休んだ奴が居てさ、そいつんとこに届け物頼まれたんだけど…一緒に来てくんね?」

 「んー…今日だったら特に予定も無いし、良いぜ?」

 「よっし、んじゃ行くぞ!」

 「待て待て、カズ今日はバスケ部じゃないのか?」

 「あー、今日はちょっと気分じゃねーし行かねーわ」

 「そんなんで良いのか?」

 「別に平気だろ、練習試合じゃねーしさ?」

 「ま…俺がそんなに出る幕じゃないしあまり口は挟まないでおくけど…」

 「よっしゃ、今度こそ出発だー!」

 「ちなみにその休んでた奴って、俺も知ってる奴か?

 「ああ、ほら、時々俺が話してた奴で…鼠谷よめたに 真也しんやって居ただろ?」

 「あー…演劇部の部長だっけか?」

 「そーそー、あの鬼才クン!」

 「だから鬼才は言い過ぎだろ、カズ…」

 「いやいや、見た事ねーからそんな事を言えるんだって…」

 「ま、とにかく行こーぜ?」

 「はいはい…」

 俺はスマホを取り出して、カズの隣を歩きながらパズクリを開いて遊び始めた。

 「おいおいユウ、歩きスマホか…気をつけろよ…?」

 「どーせ着くまで時間あるし、何かあればカズも居るし平気だろ…」

 「俺は執事かなんかかっつーの…」

 「あ、カズって最近パズクリ開いてんのか?」

 「おう、暇な時間に結構やってんぜ?」

 「ランクは?」

 「えっと…83、とかだったはずだぜ?」

 「ふーん、まぁそこそこだな? 部活はサボる癖に」

 「いや、最後の一言は要らなくね?」

 「サボってる割に進んでねーじゃんかよ…」

 「いやいや…最近ガチャ回してて、結構良いキャラ揃ってきて軌道に乗ったとこなんだぜ?」

 「はいはい…」

 「あ、おい、信じてねーだろ…!」

 「良いから歩みを止めてこっちを向くな、しっかり歩けよ…」

 「ちぇっ…もうすぐ着くんだし良いだろ?」

 「いや、んなの俺は知らねーよ…」

 そんな話をしながら俺らは歩いていた…その時だった、俺のスマホに今朝のように通知が来た。


 Kアラート[目の前の十字路を右折してください]


 「…は?」

 思わず声が出た。

 「お、どうしたユウ?」

 「あぁ、いや…ちょっとこっちから行こうぜ…?」

 俺はそう言って真っ直ぐ行こうとするカズに向けて右の道を示して見せた。

 「そっちだと、少し遠回りになるぜ…?」

 「…いや、ちょっと悪い予感がしてさ…」

 今朝のことを考えると従った方が良いと思って、ついそう口走った。

 「ま、良いけどさ…んじゃ、そっちから行こうぜ!」

 「おう、悪いな…」

 ここで曲がらずに歩いたら、何があるのか…少し気になったが今はあまり気にしない事にした。

 …そうだ、今の通知!消えてないか?!

 俺は慌てて通知の一覧を開く…するとどうだろう、消えずに残っている。

 俺は恐る恐るそれに触ってみた…

 …が、反応が無い。

 対応するアプリが開く訳でもなく、通知が消えるでもない。

 逆に自分で消すことはできないだろうか。そう思って消そうと試みるも、消去のボタンを押しても反応が無い。

 「なんなんだ…」

 俺はボソリと一つ零すように呟いた。

 その後、特に目立つ出来事もなく歩いて…

 「ほらユウ、そろそろ着くぜ?」

 「ん、はいよ…」

 「シンには初めて会うだろ、印象悪いからスマホしまっとけよ?」

 「はいはい…」

 俺は言われた通りに、スマホをポケットへ突っ込んだ。


 カズがインターホンを鳴らす、程無くしてドアがゆっくり開く…歳が近く気弱そうな一人の小柄な男が出て来た。

 「カ、カズ…わざわざごめんね…」

 「俺の事は気にすんなって、な?」

 「う、うん……えっと、そっちの人は…?」

 これがカズの言う『鬼才クン』なのだろうか、お世辞にも演技の出来そうな人には見えないが…

 「あぁ、俺が1年の頃に仲良くしてたユウだよ、話した事あったろ?」

 「そっか、え、えっと…ユウくん、初めまして…?」

 「あぁ、カズから話は聞いたよ、シン…だっけか?よろしくな」

 「うん、よろしく…」

 「あ、ほら!これ、今日先生から預かったプリントだぜ!」

 カズが鞄の中をガサガサやったかと思えばしわ一つない綺麗なプリントを数枚取り出してシンに渡す…いや、そんなガサガサやってんのになんでそんな綺麗なんだよ、お前の鞄は異次元ポケットか?

 「ありがと…それじゃ、移すと悪いからまた学校でね…?」

 「おう、じゃーな!」

 立ち話も程々にシンはドアを閉めて、俺らはさっき遠回りした方ではない道を引き返す事にした…

 そして歩いている道中…

 「お、おいユウ…あれ見ろよ…あの少し先、さっき曲がった道だぜ…?」

 「あ、あぁ…」

 俺は自分の目を疑った、なぜならそこには…

 「事故、か…」

 俺らが歩いていた歩道の側に乗り上げ、そのままブロック塀に衝突した車があったからだ。

 「あの時、曲がってなかったら…俺ら巻き込まれてたかもな…」

 俺はカズのその言葉でさっきの通知を思い出し、再び通知の一覧を見ると…

 消えていた、その通知だけがまた。

 「ま、まぁ無事で良かったな俺ら…」

 「あぁ、だな…」

 俺は半分上の空でカズの話に返事を返した。

 「じゃ、俺こっちだからさ…ユウも気をつけて帰れよ…?」

 「おう、また学校で、な…」

 そこで俺らは解散し、お互いの帰途に就いた。

 そこから家に着くまでは特に事故もなく無事に着き、メールでカズにも確認をしたらカズも無事に着いたようだった…


 この日から俺の運命…いや、"みんな"の運命が変わっていくなんて、全く思う事は無かった…。




 〜4通知目に続く〜

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