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〜10通知目・謎の現象〜

 〜10通知目〜


 時は流れて昼休み。

 俺はいつものようにレンとライ、カズ、ケイと昼飯を食べている、のだが…

 「何で俺の横で立ち食いしてんだよ…」

 「そりゃあ、特ダネは追うものですからね」

 朝にカズから話を聞けなかったであろうトモが、今度こそとカズから詳しい話を聞いているらしい。

 「特ダネも何も…それは流石に大げさだと思うぜ?」

 「いえいえ、そんな事はないですよ! これも立派なニュースになり得ます!」

 「ニュースってか…どっちかっつーとオカルトじゃね…?」

 「オカルトだとしても一定の層にはこういうのってウケるんですよ、都市伝説みたいなものです!」

 こんな具合で何を言ってものらりくらりとかわされる始末だ。

 カズはカズの方で、トモに間違った内容も誇張も無しに話している。

 どうして普段はあんなにふざけてるのにこういう時だけは真面目なのか、昔から知っている仲だが未だに理解に苦しむ。


 そこで俺はふと思い出した。

 つい今朝もふざけた会話を聞き流してはいたが、確かカズがこう言っていたはずだ。

 『なんつーか…クリスタル、って感じだよな! ゲームとかだったら絶対重要アイテムだろ…』

 「クリスタル…か…」

 呟きながら制服のズボンのポケットを探るが、入っていなかった。

 そういえば昨日の夜ポケットから出て、そのまま机に置きっぱなしだっけな…


 俺は仕方なく、カズに見せる時に撮った写真を開く。

 開いた、はずだった。

 なのに表示されているのは何故かパズクリのタイトル画面だった。

 間違えてタイトル画面のスクリーンショットを開いたかとも思ったがそうではない、その画面は明らかにアニメーションをしていた。

 そのまま画面をタップしてみる。

 画面が進んでメインメニューになる。

 開くアプリを間違えたかと思って、今度はちゃんと確認をしてから写真のアプリを開く。間違いなく開いた。

 そして石の写真を開く、すると再びパズクリへと画面が切り替わった。


 何故だかは分からないが、石の写真を開くとパズクリへ飛ばされる。

 仕方ない、石については帰ってから実物とにらめっこするか…

 俺は諦めて、途中で止まっていた食べる手を動かしながらパズクリを遊ぶことにした。


 その時、不意に横から視線を感じた。

 そちらを向くと、トモが少し興味を持ったような視線で俺のパズクリの画面を覗き込んでいた。

 「え、えっと…トモ?」

 「はい、なんでしょう?」

 戸惑う俺に笑顔で応対するトモ。

 「インタビューはもう終わったのか…?」

 「はい、それはもうバッチリと!」

 「それじゃ、どっか行かないのか…?」

 「あ、失礼しました! 少しそのゲーム画面が気になってしまいまして…」

 「パズクリ…やってるのか?」

 「ええ、それはもう!」

 「ランクを聞いても良いか…?」

 「はい、確か97だったと思いますよ?」

 「え、すげぇやってんじゃん…」

 「やるならトコトン、がボクのモットーですから!」

 インタビューの感じといいパズクリといい、トモは相当熱心な努力家なんだろうな…


 「それじゃあさ、強いのとか結構持ってるのか?」

 「ええ、つい最近ガチャを回したら現段階で最高評価であるキャラクターを引きましたからね!」

 「え、マジで? 俺まだ引けてないんだけど…」

 「それじゃあゲームのIDと連絡先を交換しませんか?」

 「マジか、そりゃ助かる!」

 その流れで俺はトモと連絡先、ゲームIDの二つを交換した。


 「さて、それじゃあボクはこの辺りで失礼します。 またお話を聞かせてくださいね!」

 「おう、じゃあな!」

 俺はトモに挨拶を返して自分の手元、スマホの時刻表示に目を向ける。

 「うげっ、休み時間あと10分しかねぇじゃん…!」

 気付いて周りを見回すと、そばにはニヤつくレンとそれを見ているライだけが居た。

 それを見るに、既にケイとカズは教室へと戻っていてレンは俺よりも先に飯を済ませてご満悦、ライはレンをやれやれといった様子で見守っているというところか。


 「おやおやユウくん、まだ食べ終わってないんですか〜?」

 「うぐ…」

 普段ならば俺の方が先に食べ終わっていることが毎回であるために言い返せない。

 「はいはいレンくん、とりあえず大人しーくして教室に戻ろうか?」

 落ち着いた声色のままライはレンの尻尾をギュッとつまむ。

 「いだだっ、尻尾はダメだろっ!?」

 …俺はライに向けて、静かに心の中で親指を立てた。


 さて、早いとこ片付けて授業に戻るか…




 〜11通知目に続く〜

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