〜1通知目・最初の通知〜
この物語はフィクションです。
歩きスマホは危険です、絶対に止めましょう。
〜1通知目〜
俺の名前は狐塚 悠、ごく普通の高校2年生だ。
今日も今日とて何の為に必要なのか判らない勉強をしに歩いて登校中。
「にしても、寒いなぁ…」
今は3月の頭だというのにまだ気温は1桁、そろそろ勘弁願いたいものだ。
そんな最近だが、巷で流行っているゲームがある。
よくある感じのモンスターとかが登場する落ちものパズルみたいなヤツだが、これがやってみるとかなり面白い。
なぜだかほぼ毎日通学中に開いて遊んでしまうくらいの中毒性で、いけないと思っててもついつい歩きながらやってしまうんだよなぁ…
いつもと変わらないそんな時、突然画面上部に見慣れないアプリアイコンの通知が表示された。
Kアラート[今すぐに立ち止まってください。]
「えっ!?」
思わず感嘆の声が口に出て、不意に立ち止まったその瞬間…
俺の目の前を、もの凄い速さでトラックが通り過ぎた。
辺りを軽く見回すと俺は横断歩道の手前ギリギリにいた。
周りの人たちの視線が刺さって痛い…
そこでふと気になって、さっきの通知を見る為に手元のスマホへと視線を遣ると…
「…嘘だろ、無い……」
自分で履歴を初期化しないと消えない俺のスマホなのに、だ。
「たった今来た通知だぞ…?!」
それ以前の通知はちゃんと履歴に残っている、さっきの通知だけが綺麗に消えている。
「とにかく、今のに助けられたのか…?」
とりあえず俺は少し胸を撫で下ろしながら、ただの見間違いだったと自分に言い聞かせた。
その後はスマホを弄らずにそのまま学校へ向かった為、特に何事もなく着いた。
俺が教室に入るなり、1人のクラスメイトが声を掛けてきた。
「よお、ユウ!」
「ああ、レンか…」
こいつの名前は犬童 蓮。
学校でよく話すグループの中の1人、いわゆるイツメンってヤツだ。
勿論俺もそのグループの一員だ。
「どうしたんだよユウ、元気ねぇな…もしかしてフラれたとかか?」
「うるさいな、元々相手がいないの知ってるだろ…」
「あーそうだったっけか、そりゃ失敬失敬?」
クスクスと笑うレン…朝から最高に腹立つ対応をありがとうございます。
…が、それを制するように少しだけ離れた席からもう1人が寄って来た。
「ごめんねー、うちのレンがさー…」
こっちは猫崎 莱、こいつもイツメンでレンの幼馴染だ。
「毎朝うるせーよライ、お前は俺のオカンか!」
「ほらレン、ちゃんと謝りなよ…?」
とまぁ、ほぼ毎朝この2人のこんな漫才(?)が繰り広げられるワケだ。
「2人とも、もうすぐチャイム鳴るしそろそろ席に戻っとけよ…?」
「いや、俺じゃなくライに…」
「はいはい、言い訳は後で聞くからとりあえず行こうねー?」
「いででででっ、耳引っ張んなって…!」
「はぁ…俺もそろそろ授業の準備するか…」
〜2通知目に続く〜