1. Wikipedia Category:近世 ~ 最初がWikipediaってどうよ?
誰か余の首を刎ねるキリスト教徒はいないのか!
――コンスタンティノス11世
近世を大まかに俯瞰するための最も早い近道は、ネット上の文献を読むことである。
現状、Wikipediaがその目的に適した各コンテンツを提供していると筆者は考える。
「近世における世界の一体化」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BF%91%E4%B8%96%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E4%B8%80%E4%BD%93%E5%8C%96
16世紀から17世紀の世界の動向は、このページを読めばだいたい理解できる。近世はイスラム勢力によって追い詰められたキリスト教勢力が、新たな利益を目指して大西洋を渡って世界を繋いだことによって特徴づけられる。
1453年にコンスタンティノープルが陥落し、オスマン・トルコはヨーロッパへと進出した。この瞬間が近世の始まりを告げる一つの節目であろう。
イスラム勢力を避けて大西洋を目指したキリスト教勢力からは多くの冒険者、探検隊が輩出された。彼らの功績は王族の投資によって支えられ、最終的に彼らは新天地での征服者となった。この時代を大航海時代と呼ぶ。
ヨーロッパとアメリカの接触によって生じたものはあまりにも影響が大きい。銃、病原菌、植物、動物、宣教、そして戦争。こうした各分野の詳細については各論を調べていただきたい。
大航海時代で先んじたのはポルトガルとスペインだった。ポルトガルとスペインは各地に植民地を作り、海上帝国を築き上げた。しかし、ヨーロッパで宗教改革が始まると、スペインの一部であったネーデルラント州が反乱を起こす。1568年、八十年戦争の始まりである。
ネーデルラント州は連邦共和国として独立し、後のオランダ黄金時代の土台を作る。その後、1588年にスペインの無敵艦隊はアルマダの海戦でイングランドに敗れ、さらにフランスにも敗北し、衰退へと向かった。
東アジアではオランダが急成長を遂げる。17世紀前半から東インド会社を介して、ポルトガルを駆逐したオランダは主にインドやアジアに拠点を築き、日本との貿易を独占した。アメリカの歴史学者イマニュエル・ウォーラステインの世界システム論によれば、これが最初の覇権国家、オランダの誕生であった。
しかし、イギリスとフランスが貿易収支の黒字化と国内産業の保護育成を核とする重商主義政策を採用し、貿易競争に本格的に参入していくと、小国であるオランダの覇権は次第に陰りを見せ始める。
同時に17世紀後半には世界の市場動向も大きく変化を見せていく。香辛料の人気が次第に落ちて、インド産の綿や、中国の茶が取り上げられるようになると、今度はイングランドへと世界の覇権は移っていく。それはオランダ総督であったウィレム3世がイングランド王に即位したことで、そのまま国家の威光すらも移動してしまったかのようであった。
この間、ドイツでは急激な宗教改革による戦争が始まっていた。1618年から1648年にかけて行われた三十年戦争である。当初は神聖ローマ帝国内で局所的に起きた小国家同士のプロテスタントとカトリックの戦争が、ドイツ以外のデンマーク、スウェーデン、フランス、スペインなどヨーロッパ中を巻き込む国際戦争へと発展した。
講和条約としてヴェストファーレン条約が締結されると、ヨーロッパ各国におけるプロテスタント勢力はその存在を承認された。これにより、カトリックとプロテスタントの戦争には一定の終止符が打たれ、ヨーロッパにおける国際秩序が打ち立てられた。
神聖ローマ帝国内の領邦に主権が認められたことにより、300に及ぶ領邦国家の分立が確定した。また皇帝の権利は著しく制限され、いわば諸侯の筆頭という立場に立たされることとなった。この条約は帝国の死亡証明書とも呼ばれ、ドイツの地方分離状態を長引かせるきっかけにもなった。
ヨーロッパにおける近世の大まかな流れは上記のようなところである。
ヨーロッパにおいて歴史の大舞台に立ったのはオスマン・トルコ、ポルトガル、スペイン、オランダ、フランス、イングランド、オーストリア、スウェーデン、ロシアなど今なお存在する国が主なところではあるが、その他の地域でも勿論、様々な変化があった。
そのすべてを語りつくすことは当然ながら不可能である。とはいえ、まず手を付けるには十分な量の情報が存在しており、そこから引用された文献を探すことにも繋がるので、上記のページは有益である。
「Category:近世」
https://ja.wikipedia.org/wiki/Category:%E8%BF%91%E4%B8%96
今回は日本語版のみの紹介となるが、英語版など別言語でも様々なコンテンツが書かれている。マニアックな記事を探す場合には、別言語のページも参考にしてみると面白いかも知れない。