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厄介な使用人


一方、コリンは人生はじめての修羅場?のようなものに直面していた。ヴァイオレットは冷たい視線をニシキとガルトに送り続けたままである。

「ヴァイオレット…………」


「……パープル、少し下がってなさい……」


「…………………………」

パープルはすぐににガルトたちの手を離しヴァイオレットたちから距離をとる。


そしてポフンッと音がなったと思ったら先程までパープルがたっていた辺りには髪が薄紫色の小柄な少…………年?が立っていた。そして完全に諦めた表情をしている。


「…………!…………?……!?…………」


コリンはアワアワと驚きを隠せない。いくらなんでもコリンの身長の三倍ほどの高さであったがたいのいいパープルさんはいまはコリンとの身長差はコリンのあたまいっこぶんほどである小柄な少…………年?


一瞬にして変化するなんてもはや二次元の世界である…………。コリンの読んだことのある魔術書にもそんなことは書いていなかった。


そ、それが今、目の前で起こってしまった…………!


「…………うぉうっ」


動揺と驚きでふらつくコリンの肩を誰かが支えてくれた。くりくりおめめをキラキラさせたレベッカだ。


「コリンくん、たいじよーぶ?おちついておちついて‼ポンポンッ」


肩をポンポンとレベッカがさすってくれた、おかげでコリンの体はいささか落ち着きを取り戻した。

「…………あ、ありがと…………」


「…………ん!どいたまして!ばいばーい」


ニカッとレベッカは笑いながら再びヴァイオレットたちの元へ走っていった。レベッカはあの冷たい視線が怖くないのだろうか…………?


………………こういうときこそ深呼吸ー!深呼吸!


昔っといっても二年前くらいだが誰かが教えてくれたおまじないである。

ふーっといきをはいたコリンは理解した、あの少……年?はパープルさんである事は分かった。


「…………あの、パープルさん……ですよ……ね?」

恐る恐る近づいて少……年にはなしかけてみる。


「あら、ごめんなさいね、急に変化したからびっくりしたわよね……?思ったより魔力の消耗が激しくってね…………。」


声は少……年?である。


「……あ、はぁ…………。」


「でも、気を付けなさい、ヴァイオレットはああなると誰も止められないから……。」


「誰も止められない……?」


今から何が起こるのかコリンには全く検討もつかない。


「ヴ、ヴァイオレットさん……落ち着いて……」


「………………!…………!」


ルルがなんとかヴァイオレットをなだめようとするが、特に効果なし……。コノハも手をブンブンとふってダメと口をパクパクさせるばかりである。

一方、レベッカは興味津々といった顔でヴァイオレットと固まるガルトたちをみつめている。


「……………………あんたら」


ヴァイオレットが固まっている二人に向かって口を開こうとしたときだった。バァンっと扉が勢いよく開かれ、共に冷たい空気の中にそぐわない声が聞こえてきた。


「あっれれ~、ヒック。どした~~~おまえらなにしてんの~?」


「…………!」


入ってきたのは千鳥足で歩いてくるへべれけのぐでんぐでんの酔っぱらいの若い男性。開きっぱなしの扉から後光が差してなんだか神々しくもある…………?


「…………んおーー!ケンカ?いいぞ~もっとやれ~~~ぇ…………………………うぉごぶっ!?」


うぉごぶっとエコーがかかったのはコリンの気のせいだろうか?


案の定、空気の読めなかった酔っぱらいのみぞおちには右ストレートがきれいにはいった。


男性はきれいには宙をふわりと枯れ葉のように舞い顔から床に激突し、ざざざとスライドしていく。


「…………おうふっ、あいっっっって!ちよ、お前いたいけな酔っぱらいに何すんだよ!?…………」


仰向けに転がる男は顔面とみぞおちの痛みに悶えながらもヴァイオレットに抗議している。


「………あぁ~ら、ごめんあそばせ?とっても殴り甲斐がありそうなサンドバッグがおちていたからつい……………よくもぐでんぐでんのへべれけてヘラヘラノコノコと帰ってこれたわねぇ?アルデバラン・トリック!……………」


仁王立ちで薄ら笑い?を浮かべるヴァイオレットの足元に無様に転がる男はギクリと肩をふるわせる。


「この城から抜け出してどこをほっつき歩いていたのかしら~?」


「……そ、それは」


男は先程よりもげっそりした顔で目をそらす。


「おかげでこっちはあんたの面倒な仕事まで引き受けざるおえなかったのよ!今日で何徹目だと思ってんだこんのタコ野郎!」


ヴァイオレットは容赦なく男の顎を蹴り上げぶっ飛ばした。ダンダンッと水切りの石のように男は弾みどさりと落ちた。


くるりと踵を返したヴァイオレットはガルトたちの方へピンヒールをカツンと鳴らし立つ。


「ガルト、ニシキ、あんたらもくだんない事でケンカするのはやめなさい。少しはこの城の門番としての自覚を持つこと…………いいわね。」


「…………はい、すみませんでした。」


「………寝不足で少しイライラしてて二人に八つ当たりしちゃってごめんなさいね?」


ヴァイオレットはポフポフと二人の頭を撫でた。

先程の冷たい空気が信じられないほどに和やかな雰囲気になっている。


あの男を殴ったことで少しは気が晴れたようだ。

男はたおれこんだまま動かない。ヴァイオレットがちょっとあんたさっさと立ちなさいよといいながら腕をつかむとヴァイオレットの顔が微かに引きつった。


「…………ちよっ!」


「……………っ………う、はき……そ」


青ざめた顔に手を当てて呻いているがそろそろ限界らしい。今にも吐きそうだ。ぐでんぐでんの状態でフルボッコにされたのだ。吐きそうになるのも無理はない。


「!!!!!!!げっ」


「城の床に吐き散らしたら首切り落とすわよーーーーっー!」


ヴァイオレットは男を脇にかかえピンヒールをガツガツ鳴らしながら部屋から出ていった。


「…………」


全員呆気にとられたように黙りこくってしまった。一番乗りで我に返ったのはルル。


「こ、コリン君、一応説明しておきますね……先程のあの男はアルデバラン・トリック、主に武器を製造しています。彼の作る武器などは性能のよくとてもいい腕を持っているのですが………………なんと言うか彼はふらっと何処かに行ったまま行方不明になってしまうんです。」


「最高一年くらいいなかったこともあったよね‼」


「……酒癖が悪くてあんな感じにへべれけで帰ってくることはしよっちゅうなんです。」


「アルさんがいない間はアルさんの仕事を全てヴァイオレットさんが引き受けることになっています。アルさん並みに武器を作れるのはヴァイオレットさんくらいしかいないので…………。」


「ああ見えて、アルデバランは結構、爺さんらしいぞ。…………えーっと確か俺らの……5倍くらいか?」


5倍!?と聞き返そうとしたときアルパカ小屋の方から盛大におろろ音が聞こえてきた。
























読んでくださり、ありがとうございました!まだまだ続きます!

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