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ローゼリアン城の使用人2

第六章


「あら、あんた…………どこかで……」

大柄な男?はコリンをまじまじと見て呟いた後にはっと気づく。


「ん?パープルこの子に会ったことあるの……?」


「え、あ、いや…………」


ここにつれてこられて早々に危険な目に遭ったなんて知られたら足手まとい確定………ここから追い出される可能性は無くはない………どうにか誤魔化さなければ……!とコリンはあたふたとする…………


「……!もしかして、あんた……」


ヴァイオレットが勘づいたように口を開く……が


「……そっそれよりパープルさん!今この新たな使用人のコリン様にみんなで自己紹介をしている最中なんです!なので、今ヴァイオレットさんが終わった所なので次お願いできますか?」


「わーーい!わーーーーい!次はパープルさんだーーー!」


とっさにルルが話し出そうとしたヴァイオレットの話を遮る。レベッカはピョコピョコと嬉しそうに跳ねる。


「それは放送で聞いたワ、いいわヨ」


「それじゃ、アタシの名前はパープル・ヴィッセル あのヴァイオレットの双子のおと……妹よ……出身はヴァイオレットから聞いてるわよね?…………主に仕事は庭の手入れと城の警護を担当しているわ。よろしくネ」


パープル色のヴァイオレットよりは短めの髪はさらりと揺れる。大柄な体は膝を曲げて屈んでもコリンの目線には合わずに見下ろされる感じになる。


「よ、よろしくお願いします…………」


「あと…………夜の魔獣には気を付けなさいよね?」

パープルは小声でコリンに警告した。他の皆に聞こえないよう配慮してくれたようだ。


「………!あっ、き、昨日は本当にありがとうございました‼」


「いいわヨ、あれは城に魔獣を入らせちゃったアタシの不始末…………ごめんなさいね?」


「………コリン様、昨日……とは?何かあったのですか……?」

ルルはどうやら地獄耳のようだ。ヒソヒソと小声で話しているのに関わらず「昨日」という単語をバッチリ聞き取れている。


「何でもないワ……可愛いから後で部屋に来ないか誘っただけ……………何もなかったワヨ」


パープルはすかさずルルの質問を避け、完璧な言い訳を堂々といい放つ。それにヴァイオレットと言うことが全く同じである。


「そ、そうですか…………」


「そうよ、さっさと次の人にいきましょ?」


「…じゃあ、次は私で宜しいでしょうか?」

次に手を挙げたのはあの骸骨だった。


「……コホン、私の名前はシリウス・アルバードと申します。出身地はバイパル、主に仕事は城の清掃・修復・装飾を担当しています。たまに厨房にたつこともあります。………以後お見知りおきを…………。」


「…………シ、シリウスさんのお料理はと、とっても美味しいんです……よ!お、オススメです!」


コノハは瞳を輝かせ熱弁する。興奮と恥ずかしさで顔が真っ赤になっている。


「いえいえ、そんな事は…………」


シリウスは照れているようだ。

しかし、シリウスは話しているはずなのだが口は全く動いていない……。


「あ、あの失礼だと思うのですが、どうやって話をされているんですか…………?」


「あぁ、これは私のテレパシー能力です。私から話したい人に繋ぐことができるのです。説明不足で申し訳ありません…………。」


そう言うと深々と頭を下げると骨のきしむ音がいっそう大きく聞こえ、突然がらりと崩れてしまわないかハラハラする。


「ふあ~~ぁ、茶番はいいからさっさとしろよ骨じーさん…………」


その時、どこからか苛立っているような声が聞こえてくる。シリウスは声の主の名を呼んだ。


「ガルト……」

「ガルト」と呼ばれた男は朱色の寝癖だらけの髪をぐしゃぐしゃさせ、召し使いの服をだらりとはだけさせ、あくびをしながら歩いてくる。


「……あら、あんた今日は遅刻しないって言ってなかったかしら……?」


ヴァイオレットが男を嘲笑で迎える。


「……………う………うっせぇぞ!ヴァイオレット……こちとら魔獣狩りで忙しいんだよ。……ったく昨日から急に魔獣の活動が活発になりやがったんだ!………………」


ガルトは一瞬図星という顔をして一生懸命言い訳をする。急に先程までの勢いはなくなってしまった。


「あの、ガルト君先に自己紹介してもらっていいかな……?」


「ルルさんが言うなら…………!……コホンコホン、俺はガルト・ルーペル 出身地は知らねぇ、ここでやってることは城の警護だ。よろしく。」


「よ、よろしくお願いします……。」


「……フフフッ、あんたやればできるじゃない?……所であの子はまだな来ないの?」


「………ば………馬鹿にしやがって……っ」


ガルトの心中がお見通しというようにヴァイオレットが笑う、ガルトが反論しようとしたその時。

ガチャンッと扉が開かれた。


「……皆様、申し訳ありません、お待たせいたしました。」


一人の少年がつかつかと入ってきた。翡翠色のおかっぱの髪を揺らす。頬は赤い何かに濡れているようだ…………。少年はキラキラと輝く瞳でまっすぐとコリンを食い入るように見つめる。


「……あぁ!……あなたがコリン君ですね!お目にかかれて光栄です!」


少年はコリンの手を両手でがっしりと掴む。


「僕は ニシキ・アルファルド と申します。出身はナコクで主に仕事はパープルさんとあの赤いのと同じで城の警護を担当しています。以後お見知りおきを。」


「あ、よろしくお願いします。」


コリンがペコリとお辞儀した時、ガルトはドスドスと足を踏み鳴らしてニシキの前に腕を組み仁王立ちし鼻をふんすっと鳴らす。その姿はまるで闘牛の如し。


「おい、ニシキ!赤いのって呼ぶんじゃねぇ‼オレは ガルト・ルーペルってちゃんとした名前があるんだよ!ちゃんと呼べ!」


「……お前こそニシキって軽々しく呼ぶな、それにそんな事は僕にとってどうでもいいことなんだよ…………バーカ」


ニシキがガルトに向かってあっかんべーをおみまいする。


「…………っ!!てめぇ!」

ガルトがニシキに殴りかかろうとして右手を振り上げたその時


「あんたら、いい加減になさい…………!」


パープルがガルトの右手をがっしりと掴む、ガルトの動きを完全に止めた。


「ここはガキンチョの喧嘩する遊び場じゃないの、場をわきまえなさい…………」


ヴァイオレットは無表情で二人を叱る。冷たい眼差しで二人をみやる。


「ひっ……!ご、ごめんなさい!」


二人とも同時に頭を下げる。

コリンはヴァイオレットの冷たい眼差しに自らの心臓を締め上げられる感覚を覚えた…………。




















読んでくださりありがとうございました‼まだまだ続きます!

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