25.50 紗貴0
「・・あのね。友里香ちゃん。」
沈黙を破るように紗貴が語り出す。
「私は友里香ちゃんに告白されて・・嬉しかった。自分をそう思ってくれてることは嫌じゃないし・・。」
俯く友里香をよそに紗貴は続ける。
「私はどんな形であれ、人を好きになることは素敵だと思うし、どんな形があってもいいと思う。」
紗貴は「現に、私は双子のお兄ちゃんが好きだし。」と、いたずらっぽくはにかむ。
「だから、私への友里香ちゃんの思いは大切なものだと思うし、特別だと思う。」
紗貴は友里香の背中をさする。
「だからね、友里香ちゃんは私にとってのナンバー1でもないしそれ以下でもないの。」
「私への恋の先客は春翔だから。・・・・その・・・ごめんね。」
自分は今、逃げたと紗貴は確信した。
きれい事で流し、友里香の気持ちを無視していた気がした。
本当は断りたくなかった。
友里香への好きは違うもので、できれば今までの関係でいたかった。
そして紗貴は一つの考えに行き着く。
「自分はずるい」と。
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友里香は顔を上げた。目尻には涙を溜め、一粒また一粒と肌を滑らす。
「ごめんね。紗貴。」
彼女は達観したようで諦めきれないようで、様々な思いが交差しているようだった。
そんな、友里香に紗貴は思いっきり抱きついた。初めて友里香を守りたいと思った。自分の行いを呪った。
まるで子供のような友里香を見たくなかった。
「紗貴・・。ごめん。一回だけ・・・・・・・。」
「きゃっ!」
友里香が紗貴を押し倒し、唇を奪った。
しかし、紗貴はそれを受け入れ、二人の接吻は長く続いた。
「ぷぁっ」
二人は唇を離し、互いに確かめるように視界を交わらせた。
「ごめんね紗貴。」
謝り続ける友里香の顔は紅潮していた。
そんな友里香に求めるように手を伸ばそうとする・・・・・が、
ガチャリとドアが開き、春翔が入ってきた。
守りたい自分と守られたい自分。紗貴はその狭間で迷い続ける。




