17 本当の想い。
紗貴の顔が目の前にある。
互いの呼吸や心臓の打つ音さえも感じられる距離。
・・・・・・・・。
どれくらいの時間が過ぎただろうか。
紗貴は俺のズボンに手をかけたまま動かない。
「・・・・・。」
紗貴は俯く。
その唇はかすかに震えている。
紗貴は俺のズボンから手を離し体を起こす。
「ほんと、ごめん・・・。」
紗貴はうつむいたまま続けた。
「私、春翔に迷惑ばかりかけている・・・。」
涙が頬を伝う。
「春翔のことは誰よりも知っている、誰よりも一緒にいたし、誰よりも愛している・・・。」
「けど、この気持ちは一生しまっておくべきだと思ってた。」
両手でその涙を拭う。
「でも、その気持ちを伝えたら、きっと楽になると思ってた。」
「けど、それは違った。」
「もっと好きになった、自分が制御できないぐらいに。」
「私は今の関係に耐えられなくて、自分勝手なことして、春翔に迷惑をかけた。」
「・・・・・。」
自分は紗貴のことをわかっていなかった。
ただ、逃げていた。
紗貴が好きという感情から逃げていた。
「今も、変なこと言って、変にくっついて・・・。」
紗貴がこちらに向かって言う。
「本当にごめん」
「・・・っ!」
俺は紗貴を押し倒す
「きゃ」と紗貴が声を出す。
自分でも何をしているかわからないでいた。
でも、
俺は伝えたい
紗貴への本当の想いを。
「俺は、紗貴のことが・・・。」
「大好きだ!」




