16 すべてが愛おしくなっていく。
「私、春翔のことが大好きだから•••。」
紗貴はそっと指を俺の体を沿うように滑らせる。その指は俺の胸部、腹部へ至る。
「私達、16年以上も一緒だから、大丈夫だよ。」
「・・・・・。」
自分自身、紗貴を受け入れているのかもしれない。
実際、俺は紗貴をはねのけるのは簡単だ。
だが、できなかった。
初めて告白された日、それ以来紗貴の事がすごく気になっていた。
双子の片割れ という意味ではなく、<異性>としてだ。
俺は自分に嘘をつき続けていた。
双子、兄妹 という檻の中に閉じ込められていた。
言葉にすることにできない無数の想いが押し上げてくる。
俺達に<告白>の必要はなかったのかもしれない。
今までの16年間がすべてを語っていた。
性別、体格、声の高さ、学力、すべて違う紗貴と俺。
しかし、共通していることは、双子であること。
自分達の関係は他人には理解することができない、恋人や夫婦より強い絆。
誰よりも近い存在。
俺は目の前にいる想い人を見つめる。
優しい目、柔らかくな唇、透き通った頬。
すべてが愛おしくなっていく。
「じゃあ、やるね。」
紗貴が俺のズボンに手をかける・・・。




