8 好きを諦めない
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俺は深い眠りから意識を引き戻される。
俺は照明が消えている暗い室内を見渡す。
首を動かし、時計を確認する。時計の針は12を指していた。
俺が再度眠ろうとしたとき
「ねぇ~聞いてよ~」
紗貴が誰かと話していると思い、紗貴がいる方向へと寝返りを打つ。
俺は月明かりに照らされている紗貴は数年前に流行した、なめこのキャラクターのぬいぐるみを抱えている。
まじか、こいつぬいぐるみに話かけているのか。
俺が紗貴に引いていると。紗貴がこちら側に寝返りを打った。
俺はばれないように紗貴に背を向ける。
ちょっとまて、背を向ける必要性があったのか。
俺は盗み聞きをしている背徳感を感じながら紗貴のひとり言を聞く。
「今日ね~春翔とキスをしたんだよ~」
しかし、なめこからの返答はない
「でもね・・・。」
「フラれたの」
紗貴が小さく震える声で呟く
「でもね・・・。ずっと好きだったのにあんなに一瞬でフラれるなんて・・。耐えられないよ。」
ボフッと音がした。枕に顔を埋めたのだろうか。
「うっ、うう~」
紗貴が泣いている。
「私だって、わかっているんだよ?兄妹で結婚はできないし、恋愛もできない・・。でも・・・・・。
私は、わたしは・・・。」
「好きを、諦められない。」
それから、紗貴はずっと泣いていた。
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3分ぐらい経っただろうか、いきなり紗貴がベッドから立ち上がり俺のベッドに入って、後ろから抱きついてきた。
僅かに感じる胸の柔らかさが紗貴が女であることを証明している。
「私は、いつまでも春翔が大好き。」
俺は起き上がる
「は、春翔!?」と紗貴が驚いているが関係無い。
俺の紗貴への意識が<双子>ではなく異性>へと変わっていく。
自分自身をコントロールできなくなる。
俺はそっと自分の唇を紗貴の唇へと近づくていく。
紗貴は抵抗をしなかった。
唇と唇が重なる。
互いの吐息を感じ合う。
一生続いてほしいような美しい時間。
俺は名残惜しいようにゆっくりと紗貴の唇から離れる
互いの唇を唾液の糸が繋ぐ
俺は意を決して紗貴に言う
「紗貴、俺と付き合ってくれ」




