猫が導く出会い
「うん、いいよ。どこに行く?」
沙耶はそう答えた。音羽はすかさずノートに書き込む。
「私の家」
「うん、わかった。じゃあ、家帰ったら連絡する。早めに行くから。」
沙耶はそう答えて、学校を下校していった。
「篠原さん、ちょっといいかな。」
担任の須藤先生に呼ばれた。たぶんというか、確実にあの話だろう。須藤先生に連れられて
職員室に行った。
「まだ、手術を受ける勇気が出ない?」
「はい」
私はそう書き込む。そして、先生の返事を待たずに
「すみません 急いでるので」
そう殴り書きして、私は学校を出た。
「あ、転校生のこと伝えるの忘れてた。」
須藤先生は独りごとのようにつぶやいていた。
帰り道を、1人てくてく歩いていると、首輪の付いた猫がひょっこりすわっていた。
その猫は、私に向かって「にゃー」と優しく鳴いて、どこかへ駆け出していく。私にはその猫が「ついてきてごらん」と言っているように見えて、その猫についていくことにした。
猫は自由に歩いて、飼い主がいれば、その家にいずれ帰っていく。
時に、心配になって探し出す飼い主もいるだろう。
その猫を追いかけていると、男の人が走ってきた。
「どこ行ってたんだよ。心配したんだぞ。」
飼い主らしい。しかし、音羽は先程まで追いかけていた猫ではなく、その男の人に目を光らせていた。言葉にしなくとも分かる。
「イケメンだねー。あの人。」
後ろからいきなり、自分の心の声を代弁したかのように話しかけられたので、音羽はむせこんだ。
「ごめんね。学校の近くで見かけて、追いかけてたの。」
沙耶だった。
「にしても、すっごいイケメンだね。」
音羽はうんうんとうなずく。
そして、もう一度見ようとするときには、彼の姿は見えなくなっていた。
「帰ろっか。」
私はもう一度うなずいた。
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