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声
「おはようございます、えー昨日は…」
全校集会でのお決まりの校長先生の長話。それを聞く生徒たちはもちろん静かにしているわけはない。しかし、1人、誰とも話さない生徒がいる。
その名前は、篠原音羽、中学3年生。
これは彼女の中学3年生のたった一年の話。
「「おはようございます」」
市立一宮中学の校門の前では学校のあいさつ活動として、何人かが生徒にあいさつをしている。
今日は、学校が始まる日、始業式だ。
生徒は、体育館履きに履き替え、始業式を行う体育館へ移動していった。
そして、校長先生の長話が始まった。
無事、校長先生の長話が終わり、始業式が終わる。
そして教室で学活を受け、この日の学校が終わった。
「今日、どこか行こ?」
音羽は、友達と遊ぶためにそう『書かれたノート』を友達の井上沙耶に差し出した。
そう、私は声が出ない。