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キーワードにもあるとおり、元読み専の作家もどきでございます。

それでもよろしければ、どうかお付き合いください。

   

「ではランダムでよろしいですね」

「はい、お願いします」

「念の為に申しておきますが、職業が気に入らなかった場合でも、どうしようもありませんよ」

「えっ」

「よくあるゲームではキャラクターを消去してやり直す、と言った選択が可能ですが、当ゲームにおいてそれは適用されません。例えゲームパッケージを変えたとしても、一度作られたキャラクターで遊んでもらう事になります。その事を踏まえてもう一度よくお考えください」


 困ったな、叔父さんの薦めだけど、こんな事を言われるなんて。

 本当なら普通に職を選びたいんだけど、あの人があんなに言うからなぁ。

 好きじゃない人だけど、買えばかなりするゲームをタダでくれたんだし、仕方が無いかな。


「ランダムでお願いします」

「分かりました。それでは目を瞑って静かにお待ちください」

「はい」


 もし、変な職になっちゃったら、縁が無かったと思う事にしよう。


 ---


 気が付くと周囲が賑やかになっていた。

 目を開けると広場のようで、既にゲーム内なんだなと思った。

 周囲の建物は石で造られた、本当に中世って感じの街。

 馬車が走り、街灯が立ち並び、そして……そして……


 あれって獣人族?


 見れば獣の耳と尻尾を持った人が鎧を着けた人の後ろを歩いている。

 どうにも連れ歩いているようだけど、従者か何かだろうか。


 思った程、人が居ないんだな。

 このゲーム、4ヶ月前には大々的に発表されて大人気って聞いたのに。

 まさかもう過疎っちゃってんの?


 あ、そういや、どんな職になったのか見てなかったな。


「ステータス・オープン」


 名前・タケノコ

 職業・アイテム師

 階級・1

 攻撃・1

 防御・1

 武器・通常武器不可

 防具・

 技能 アイテムボックス・世界言語理解

 職能 アイテムクリエイト


 え、これ何?

 通常武器不可って何?

 武器持てないの?

 生産職っぽい名前だけど、戦えないってどういう事だよ。

 まさか素手で戦えって言うんじゃ?

 冗談はよしてくれよ。


(念の為に申しておきますが、職業が気に入らなかった場合でも、どうしようもありませんよ)


 ああ、それでか。


(よくあるゲームではキャラクターを消去してやり直す、と言った選択が可能ですが、当ゲームにおいてそれは適用されません。例えゲームパッケージを変えたとしても、一度作られたキャラクターで遊んでもらう事になります。その事を踏まえてもう一度よくお考えください)


 だからあれは忠告だったんだな。

 はぁぁ、参ったなぁ。

 別に叔父さんにもらわなくても、アルバイトで少しずつお金は貯まっていて、来月には買える予定ではあったんだよな。

 なのにそれを聞いたって叔父さんが、これをやるって……

 まさかとは思うけど……


 それでも一応、連絡を寄こせと言われているので、そのままログアウトをして電話をかける。


『もしもし、叔父さんですか』

『ちゃんとランダムを選んだんだろうな』

『はい、選びました』

『実はな、あれでランダムを選ぶとな、不人気職からランダムで選ばれる事になってんだよ』

『え……』

『しかもあれ、一度キャラ作ったら最後、もう造り直しが利かないからな』

『そんなぁ』

『お前がそのゲーム欲しさにアルバイトをしているって聞いてな、ちょっとしたイタズラを仕掛けさせてもらったんだ。どうだ、面白かったか? ひゃひゃひゃひゃ』

『……死ねばいいのに』

『ひゃひゃひゃひゃひゃ』


 ちくしょう、騙されたぁぁぁぁ。


 ◇


 あの叔父さんは人をからかうのが生きがいみたいなクソ野郎で、親戚中から嫌われている。

 そんな奴の企みに気付かなかった僕が間抜けなだけなのだろう。

 確かに残念な事になりはしたけど、よく考えてみればゲームを買うお金がそっくり浮いた訳だ。

 そりゃオープン当初は欲しくて堪らなくて、それでも親はVRゲームに理解が無くて買ってくれなくて、それならってんでアルバイトをして買おうと思ったよ。

 だけどさ、あれからもう4ヶ月、クラスの奴らもあのゲームの話もすぐにしなくなり、違うゲームの話をしているんだ。

 だからもしかするとつまらないゲーム内容だったんじゃないかと思い始めてさ、少しずつやる気が失せていたんだ。

 それでも始めたアルバイトを辞めるのもなんだし、お金は何にでも使えるからいいやと思い始めていた矢先の事だったんだ。

 だからあのゲームがダメでもそこまで落ち込んではいない……と思う。


 でも、明日から夏休みって時に、あれはちょっと痛かったな。


 お陰でアルバイトの意欲が相当に減っちまったぞ。

 まあいいや、とりあえず日中はアルバイトをして、夜に少しだけログインしよう。


 ◇


 名前・タケノコ

 職業・アイテム師

 階級・1

 攻撃・1

 防御・1

 武器・通常武器不可

 防具・

 技能 アイテムボックス・世界言語理解

 職能 アイテムクリエイト


 見ているだけでも嫌になるステータスだけど、このまま逃げるのも癪な話だ。

 なにより夏休みにアルバイト一色ってのもつまらない話だしさ、やれるだけはやってみようと思っている。


 えと、何を持っているのかな。


 アイテム

 ・布団叩き 

 ・初心者の服

 ・初級回復薬 10

 ・500ディグ


 武器不可だからって布団叩きって何だよ。

 それで叩けとでも言うのかよ。

 まあ、とりあえずは冒険者登録でもして考えますか。

 とりあえず服は装備にして、後は……布団叩きを装備したくないな。

 だってバカみたいじゃない、そんなの腰に差して歩くとか。


 そこらの人に道を聞き、冒険者協会に行く。

 しばらく歩くと右手に見えてくる。

 妙に古ぼけた平屋なんだけど、ここが本当に冒険者協会?

 中に入るとかび臭い匂いと共に、酒の匂いが充満しているような。


「おい、坊主、何しに来た」


 うわぁ、テンプレかよ。

 こんなのゲームでやるかよ、今時。


「冒険者登録です」

「ここは酒場だぞ、ひゃひゃひゃひゃ」

「え、でも入り口に……」

「移転したんだよ、んでここは酒場になったのさ」

「じゃあ何処に変わったんですか? 」

「そんなの自分で探せよ」

「分かりました」


 自分で探せと言ったんだから良いよね。

 そのまま奥に入って左手の受付のような場所に歩いて……


「てめぇ、待ちやがれ」

「まだ何か」

「ここは酒場だと言っただろ」

「自分で探せと言ったのは貴方ですよ」

「ぐっ、てめぇ」

「はっはっはっ、おめぇの負けだ、グラース」

「はいはい」

「ようこそ、冒険者協会へ」

「あ、はい」


 つらつらと説明を聞きながら、この世界の事を思い返す。

 手持ちの金は500ディグだけど、全部出すと大銅貨が5枚になる。

 それと言うのも1ディグが小銅貨1枚であり、10枚で中銀貨1枚になる為だ。

 後は10枚ごとに、大銅貨、小銀貨、中銀貨、大銀貨、小金貨、中金貨、大金貨となっているらしい。

 ただし、アイテムボックスに入れると数値でしか現れず、出す時に自動両替をしてくれるらしい。

 これは便利なシステムだけど、プレイヤーだけの特典のようで、NPCの両替商涙目ではないのかな。

 さっき15ディグを出そうとしたら中銅貨1枚と小銅貨が5枚出たんだ。

 だから自動両替が効いていると分かったんだけどさ。


 ちなみにこの世界での冒険者は、初級、中級、上級、そして最上級の4段階らしい。

 登録をした冒険者は初級-001で登録され、999になるまで貢献度を稼いで始めて中級にランクアップ出来るとか。

 そもそも最初は000じゃないのかと聞いてみた。


「ああ、それはね、君が冒険者を目指そうとしたという功績を鑑みて、貢献値1にしてあるんだよ」


 決心を功績に換算したって感じかな。


「ああ、ちなみにだけど、貢献値は下がる事もあるからな」

「え、下がるって、どうしたら」

「依頼失敗でまず下がるね」

「でも000になったら終わりですよね」

「いやいや、それはちょっと甘いね。マイナスになったらもうひとつ下のランクに下がる事になる。その名も奴隷クラス。これになっちまったら最後、協会の指定する仕事を否応無しにやってもらう事になる。当然、人の嫌がる仕事になるが、断る事は出来ないんだ。だから奴隷クラス、分かるかな」

「じゃあ失敗しなければ良いんですね」

「そういう事だ。さて、ここで私からの依頼がある。これは冒険者になった人に私から出している依頼で、受けなければ貢献値が10下がるからそのつもりで」

「じゃあ奴隷クラスになっちゃうじゃない」

「うん、今ね、その奴隷クラスが居なくてさ、仕事が溜まっているんだよ」

「そんなぁ、じゃあ止めます」

「おっと、もう遅い。はい、冒険者カード」

「そんなぁぁ」

  

短かったので2話分合わせました。

最低2000文字になるようにします。

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