表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異空間王子と妖精少女は王子様のスパイ  作者: 幻想桃瑠
◆◆◆――第二章 四面楚歌の宝玉国の王子様を救出せよ!――◆◆◆
8/71

第七話 王子様のお願い2

「あ、貴方が、王子様なんですか……?」

「ああ。昨日から何者かに葬られようとしているみたいだけど、その通りだな」


 明らかに不審者の私を敵とみなしてない。いや、亡き者にされようとしているのに、敵も味方もないのか。絶望の境地にいるので、肝も据わってしまったのか。


「お前にも名はあるのか?」


 やさぐれた笑みを浮かべ、アレクシス王子は私に尋ねた。


「私は、吉永蜜柑。異世界の住人です」


 こっちの世界から見たら私の世界は異世界だ。

 アレクシス王子の驚く顔が見たかったが、彼は仏頂面のままだった。


「異世界? もしかしてお前は妖精なのか?」

「妖精……?」


 余弦国の連中も、妖精の名を口にしていた。この異世界で妖精が何の意味を示すのかは知らない。でも、幽霊が妖精と言い変わったら悪い気はしない。アレクシス王子の目には私が妖精のように可愛らしく映っているのかもしれない。


「そうかもしれませんね、妖精かも!」


 私のギャグのつもりだった。

 思いもよらないところで、アレクシス王子の目が穏やかになったので、私はその変化に驚いた。

 しかし、その表情も次の瞬間には曇ってしまった。


「誰かが、私を葬ろうとしているとしか考えられない。唯一信頼を置いている執事のパトリックも最近では疑ってしまうありさまなんだよ……。疑心暗鬼になってしまっているのかもしれない」


 気の強そうなアレクシス王子の目が潤んだ。私は、すっかり彼に同情していた。

 なんて、気の毒な王子様だろうか。


「蜜柑。お願いがある」

「お願いですか……?」

「私を死に至らしめようとしている者を突き止めてくれないか」

「面白いですね、それ」


 私はニヤリと微笑む。すると、アレクシス王子は続けた。


「私は幼い時に余弦国の使者から予言を受けたことがあるんだ。私が危機に陥った時に、異世界から妖精が助けに来てくれると。だから、私は密やかにこうして異世界からの妖精――つまり、蜜柑を待っていた。馬鹿馬鹿しい最後の賭けだったが、どうやら私は勝負に勝ったらしいな」


 私は、妖精と称された救世主というわけか。王子様から大役を頂いた気分だった。


「私は、毒を入れた犯人を探せば良いんですよね?」

「そういうことになるかな? やってくれるな?」


 姉が投げ出したっていうのが気になるけど……。


「う、うん、いいよ!」

「ありがとう、蜜柑」


 そうして、私は異空間を使って、王子様の食事に毒を入れた犯人捜しをすることになったのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ