第二十話 メイドのパッツイの忘れ物
私は異空間の画面を厨房に転移させた。
『パッツイ、昨日これを忘れていたぞ!』
『あ、ありがとうございます、料理長』
丁度、メイドが料理長に呼びとめられていた。
なんだ? メイドのパッツイが顔面蒼白になって震えている……?
料理長からパッツイは何かを受け取ったようで、慌ててポケットの中に入れていた。
『パッツイは、多分忘れ物をしてないと思う』
「う、うん。もしかしたら……!」
『追跡してみる?』
「うん!」
パッツイを含めた三人のメイドたちは、銀色のワゴンを押して行く。私は異空間を上から見下ろす格好で、メイドたちについて行く。
メイドたちは、アレクシス王子の部屋をノックした。
『失礼します』
メイドたちは、部屋の中にお料理を持ち込んでいる。
『アレクシス殿下、朝食をお持ちしました』
メイドたちは、お料理をテーブルの上に並べている。そして、昨日のお料理をワゴンに戻すと、退室し始めた。今のところ不審な様子はない。
『パッツイ、何やってるの、早く行きましょ!』
『先に行ってて!』
パッツイと呼ばれたメイドは、仕事仲間を先に行かせると、自分だけ誰もいない部屋に残った。そして、辺りを窺うと、パッツイはポケットから何かを取り出して、王子様の料理に何かを振りかけた。
そして、パッツイは退室した。
「偽王子君、見た!?」
『うん、見た見た!』
「よいしょ……!」
異空間から上半身を出した私は、部屋の隅に置かれてある水槽の中にそれを入れた。しばらくすると、毒見の魚たちは腹を上にして浮き上がった。
「やっぱり、これは毒だ」
『だね……』
メイドのパッツイが、アレクシス王子のお料理に毒を混入させていたんだ。
「ポケットから何かを出したってことは!」
『黒幕は料理長だったんだよ!』
「そうだね! 料理長の後をつけて完全なる証拠を見極めよう!」
私と偽王子君は、料理長を探すため厨房に異空間の画面を転移させたのだった。




