第十八話 メイドが○○した理由
アレクシス王子の部屋のこの時間帯は、いつも通り彼の他は誰もいない。私は、安心して異空間の外へ半トリップした。
「アレクシス様、真犯人が分かりました!」
「よく来たな、蜜柑」
今日は元気そうだ。
王子様が元気なのは、私が犯人を追いつめて行っているからだろう。
一応は、アレクシス王子のお役に立っているようだ。
嬉しくなった私は、一通り事件の概要をアレクシス王子に説明した。
「黒幕は第四王妃か。でも、メイドのシャロンは自害した……?」
「はい、確かに、取調室を見ておりましたので!」
アレクシス王子は、手を顎にやって一考した。
「それは、おかしいな……?」
「どうしてです?」
「メイドのシャロンが自害したのは、第四王妃が取調室に連れてこられたからではないのか?」
「え、えーと……?」
どういう意味だ?
鈍い私では、アレクシス王子の意味することが分からない。
「自分の下手な自白のせいで、第四王妃が犯人とは違うと証明されてしまうと命をかけた意味がないからでは?」
そうか! 第四王妃が犯人ではないと証明されないために、メイドのシャロンは自らの口を封じた。もしくは、毒を飲むように強要された……!
私は、納得して、手をポンと叩いた。
「それは、つまり黒幕が他にいるということですね! な、なるほど! つまり、オルタンシア様は無実だということですね!」
「それに、メイドのシャロンは毒など持っていなかったのだろう?」
「はい、ちゃんと調べたと尋問官は言ってました」
「ということは、何者かが、毒を持ってきたということだ。本当の黒幕がな」
な、なるほど~!
「確かにそうですね! 流石、アレクシス様です! 確かに、オルタンシア様にはアリバイがあるそうですから、そうかもしれません!」
「アリバイ……?」
アレクシス王子が怪訝そうな表情になった。しかし、このアリバイはアレクシス王子にとても伝えにくい。
「えーと、そのぉ……」
私が困っていることが、どうやら答えになってしまったらしい。
アレクシス王子は、楽しそうに微笑んだ。
「隠さなくてもいいぞ? どうせ、第四王妃は四六時中父上と一緒だったのだろう?」
「あ、当たりです……!」
やはり、アレクシス王子は聡明な方だ。このような優秀な王子様にこのような仕打ち。まったくもってけしからんね!
「父上には第五王妃までいるが、私は、信用できん。実の母でさえ信用できないというのに……」
「実のお母様って、王妃様……つまり、正妃様ですか?」
「ああ。私の母上のライラックだ」
お母様の名を口にする王子様の目が寂しそうだ……。
「げ、元気を出してください!」
「そうだな、私には蜜柑がいるからな」
「え゛?」
まぶしいスマイルが返ってきて、私は固まった。アレクシス王子が続ける。
「……それで、第四王妃は何を言っていた?」
「ええと……。『私を疑う前に、第二王妃、第三王妃を疑いなさい』と」




