第27話 人間て生物学上何に分類されるんだろうね
「シンデレラってさぁ…本当にあった話なのかな?」
「は?」
姉の謎の発言に弟が呆れた顔をしている。姉が不思議なのはいつものことであるが。
「姉貴、頭大丈夫か?」
弟が本気か馬鹿にしてるのか姉の額に手を当てる。
姉が読んでいた本をソファの前にあるコーヒーテーブルに置いた。そして弟の手を叩き落とす。
「別に熱があるわけじゃなくて、シンデレラの話って本当にあったら素敵だと思わない?」
「どこらへんが?」
継母が子供を苛めるという意味なら今あるかもしれないが、素敵ではないだろう。
「文句も言わずに従ってれば、魔法使いが出てきて王子様と結婚出来るんだよ!?中世の玉の輿だよ!?」
「姉貴には無理だ」
会話を無視して弟が吐き捨てた。
「まず、絶対に継母に従わないだろ?」
弟が指を一本立てる。
「魔法使い来ても12時までってところに文句を言うだろ?」
弟が中指も立てた。
「王子と会っても馬鹿にして終わりだな」
弟が三本指を立てて姉に突き出した。
「一番重要なのはそこじゃなくて、魔法使いが出てくることよ!!」
「ほお」
弟が腕を組んで仁王立ち。
「現代に魔法使いがいたらすごいじゃない!!いいことじゃない!!欲しい物があったら出してくれるのよ!?」
「いねぇよ」
「そんな夢のないこと言わないの、しゅーちゃん!!もしもの話だから!!しゅーちゃんも家事しなくて良くなるのよ!!」
弟がフンと鼻を鳴らした。完全に馬鹿なする姿勢だ。
「もしもこの家に魔法使いがいたとしたらな、俺が家事とか頼む前に姉の頼み事で魔法使いがヘバってるんだよ!!」
ありうるな。姉だから。
「二人ともひどくない!?それに魔法使い的な人なら現に存在してるじゃない!!」
「どこに?」
「ここに!!」
姉が空中を指差した。
「…誰もいねぇよ」
仁王立ちのまま弟がツッコミを入れた。
「いるじゃない!!天の声が!!」
私か!?
「人間かは知らないけど、魔法使いじゃないだろ」
「前回とか、色々不思議現象起こしてたじゃない!!」
あー…ナレーション・マジックか…。
「けど魔法使いじゃないだろ」
「じゃあ天の声は何者なのよ!!」
「地球外生命体だろ?」
地球外ならここにまずいないから。一応人間には属してるのである。
「どこが!?」
人間科ナレーション目という生物である。
「あるかぁ!!そんな変なもん!!」
そんな事は横においといてだな、シンデレラなら弟だろう?
「なんで俺?」
姉にこき使われて家事全てを受け持ってるところが。
「あー…だったら姉は…」
義姉だな。
「やっぱり姉貴は姉のままか…」
だろうな。
「もー。そんなこと言わないでよ!!私もヒロインになりたいの!!中心にいたいの!!義姉なんて意地の悪い脇役じゃなくて!!」
姉はいつでも中心にいると思う。弟を巻き込んで。
「天の声うまい!!」
弟が親指を立てて同意した。
「うまくなーい!!」
姉が怒鳴った。
ところで姉よ。突然シンデレラという話題を振ったからには、さっき読んでいた本がシンデレラだったりするのか?
「ううん。これは金太郎」
「関係なくねぇ!?」
♪まーさかり担いだ金太郎ー♪
「天の声、歌わなくていいから…」
今日も今日とて弟はどっと疲れているのだった。
果たして俺は何が書きたかったのか…。謎です…。