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第24話 イタ電は大概に

 弟は今日もソファに寝そべっていた。昼間は面白いテレビもなくかなり暇そうだ。

 夕飯の準備でもしたらどうだ?

「姉貴が給料日だから外に食いに行こうってさ」

 夕飯の準備すら出来ないわけか。

 暇な弟がいるリビングの電話が鳴り出した。億劫そうに弟が立ち上がり受話器を取る。

「もしもし?」

「俺だよ」

「誰だよ」

「俺だって。お前の親友の…」

「俺の親友に『俺』っていう名前のやつはいない」

「ちょっ……」

 ツーツー…。

 弟は容赦なく電話を切った。

 再び電話が鳴り出す。弟がため息混じりに受話器を取った。

「もしもし…」

「先ほどは申し訳ありませんでした、斎藤様。オレオレ電話風にかけたらどういう反応示すか知りたかっただけなんだよ」

「へー。で、どちら様?」

「え?気づいてるだろ?お前なら気づくって信じてる」

「そんなキショイことを言うのはもしかして苗字に『つ』が付く人?」

「そんな思い出し方はしないでほしいけど…俺が塚…」

「塚地?」

「誰だよ!!誰塚地!!」

「うるせぇよ。元七三眼鏡」

「その呼び名はやめ…」

 ツーツーツー…。

 さっきよりも容赦なく弟が電話を切った。

 畳み掛けるようにまた電話が鳴り出した。弟がまた受話器を取る。

「今度はなんだよ!!」

「こちら、住宅販売の仕事をしております〇〇ですが、夢のマイホームはいかがですか?」

「セールスか…」

「は?」

「いえ、間に合ってます」

 ガチャッ…。

 弟はいっそのこと電話線を抜いてしまおうかという考えに取りつかれた。しかしそれでは姉からの電話に出られないので、結局ほっとくのであった。

 弟がソファに戻ったタイミングで再び電話が鳴り出す。

「はい…もしもし…」

「もしもし?俊介か?」

 聞き覚えのある低音が耳に届く。

「あぁ…なんだ父さんか…」

「どうした?随分疲れてるな」

「さっきからイタ電とかセールスとかかかってきてて…」

「お前も大変だな」

 久しぶりにまともな人と喋った弟であった。

「何の用?」

「大学ももう春休み入るだろ?」

「ああ」

「帰ってこないのか?」

「春休みは短いからいいよ。帰るのも金かかるし。それに帰るって言ったら姉貴がうるさそうだし…」

「…すまんな」

「母さんは?元気?」

「………」

 電話ごしにドタバタと駆け回る音が響いた。そして「鈴ー!!」「違うよ。りんちゃんて呼んでー♪」という声も聞こえてくる。

「元気そうだな…」

「あぁ…」

「母さんに一応よろしく言っておいて。後、鈴にも」

「電話に出さなくていいのか?」

「……今、あの人に対処出来るだけの体力がない」

「そうだな…」

 短め!!比較的短く仕上げてみました。久々の常識人、父ネタです。今回は微妙に母も出演。でも、しばらく母を出すつもりはありません。弟と同じ理由で…。

 感想お待ちしています!!

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