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第20話 面白すぎる学祭 その三

お待たせいたしました!!

大学祭編の第三話になります!!

「完成〜!!」

 ヘアアレンジ担当の柿崎が手を上げた。弟のセットが終わったらしい。

「こっちも終わったわよ」

 葉賀が顔を上げて、チークをしまった。

 弟の着替えも済んでいるのでこれで準備は完了である。が…。

「おーい、生きてるかー?」

 間延びした口調で塚田が手を振る。弟は顔をあげようとしない。

 大丈夫か?

「死にたい…。大丈夫じゃない…」

「主役が何言ってんだ!!テンション上げろよ!!」

 いや…その恰好じゃあ無理だろう…。

 弟が首を縦に振った。一応こちらの声は聞こえているらしい。

「大丈夫だって。お姉さんそっくりで、綺麗だよ」

 マジ顔で塚田に言われても…。

「それは男に言うセリフじゃない…。てか、キショイ」

「キショイって言うなよ。それに今のお前なら女にしか見えないから問題ない」

 それは問題なくはないだろう。

 塚田はなおも弟を励まそうと声をかけ続けるが、弟のテンションは段々と落ちていく。

「こんな時しかやることないんだからさぁ。ねぇ?」

「うん。そうそう。どうせ一回なんだから全力でやろうよ!!」

「そうですよ!!」

 柿崎、葉賀、山村の女子3人も弟を必死で励ます。弟は背を丸めてうつ向いたままだ。

「失礼しまーす」

 返事も待たずに女装美人コンテスト控え室の扉が開いた。

「あ、ちょっと…」

 柿崎が止めようと立ち上がると塚田がそれを押し留めた。

「まぁまぁ。あの人は俺が呼んだんだからいいんだよ」

 あの人と言いつつ、入ってきたのは二人。もちろん弟の姉と妹である。…こう言うと複雑になる。

「だったら言い方変えろ…」

 うつ向いたまま弟が反論した。弟が独り言を言っても皆、姉と妹に気を取られていて気づかない。

 姉と妹がうつ向き加減の弟を発見した。姉が目を輝かせて駆け寄る。

「しゅーちゃん、綺麗!!」

「やめろ!!言うな!!今からすぐに帰ってこのことは忘れろ!!」

 無理な注文である。

 弟が微かに顔を上げて目を細めた。そんなことをしても私の姿は見えない。というか人相が悪いぞ、弟。

「帰らないわよー。こんな貴重な物を見逃すわけにはいかないって」

「そうだよ、お兄ちゃん。お姉ちゃんと似てるけど性格の分お兄ちゃんの方がモテるって」

「…鈴、どういう意味?」

 妹の言葉に姉が目を細める。それに対して妹はからりと笑った。

「ばかだなぁ。そのままの意味だよ、お姉ちゃん」

「そんなこと誉められても嬉しくねぇよ」

 弟がガックリと肩を落とした。

「斎藤くんのお姉さんと妹さん?」

 葉賀が割り込んできた。そうでもしないと弟いじめ…可愛がりが止まることはなかっただろう。

「あ、しゅー…じゃない、俊介のお友達?いつも弟がお世話になってます」

 姉が一見しっかりしたお姉さんと間違うような態度で軽く頭を下げた。妹もそれにならう。なんと表面だけ作り出す姉妹だろう。そんな表面だけで姉に惚れた塚田が口を開く。

「見たことなかったけど妹もいたのか」

「普段は実家。たまに遊びに来るんだ。で…」

 弟が目線を塚田から妹に動かした。

「なんで鈴がここにいるんだよ…」

「お姉ちゃんに面白いことがあるから来なさいって呼び出されたからだよ。ね?」

 妹が笑顔で姉に話を振った。弟の顔がひきつる。

「やっぱり姉貴か…。来るなって言ったのにな…」

 姉が慌てて弟のご機嫌取りをはかる。無駄だとは思うが…。

「ほらぁ、そんな顔しないの。せっかく綺麗にして貰ったのに台無しでしょう?」

 ブツンと何かがキレる音がした。

「好きでやってねぇんだよ!!」

 姉が弟の機嫌をとろうとしても無駄だということが実証されたのであった。

 塚田が弟と姉の間に割って入る。

「お姉さんも妹さんも観客席の方に移動して待っててください。そろそろ始まると思いますから」

「あ、もうそんな時間?」

 パタパタと足音を立てて姉と妹が出ていった。

 それを笑顔で見送る塚田の背中に冷たい目線が刺さる。視線に気づいて塚田が振り返って弟に弁解を試みる。

「お前のお姉さんなら何言っても見にくるんだからしょうがないだろう。諦めろよ。機嫌直せって」

 塚田がいくら言っても弟の眉間のしわは取れない。

 塚田が弟に機嫌を直すように言っているところへ、大学祭運営委員会が扉を開けて移動するように促した。

「行くぞ。このままだと棄権になるからさ」

「棄権になればいい…」

 不機嫌な弟を塚田が宥めながら会場まで引っ張って行く。

 女子が笑顔で見送っている。

 たった一人だけ皆と違い、弟の背中を心配そうに見つめていたのはきっと私以外誰も気づいていないだろう。

 大変お待たせした上に学祭編完結してなくてすいません。

 しかも最後、天の声が天の声じゃなくなってますし…。学祭編だと天の声と弟の会話とかがまともにできなくて調子が狂ってるんですよ、彼?も。

 記念すべき20話目なのにこんなんでいいんでしょうか。予定では30羽目に「談笑会」をお送りする予定なので疑問質問を送ってください。


 さすがに次で終わるはずなのでもう一話だけ学祭編という名の女装コンテスト編にお付き合いください。

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