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その2

 アリエルに与えられたのは東側と南側の二面に窓のある部屋だった。本当に使っていなかったらしく何も置かれていなかったが、埃などもひとつとして落ちていない。

 アリエルは運んできた鞄を部屋の隅に置き、天井や窓の外を見回した。


「本当にこの部屋を使って良いの?」

「ああ、どうせ使ってなかったからな」


 レオナルドは窓を開けながら答えた。

 クララも後ろからひょっこり顔を出す。


「日も当たるし、風通しもいいし、良い部屋じゃない。でもなんにもないわね。ベッドと棚くらいは必要でしょ」

「ベッドと棚か……」


 レオナルドは顎に手を当て、ふいにアリエルの方に顔を向けた。


「外の物置に木材があるから、それを適当に持ってこい」


 それだけ言うと、レオナルドはどこかへ行ってしまった。

 アリエルは目をぱちくりとさせ、クララを見た。


「まさかレオナルドさんが作るの?」

「レオが日曜大工……ぷっ。いえ、彼は器用だからそつなく作ってしまいそうだけど。まあ、何か考えがあってのことには違いないから従っておきましょう。手伝うわ」


 そう言って、クララはアリエルにおいでおいでをした。



 クララは迷わずまっすぐに裏口へアリエルを案内した。階段を降りて右の廊下の突き当たりに扉はあった。ちなみに階段を降りて左の扉を開けば最初に入った店舗部分だ。

 クララさんって、ここに住んでないって言ってたよね? というアリエルの疑惑の目に気づいているのかいないのか、クララはにこやかに裏庭への扉を開きアリエルを外へ促した。


 アリエルは庭を見た瞬間、自分の目を疑った。

 玄関側から見た時には想像できない程に、裏庭には植物が溢れていた。何故気づかなかったのか不思議なほど大きな木やガラス張りの温室まである。珍しい草花の鉢植えも点々と置かれていた。


「あ、これクシルの実だ。育てるの難しい草なのに」


 アリエルのグレーの瞳がきらきらと輝いた。植物が多すぎて奥の方は緑の塊のように見えるほど、この薬草園は広いようだ。

 クララは雑然とした茂みの方には目を向けず、手前にある物置の戸をがたがたさせていた。


「アリエルちゃんは植物に詳しいって言ってたわね?」

「うん、草木はすごく身近な存在だったの。薬草とか毒草とか、お母さんにたくさん教えてもらったわ」

「じゃあ即戦力になれるわね!」


 建て付けが悪いのか戸がなかなか動かないので、クララはついに木戸に蹴りを入れた。バキッと大きな音を立てて戸が真っ二つに折れる。

 目的を忘れ鉢植えをうっとりと見ていたアリエルは、はじかれたようにクララを見た。


「オホホ、お見苦しいところを」


 若草色のスカートについた木くずを払うと、クララは物置の中にあった木材をひょいひょい抱え始めた。


「それ、大丈夫なの?」

「大丈夫よ、レオが直すわ。はい、アリエルちゃんもこれ持って」


 反論を許さない笑顔で、クララは木材をいくらかアリエルに差し出した。


「扉もだけど、クララさんの足も心配だわ」


 アリエルは受け取りながら、クララの足をまじまじと見た。


「あら、ありがとう。丈夫だからこれくらい平気よ」


 鉄壁の笑顔でクララは両脇に木材を優雅に抱えた。


「とりあえず、これだけあればいいでしょう。アリエルちゃん、戻りましょ」


 クララは両腕に木材を抱えているにも関わらず器用に勝手口を開け、アリエルに入るよう促した。



 部屋に戻ると、アリエルは室内の異様さにぎょっとした。アリエルが鞄を置いた部分を残して床を覆い尽くすように白い布が広げられ、その中心部に麦わらと薄紅色の布がこんもりと積まれている。

 そのそばにレオナルドが立っていた。服はいつの間に用意したのか、丁度良いサイズの物に着替えてある。

 アリエルとクララが戻ってきたのに気づいたレオナルドは振り返って、傍らの山を指さした。


「戻ってきたか。じゃあそれをその辺に置いてくれ」

「……これは何事?」

「まあ待ってろって」


 若干引き気味のアリエルに、レオナルドは苦笑した。

 アリエルとクララが山に立て掛けるように木材を置いたのを確認すると、レオナルドはアリエル達に廊下に出ているように言った。


「覗くなよ?」


 ふたりを部屋から追い出すと、扉を細く開けてもう一度念を押す。

 アリエルが「はいはい」と返事すると、レオナルドは扉を閉めた。


「……『覗くな』って言われたら、覗きたくなるのが人間ってものよね?」


 クララが後ろで「やめた方が良いと思うなー」と苦笑しているが、アリエルは気にせず扉を慎重に、音を立てないよう細く開けた。


 部屋の中ではレオナルドが床に敷いた布に何か描いていた。模様を描き終わると立ち上がり、手を山の方へ向ける。

 一拍の呼吸の後、描かれた模様が輝き始めた。山になっていた物たちは浮き上がり、光に包まれる。

 アリエルは目を見開いた。


「……魔法!?」


 やがて光は強烈さを増し、アリエルはこらえきれずに目をつぶった。

 光が収まったのを感じアリエルが目を開くと、麦わらも布も木材も消え、代わりにピンクのカバーの掛かったベッドと可愛らしいカントリーチェストが部屋の隅に置かれていた。


 アリエルはぽかんと目と口を開けたまま部屋に入った。

 扉の開く音にレオナルドが振り返る。


「見たな?」


 責めるような目で見られて、アリエルはひっと後ずさった。

 クララも部屋に入ってくる。


「私は一応止めたのよー?」

「恐れながら、それを期待して貴方も外に出したんですが……」


 レオナルドはふーっと息を吐くと、クララと入れ替わるように部屋から出て行った。

 その後ろ姿を見送ると、アリエルは力なくベッドに腰を下ろした。

 ふかふかと、麦わらの良い匂いが鼻についた。


「今更だけど、レオナルドさん黒髪黒目だったね」


 クララもアリエルの隣に座る。


「そうね。……アリエルちゃんはレオのこと怖くなった?」


 クララは目を細めてアリエルを見つめた。

 この国では、黒髪黒目といったら魔女(ウイッチ)の象徴だ。普通の人だとどんなに濃い色をしていても、絶対に黒ではない。真に黒髪黒目を持っている者は、必ず魔女だった。


 そして魔女といえば、若さを保つために人肉を食らうとか、魔法で人を意のままに操るとか、誰も見たことのない魔物を使役しているとか、本当か誇張か分からない悪いイメージが世間一般には染みついている。

 レオナルドは男性だが魔女の特徴で黒髪黒目をしていて、しかも魔法が使える。


 アリエルはうーんと首をひねった。


「睨まれた時はちょっと怖かったけど、でもそうでもないかな。魔法だって私のために使ってくれたんだし」

「アリエルちゃんは魔女が怖くないの?」


 クララは重ねて静かに聞いてくる。

 アリエルは片肘をついて考えた。


「世間ではどうか知らないけど、少なくとも私は魔女から何か被害を受けたことないし。レオナルドさんは男の子だし」

「……そうね」


 クララの声が寂しげに聞こえて、アリエルはクララの顔を見た。

 クララはじっとアリエルの顔を見つめている。窓から差し込む陽光が、クララのきれいな顔に濃い影を作っていた。


「世の中の人全員がそういう風に考えてくれたら、いいんだけどね……街の人達の中にもレオを危険視する人がいるの。むしろ、アリエルちゃんみたいに言ってくれる人の方が少ないわ。だからアリエルちゃん、レオの助けになってあげてね」

「わかりました」


 アリエルはぐっと気を引き締めた。

 クララはその返事に満足したように、ぱっと笑顔になって立ち上がった。


「それじゃ、私は先に一階に降りるわね。アリエルちゃんも荷物を片付けたら降りていらっしゃい」


 クララはひらひらと手を振りながら、ふわりと部屋から出て行った。


 アリエルもベッドから離れ、部屋の隅に置いてあった自分の旅行鞄に手をかけた。

 元々小さな旅行鞄に入るだけしか持ってこなかったので、荷物の整理はあっさり終わった。


 窓を見れば日が少し傾いている。三時くらいだろうか。そういえば、時計を持ってこなかったなとアリエルはぼんやり思った。

 中身をチェストに移し空になった鞄をパタンと閉じてベッドの下に押し込むと、アリエルは一階に降りた。


 店の方ではクララがソファに腰掛けてお茶を淹れていた。レオナルドは小さな鍋やガラスの瓶などを右手奥のキッチンへ運んでいる。


「もうお夕飯の準備? 何か手伝うことある?」

「いや、ついさっき若返り薬を作り終えたところだ」


 もう一度店の方を覗けば、カウンターの上に宝石で過剰に飾られたピンクの壺が置いてあった。その周りにはアルコールランプや空になった薬包紙が散らばっている。アリエルの部屋から出ていった後に、若返り薬を作り直していたようだ。

 アリエルは目線をレオナルドに戻した。


「それ洗うの? 手伝うよ」

「そうか? じゃ、早速働いてもらおうか」


 アリエルはレオナルドから洗い物を受け取った。


「精製途中の残りカスでも何らかの効果があるからな。触らないように気をつけろ」


 そう聞いた瞬間にアリエルは背筋をぴんと伸ばし、ぎくしゃくと流し台へ向かった。


「大丈夫なのか、あれ?」


 レオナルドの不安げな声を聞き、アリエルは全神経を集中させて洗い物を流し台に置いた。

 それから振り返ってみたがキッチンにはアリエルひとりで、レオナルドが心配してついてくる様子はない。

 彼はカウンターの片付けに向かったようだ。アリエルの仕事を信頼してくれるらしい。


「さて、それじゃあ気合いを入れて初仕事といきますか!」


 蛇口を勢いよくキュッと捻れば、透き通った水がアリエルの手元に落ちた。

 アリエルは少しの間、水をいとおしげに手のひらで受け止めると、母から教わった『水仕事の歌』を歌いながら洗い物を始めた。


 アリエルが洗い物を終えた頃、見計らったようにレオナルドがキッチンに顔を出した。

 レオナルドはひょいと、水のしたたるガラス瓶をつまみ上げた。


「思ったよりも早いじゃないか。それに綺麗に洗えている」


 アリエルは最後に薬さじを軽く振って水を切った。


「うちでよくお手伝いしてたからね。薬品を扱う器具だってことだから丁寧に洗ったつもりなんだけど、それくらいでいい?」

「十分だ」


 レオナルドは頷き、洗い終わった器具を倉庫へ乾かしに行った。

 アリエルは初仕事で合格点を貰えたことに満足しながら店舗の方へ向かった。


 店のソファではクララが目を閉じて優雅にお茶を飲んでいた。

 アリエルは空いていた向かいのソファに腰かける。

 ソファの軋む音に気づいたクララはゆっくりと目を開けてカップを置き、アリエルに柔らかい笑みを向けた。


「さっそくお仕事だったの? お疲れ様」


 アリエルもつられて笑顔になる。


「仕事と言っても、鍋とか洗っただけよ」

「それも立派な仕事よ」


 クララはテーブルにふせてあった空のティーカップに紅茶を注いだ。


「ちょっと冷めちゃってるけど、どうぞ」


 アリエルのために用意していてくれたらしい。


「ありがとう」


 アリエルは差し出されたティーカップを受け取り、口を付けた。


「あれ? 何か不思議な香りがする」

「気づいた? 何種類かの香草入りのレオ特製ブレンドティーよ」


 クララはぱちりとウインクした。


「これ、レオナルドさんが作ったの? 薬だけじゃなくて、こういうのも作れるんだ」


 アリエルはカップの中を覗いた。爽やかで甘やかな香りが肺まで届くようだ。


「レオは器用だって言ったでしょう? よっぽど本格的なものでなければ、大抵のものは何でも作っちゃうわよ」


 クララも紅茶を口にした。

 アリエルが紅茶の香りをたっぷり楽しんでいると、カウンターの向こうにレオナルドが現れた。ローブを着てフードをしっかりとかぶっている。


「アリエル、次の仕事だ」


 カウンターの上にあったピンクの壺を手に取ると、ふたりの元へやってくる。壺の中身は若返り薬のはずだ。


「これを依頼主の元へ届けに行くぞ。納品日は今日ってことになってるからな。きっと首を長くして待っている」

「あ、そうなの。でもちょっとだけ待って」


 アリエルは慌ててお茶を飲み干した。


「それじゃ、私もそろそろお暇することにするわ」


 クララもくいっとカップをあおった。



 

 五時通りを少し行った所でクララはふたりと別れた。迎えの馬車が近くにいるらしい。

 アリエルとレオナルドはそのまま五時通りを行き、中央広場を抜け、十二時通りに進んだ。


「この辺りには貴族の別邸が集中している。今から行くオーガスタス侯爵邸もそうだ」


 レオナルドはアリエルに地図を示した。十二時通りの真ん中ら辺だ。


「今回の依頼主は侯爵夫人様だ。少々気位の高い方だから、とにかく怒りを買わないように気をつけろ」


 アリエルは神妙に頷く。


「ところでレオナルドさん、なんでフードかぶってるの?」


 レオナルドはああ、と自分の頭を指した。


「この髪じゃ堂々と道を歩けないのさ。大人の姿だったら『レオナルド』としてそれなりに知名度があるから、そんなに気を遣わんでもよかったんだがな」


 アリエルはその言葉にはっとして周囲を見回した。通り過ぎる人たちの中にはちらっとこちらを見て、嫌な顔をして視線を逸らしたり、驚いた顔でさっと道を変えたりする人が少なからずいた。

 街の人たちの魔女への感情は、アリエルが考えていた以上に悪いようだ。軽くショックを受け、自然と声をひそめた。


「街の人たちは、そんなに魔女からひどいことをされているの?」

「いや、実際に被害を受けた奴はあんまりいないだろう。でも、魔女は悪い人。それが常識なんだ」


 レオナルドはアリエルを見上げた。


「アリエル、俺から言わせてもらってもお前の方が変だぞ。人と違う黒髪黒目ってだけで、薄気味悪いとか思わないのか?」


 レオナルドのこぼれそうな黒い瞳に、アリエルが映る。


「人と違うったって、魔女じゃなくてもクララさんみたいな金髪の人もいるし、私みたいな赤毛もいるわ。父さんは茶髪だったし。黒だっていていいでしょう。馬鹿馬鹿しい」


 アリエルは自慢の緋色の髪をたなびかせた。

 レオナルドは笑いかけて失敗した微妙な顔になった。


「お前のその考え方は田舎では普通なのか?」

「どうなんだろう? あんまり人付き合いなかったし、学校ではわざわざ魔女の話なんてしなかったから」

「お前はずいぶんと特殊な育ちをしたんだな」


 レオナルドは眉を八の字にした。

 アリエルはむっと口を尖らせた。


「でも、本当の魔女だって別にみんながみんな悪い人じゃないんでしょう? レオナルドさんみたいな人だっているんだし。じゃあ、別にいいじゃない」 

「まあ、個人の考えとしてはそれでもかまわんだろう。俺も怯えられない方が気が楽だし。だが玉都でその調子じゃ、常識知らずの世間知らずと思われるぞ」

「……覚えておくわ」


 アリエルが頷いたのを見て、レオナルドは前を向いた。

 アリエルも前を見ると、大きな門が目に入った。


「ここだ」


 レオナルドは門番に近づき「薬師の使いが来た」と言付けを頼んだ。

 しばらくすると、屋敷から五十代半ばに見える気の強そうな女性がメイドを伴って現れた。

 レオナルドが小声でアリエルに言う。


「あの方がオーガスタス公爵夫人だ。本人が出てくるなんて、よっぽど待ち遠しかったんだな」


 アリエルはぴんと背筋を伸ばした。

 オーガスタス公爵夫人は迫力のある笑顔を浮かべていた。


「待ちくたびれましたのよ。お嬢さん達が使いの者? 薬師本人はどうしたの?」


 レオナルドが髪を隠すように、顔を伏せつつ答える。


「師匠は今、仕事が立て込んでおりまして」


 どうやら今のレオナルドとアリエルは、大人レオナルドの弟子という設定になったらしい。


「あら、そうなの。あの人あんな外見でも優秀だものね。で、薬は?」


 夫人はぱっと扇で口元を隠し、ちらりとレオナルドを見た。

 視線を向けられたレオナルドが小声で言う。


「アリエル、俺は今この目や髪を見られたらまずいと思う。お前が渡せ」


 そう言ってピンクの瓶を取り出した。

 アリエルはそれを受け取って、ごくりと生唾を飲むとうやうやしく夫人の前に出た。


「こちらになります」


 薬の瓶を差し出すと、夫人はそれを受け取った。

 しかし、夫人の目はアリエルの顔、より正確を期すならばその髪に固定されていた。その顔が、苦々しく歪む。


「不愉快な赤だわ」

「へっ?」


 アリエルは覚えのない害意を浴びて困惑した。

 この髪がどうかしたのだろうか。知らないうちに何か失礼を働いてしまったかとアリエルが慌てたのを尻目に、夫人はすぐに笑顔を顔に再び貼り付けた。


「あら、突然ごめんなさい。少し面白くないことを思い出してしまったの。貴女は悪くないのにねえ」


 そう言うと、夫人は手にした瓶の蓋を少し開けた。甘ったるい香りが溢れてくる。


「いつもと同じ薬ね。確かに受け取ったわ」


 その香りに満足そうに目を細めると、夫人は屋敷へと踵を返した。

 夫人に着いてきたメイドが歩み出ていくらかの銀貨をアリエルに渡すと、一礼して夫人の後に続いた。


「俺達も帰るぞ」


 レオナルドはアリエルに手を差し出た。

 この手の意味は何だろうとアリエルが考えていると、レオナルドは少しイラッとした。


「代金をよこせって言ってるんだよ。ネコババする気じゃないだろうな」

「あっ、ごめんなさい」


 アリエルは素直に手の中の銀貨をレオナルドに渡した。

 レオナルドは枚数を数えるとポケットに入れ、門番に会釈するとさっさと歩き出した。

 アリエルも慌てて門番に一礼して、置いていかれまいとレオナルドを追いかけた。




 中央広場まで戻ってきた頃、レオナルドはふいにアリエルを見上げた。


「何か買いたい物とかあるか?」


 街の中心まで来たついでに買い物していこうというらしい。

 アリエルは荷物を片付けた時のことを思い出した。


「そういえば、時計が欲しいと思っていたわ」

「じゃあ、それが今日の分の給料な」

「安っ!」

「そうか? そんなもんだろう」


 レオナルドは様々な職人の工房が立ち並ぶ五時通りへと歩みを向けた。

 五時通りはいろいろな工房の並ぶ職人街。時計工房もあるのだろう。

 レオナルドを追いかけながら、アリエルはせいぜい高そうな時計をたかってやろうと心に決めた。

2014/02/24 改訂しました。

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