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うちのハムスターが引きこもってばっかりだと思ったら、急に擬人化してきたんですけど!?  作者: 櫻木サヱ
ハムスター、外に出る

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7/11

面接官「あなたの長所は?」 ちくわ「回し車での持久力です!」

ちくわの最初の面接先は、近所の商店街にある小さなクリーニング店だった。

「初心者OK」「未経験歓迎」と貼ってあったから、まあ…元ハムスターでもワンチャンあるかもしれない。


店に入ると、面接官の店長さんがちくわを見て、一瞬だけ本当に一瞬だけ固まった。

その後、目をそらしてから戻してきたあたり、心の中で「うん。見なかったことにしよう」と処理したんだと思う。


「では、まず自己紹介をお願いします」

店長さんが書類を構える。


ちくわは背筋を伸ばし、胸に手を当てて言った。

「わたし、ちくわ。元ハムスター。人間歴、三日」


唐突な転生宣言に、店長さんのペンが止まる。

そりゃそうだ。


だが、ちくわは本気だ。

面接用にメモ帳に書いたらしい履歴書を取り出し、どや顔で渡す。

開くと、中身はこうだった。


特技:回し車

長所:回し車

短所:回し車のやりすぎ

趣味:回し車


どんだけ回し車好きなんだ。


「……長所は、回し車での持久力…とありますが?」

店長さんが恐る恐る読み上げる。


「はい!何時間でも回せます!人間になってからは、まだ回してないですが、心はいつでも準備万端です!」

やたら元気。


店長さん、沈黙。

私も沈黙。

空気だけが妙に澄んでいく。


「で、では……接客経験は?」

「巣箱に入っている時、お客(飼い主)が来ると、たまに顔を出しました」


もはや何の職種に対してのアピールか分からない。


「……なるほど。あの、ちくわさん。重い荷物を持つ作業も多いのですが――」

「だいじょうぶ。ヒマワリの種なら、片頬にいっぱい入ります」


そういう問題じゃない。


店長さんは苦笑いを浮かべ、優しい声で言った。

「今日は来てくれてありがとうね。また、機会があれば連絡するから」


完全に不採用のやつだ。


店を出た瞬間、ちくわは肩を落とした。

「わたし……ダメだった?」

「うん、まあ……その……ダメだったね」


でも、不思議と笑いがこみ上げてきた。

こんなに真剣なのに、全部ズレてるところが、なんだか愛しい。


「次の面接、行く」

ちくわは涙目のまま、決意だけはきっちり固めていた。


その姿が、ちょっとだけ頼もしく見えた。

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