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うちのハムスターが引きこもってばっかりだと思ったら、急に擬人化してきたんですけど!?  作者: 櫻木サヱ
ハムスター、外に出る

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6/11

ちくわ、外の世界へ出る

朝。ケージのほうから、カサカサ…じゃなくて、パリッ、パリッ…と妙に布をこする音がする。

嫌な予感しかしない。ゆっくりのぞくと、ちくわが鏡の前でネクタイを締めていた。

よりによってネクタイ。


「見てくれ、わたし。社会人スタイル」

誇らしそうに胸を張るちくわ。

ちょっと前までティッシュを巣に引き込むのに全力だった生き物と同一人物とは思えない。


しかもスーツがぴったり。

「夜のうちに、なんか…成長した」

なんか、で済ませるな。


足元を見ると、ちくわが革靴と格闘している。サイズはもちろん合わない。

靴べらを持ちながら、「この道具…何?武器?」と真剣な顔になっているのがじわじわ面白い。


「ちくわ、どこ行くの?」

「働きに行く。餌代を稼ぐ」

いや、餌代は私が払うからいいんだけど。

けど本人はやたら意思が固い。ケージの隅で丸まって震えてた引きこもり時代の面影はゼロ。


玄関に立つちくわは、もう完全に「初出勤の社会人(元ハムスター)」そのものだった。

扉を開けた瞬間、眩しい光に目を細める。

「わ…世界、広い…!」

なんか、転生した勇者みたいなこと言うなよ。


道を歩くたびに大騒ぎだ。

パン屋の前に来れば「甘い匂い…これは罠?」

公園のハトを見れば「でかい!あれ、絶対わたしの天敵だった!」

郵便ポストの前に立てば「赤い…強そう…」

そのたびに私が袖を引っ張って先に進ませる。


でも、一歩一歩歩くたびに、ちくわは少しずつ顔つきが変わっていった。

怖がっていたはずなのに、気づけば胸を張って歩いている。

「わたし、人間になった。だから…挑戦したい」


その言葉を聞いて、私は思った。

――いや、本音を言えば挑戦しなくていい。

外で働くより、ケージでのんびりしててほしい。

でも、こんな顔されたら止められない。


こうして、ちくわの初めての「社会進出の日」が始まるのであった。

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