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うちのハムスターが引きこもってばっかりだと思ったら、急に擬人化してきたんですけど!?  作者: 櫻木サヱ
ぷくまる、突然の人型デビュー

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5/11

はじめての会話は、何故か貴族口調

ぷくまる(人型)はタオルを肩からずり落ちそうにしながら、

俺の部屋をきょろきょろ見回していた。


「ふむ……ここが、余の新たな縄張りというわけか。」


「縄張りって言うなよ。部屋だよ、ただの。」


「いや、もう余の縄張りだ。

まずは上座を……そうだな、あのふかふかしたところが良い。」


ぷくまるは迷いなく俺の枕を指さした。


「ベッドの上はやめて!?」


「では飼い主。そなたはどこで眠るのだ?」


「ベッドだよ。俺が使うの。」


「……むぅ。」


尻尾がしゅんと下がる。


(いや、そんな顔されても……)


少し沈黙が流れ、ぷくまるは改めて部屋の中央でふんぞり返った。


「して、飼い主よ。」


「はい。」


「余は人型となった。よって、これからは格調ある会話を基本とする。」


「なんで!?」


「あたりまえだろう。人間は皆、格調高い口調だった。」


「そんなわけないでしょ!? どこで覚えたの!?」


ぷくまるは胸を張り、どや顔で答えた。


「テレビの歴史ドラマだ。」


「あ~~~~~~~~……」


なるほど、それで妙に偉そうなのか。


「余は人型ゆえ、飼い主よ。そなたも格調ある呼び名を使うがよい。」


「いや普通に喋ろう!?」


「では……そなたの名を、今から『飼主殿』と呼ぶことにする。」


「急に武士みたいになった!?」


「んん? 違ったか?」


困惑しながら耳をぴこぴこ動かす。


(あ、理解できてないやつだこれ……)


「ぷくまる、普通でいいよ。今まで通りで。」


「むぅ……普通とは?」


「えっと、もっとこう……会話がフランクというか……」


「ふらんく。」


「そう、フランク。」


ぷくまるは少し考えるそぶりを見せたあと、

いきなり仁王立ちになって手を挙げた。


「飼主よ! 余はフランクを習得した!」


「絶対してない!」


「よぉ、飼主。元気か?」


「語尾に“よぉ”つけたらフランクじゃないよ!?」


「違うのか。」


(違うよ。)


ぷくまるは黙り込み、自分の尻尾をじーっと見つめた。


「……飼主。」


「うん?」


「では、こうしよう。

余は偉そうに喋る。そなたはそれを訂正する。

これで会話が成立する。」


「そんな面倒な会話システムないよ!?」


納得したのかしてないのか、ぷくまるはタオルを巻き直しながら鼻を鳴らした。


「よいか、飼主。これから余が言うことは全て正しい。」


「そんな独裁宣言みたいなことやめて?」


「ふふん。では、余の朝食追加を所望する。」


「なんで偉そうにおかわり要求するの!?」


「人型は腹が減るのだ。」


ぷくまるは、ヒマワリの種をぽりぽりつまみながら

勝手に布団へ潜りこんでいく。


「……おい、そこ俺の寝床なんだけど。」


「静かにせよ、飼主。今から昼寝の儀だ。」


「儀式にすんな!」


頭だけひょこっと出して、

耳ぴこぴこ動かしながらこっちを見る。


「……飼主。撫でてから寝たい。」


「結局そこに落ち着くんだな!?」


撫でるとすぐに目が細くなり、タオルの中で丸まった。


偉そうな貴族口調も、結局ただの甘え。


(……まぁ、可愛いから許すか。)

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